好きの気持ち (自称ロードスターシリーズ)

とうこ

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告られたんだけど。…男に

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「お前の荷物ってこんだけ?」
 てつやが今住んでいるアパートを一棟買取ってマンションを建てる話も進み、取り壊し日が2月16日と決まった。
 6日の今日から、てつやは一時的に京介のマンションへ移り住み、マンションが完成したら最上階に二人して引っ越すことになっている。
 手伝いに来ていた京介は、まあ男でも多少は大きいなと思うダンボール二つと京介に借りた海外旅行用のスーツケース、そしててつやが旅行によく使うリュックのたった4つだけだった。
「少なくねえか?」
「いや~こんなもんじゃねえの?ほら俺物欲ないし、あまり物溜め込むのも好きじゃないじゃん。このダンボール2つだって思い出満載よ?」
 まあ、実際箱詰めも手伝った京介にしてみれば確かに物はなかったから納得はできるが、約12年暮らしたにしては本当に少ない。
 その事実が、てつやが頑張ってきた証に思えてより愛おしくなる。
「まあお前らしくていいけどな。じゃあ車に積みこもう。なんかこの部屋で泣く儀式とかあるか?」
 てつやの頭に手を置いて顔を覗き込んでみる。
「ばっか、あるわけないだろ」
 といいながら、ーやめれーと京介の手を外すが、その手を握りしめてきた。
「ここでお前の発作も何度も受け止めたし、それが発作じゃなくなっても…色々あったな」
 儀式始まるじゃん?そう思いながら手を握り返して、ーそうだなーと部屋を見渡した、
 15の時に家を飛び出し、かーさんずが探してくれた馴染みの駄菓子屋の2階。
 こんなボロなのに(失礼)2部屋もあって風呂もトイレも別々にある、建てた当時の井上のご夫婦の入居者への心配りを感じる部屋だった。
 そして今、取り壊し目前でベッドとちゃぶ台以外何も無くなった部屋。案外広かったんだな。
「なあ…」
 指が強く絡んできた。
「最後にやってかね?」
 へへっと照れ笑いな感じでてつやが京介を見てきた。
「感傷的になってんじゃん」
 微笑んで絡んだ指にキスをする。
 思えば溜まり場だった。
 いいことがあった時も悪いことがあった時も、仲間でここに集まって相談して色々決めてきた。成人してからも何かと言っては集まって、最初のロードの出場の時はこの部屋に雑魚寝して語り合ったりもした。
 それ以上に、お互いに気持ちが通じてからは数えきれないほど体も重ねてきた。それもいい思い出だ。
 そう思えば自分もちょっと感傷的にはなる。
「ベッドもあるしな」
 と絡んだ手にキスをした後、てつやを抱き寄せた。
 横たえられて、寒いから服着たままだけど、などと笑ってキスをして、首筋に唇を這わせられながら、てつやはその態勢からの見慣れた風景をじっと見ていた。
 この景色はきっと、一生忘れない風景だ。京介を含めて、忘れるはずのない景色だと刻み、不意に触れられたバックに声をあげ京介を見つめ返した。

 2時間後。京介の部屋へつくと、京介はてつやに一部屋用意してくれていた。
「え、いいのか?一部屋使わせてもらって」
「どうせ最終的に俺もあっちへ引っ越すんだから、荷物整理したら一部屋開いたんだよ。俺タバコ吸うし、別がいいだろ?」
 2LDKのマンションなのだが、これからてつやが使う部屋は軽くウォーキングクローゼット的に使っていたところだ。
「サンキューな、ありがてえ」
 荷物を運び入れ、取り敢えず日常で使うものを取り出す。
 そんな話をしながら部屋を作ってゆき、夕飯時には引っ越し祝いだと近所のお蕎麦屋さんにお蕎麦を食べに出掛けて行った。

 お蕎麦屋さんでついでに天丼も平らげてきた2人は、腹一杯だーとリビングで伸びていた。
「やっぱ、蕎麦がきは余計だったな…」
 天丼まではまあいいが、たまにしか蕎麦屋などに行かないものだから珍しくなっちゃって、店主おすすめの蕎麦がきなどまで食べてしまった。美味しかったのだが、腹づもりは最悪のパンパン。
「コーヒーでも淹れるか」
 京介が立ち上がって、ドリップのコーヒーを淹れるために電子ケトルのスイッチを入れる。
「もう入らねえよ…」
「コーヒーは、消化を助ける作用があるって聞いてるからさ、飲めば少しは楽になるかもしれないという希望的観測」
 ケトルが鳴って、カップに設置したドリップにお湯を入れ徐々に注いでいると、てつやが
「そう言えば、さっき段ボールにさエルメスの箱あっただろ。あれさ、店辞める時に、他のバーのママさんが大事な人と使えってくれたんだけどな」
 京介はお湯を注ぎながら、てつやにしては珍しいハイブランドの箱があるなあとは思っていたことを思い出した。
「ああ、あったな。あれなんなん?」
「マグカップらしい。俺その時はお前とこんな風になると思わなかったからさ、どうしようと思ってたけど…新居で使おうぜ」
 へへっと笑うてつやに京介も笑いかけ、ー物持ち良すぎだなーといいながら嬉しい顔になっていないか自分の顎を撫でていた。
 そんな時、エントランスのチャイムがなった。時計を見たら8時20分頃
「ん?誰だろ、てつや見てくれ」
ーはいよー といって、パネルを確認すると、まっさんだった。
「まっさんだ、入れるよ?」
「ああ、じゃあコーヒーもう一個だな」
 とカップをもう一つ用意して、作り始める。
 京介の部屋はリビング対面のカウンターがあってそこが作業台になっていた。
 玄関を開けてやって、まっさんがういす~と入ってくる。
「ちょうどコーヒー淹れてたところ、いいタイミングだったな」
「おう、いい香りだ」 
 京介がまっさんの分を作り終わって、リビングのローテーブルへ持ってきた。
 ここでも仲間内の座る場所は確立していて、定番の位置に座ったまっさんの前にカップを置いてやる…が、まっさんの様子がいつもとは違う。少々ぼんやりとしていた。
「どした?まっさん。元気なくね?っていうか、変じゃね?」
 ローソファーに足まで乗っけて体育座りのようにしているてつやが、顔を傾けてまっさんを見た。
「んー?いや、ちょっと聞いて欲しいことあってさ…」
 いつになく歯切れの悪い喋り方。やっぱりどこかおかしい。
「なに?ほんとどうした?」
 京介も角を挟んで座り、心配そうにカップを勧めた。
「あ…ビールも買ってきた」
 とずっと手に持っていたのを今気づいたようにテーブルに乗せ、ーまあ1口ーとコーヒーを啜る。
 てつやと京介は思わず顔を見合わせてしまった。
「まっさん?マジでどうした。話にきたなら言ってくれよ」
 体育座りをあぐらに変えて、てつやは話を聞く体勢としてかなり伸びた前髪を手首にはめていた輪ゴムで括った。銀ピクミンの完成。
「言いにくい話なんか?酒飲まなきゃ話せないなら飲めよ?」
 袋からビールを出して、京介が前に置いてやる。
 まっさんは一つため息をついて、ビールを手に取り開けるとそのまま一本飲み干した。まあ、この人らが缶ビール一本くらいで酔うはずはないが、勢いは多少つく。
「あのな…」
「「うん」」
「…k…はks…れt…だ」
「「なんて?」」
 ものすごく小さな声だった。2人は同時に耳を寄せてしまった。
「だから…こ…kは…kさ…rt」
 てつやは眉を寄せ、京介は解読しようと必死に天井を眺める。
 でもわからない
「もうちょっとでかい声で言えるかな~」
 眉を寄せたまま、てつやが幼児をあやすような言い方をすると、まっさんはより俯いてしまって
「だからな…?コクハクをされたんだ…」
 コクハク…?一瞬ピンとこなかったが、その一瞬後に2人は顔を見合わせ、ぱああっと晴れやかに笑った
「おおお!まっさん!いいじゃんいいじゃん!だれ?って俺らの知らない人か?」
「よかったな!で?どうすんの?付き合うのか?」
 2人に一斉に言われ、それでもどこか戸惑う感じのまっさん。
「お前らの知らない…人だな…。店のお客さん…っていうか…うん…付き合うかは…保留になってるけど」
 まーた歯切れの悪い答え。でもまあ、好みではない人に告られて動くまっさんではないが、でも保留ってことは少しは脈アリなんじゃあ…
「お前のおメガネに適った人なのか?パンクくらいは直せる人?」
 京介が問うと、
「自転車組み立てられる人かな…」
 まさにマッサンが日頃言っている嫁候補の第一条件は軽々クリアしている。
「え、すげーじゃん。まっさんの理想そのものだろうよ。どした?保留なんて」
 てつやもかなり前のめりになって、詰める勢いでまっさんに近寄っていた。
「いやぁ…それがな…」
「失礼な言い方だけど、ちょっと容姿が好みじゃないとかか?」
 いや本当失礼、てつや…。
「それはな…それがさ…めっちゃ可愛いんだよ…あれは…うん可愛いなぁ」
 もう何度目になったか、2人はまた顔を見合わせる。
「お前がそこまで言うのも珍しいな。可愛くて、自転車組み立てられて他に何が障害なんだ?もう申し分ない人じゃん」
 てつやが少し落ち着こうとソファに座り直し、やっとコーヒーを口にした。
「それがなぁ…⁂§〻ごにょ…」
「「なに?」」
 再び歯切れ悪くなって、また聞き取れない。
「おいおい、そこまで言ったんなら、全部言えよ」
 てつやが半ば呆れたように言うと
「男なんだよ!その子が!」
 シーンとする。まっさんもキレ気味に返したものの困ったように俯き、てつやと京介は呆然とまっさんを見つめるだけ。
「「は?」」
 同時にそう言うしかなかった。
「店のお客さんでな、9月ごろに通販で買った自転車を組み立てたんだけど部品が余っちゃって、危なかったら怖いからってうちに持ち込んできた子でさ。それが最初で、まあそれは結果なくても大丈夫な部品で、大丈夫だと伝えたら、なんだか毎週何らかの用を作ってきてくれるようになってさ…。自転車とかに興味があったらしくて、俺も話できるから楽しくて毎週毎週話してたんだけど…そしたら今日さ…なんか好きですっ…て言われて…」
 2人は聞きながらコーヒーを飲んでいる。
「どういう好きかともちゃんと聞いたぞ。そしたらさあ…付き合って欲しい…とか…いやこんな話お前らにしか話せない気がして」
 ちょっと事例は違うけどなぁ…とまだ黙ってコーヒーを飲む2人。
「お~い~、何か言ってくれよ~」
 テーブルに両手を出して軽くだがテーブルを叩いてくるまっさん、に流石にいつもとちがって冷静さを欠いていると思った2人は、まずてつやが
「まあ、取り敢えず冷静に話を聞かせてくれよ」
 と袋からもう一本ビールを出して、まっさんの前に置く。
「まず、なんで保留にしたわけ?相手男だろ?まっさんそのケねえだろうよ」
 ついでに自分のビールも開けて、一口飲んだ。
 まっさんもビールを開けて、今度は半分ほど飲む。
 京介は未だ黙って様子を見ていた。
「可愛いんだよな…」
「は?」
「いやっ、最初はさ弟みたいな感じでな、慕ってこられたらそりゃあ誰だって可愛いだろ。しかも見た目も可愛い…」
 そういえばまっさんの容姿の好みってあまり知らねえなあと、漠然と2人は考えた。たまに見てたテレビとかで感じることは、太腿だの足首だの言ってた気がするから、足が好きなんかなくらいは思ってはいたが、まあ突き詰めてみれば確かに、美人系よりは可愛い系が好みだったような気がしないでもない。
「おいおい、見た目に気を取られて大事なこと忘れんなよ?男だぞ?付き合うとなったらお前…やっぱそう言う…さあ…」
 急にてつやが言い淀み、すがるように京介を見てくる。そんな目にため息をついて京介がまっさんに向き直った。
「うん、大事なことだな。付き合うとなったら、キスとかセックスとかついてくるけど、お前それ…大丈夫なん?」
 まっさんの動きが止まった。実はそこは考えた。のだが…。
「俺たちに相談って言ってきてくれたのはいいんだけど、俺らはさ、付き合い自体が長いじゃん。だから徐々に感があったけど…まあそのケもないわけじゃあなかったし?だから割とすんなりこうなれたけど、お前は違うじゃん。急に男とって割り切れるものか?」
 京介にそう言われて、もう一度ビールを口にした。
「その…告られた時に…軽くだけどキスされて…俺…それは嫌じゃなくて」
 うわっ!とてつやが声をあげた。
「積極男子いるよな…なんか懐かしい感じがする…」
 と、不意に口をついて出た。
「ああ、昔のアレか?」
「ん…まあ全てそこに繋げるわけじゃねえけどさ…」
 京介に言われてちょっとゴニョったが、裏新市街むかしのことはあまり口にしないようにしていた自分も、どうしてだかそこが想起される。
「で、どうしたいん?まっさんは」
 今まで見たこともないようなまっさんを目の当たりにして、やはり2人は戸惑うばかり。まあ、仕方ないとは言え…と2人してため息をつく。
「取り敢えず、銀次も呼ぼうぜ。この件を奴だけ弾くわけにいかねえし」
 てつやがそういうと、まっさんはちょっと困った顔で見てきたが、
「俺らは全員で何でも乗り越えるべきだ。やつの考えもなんかヒントになるかもだしな」
 そう言ってスマホで連絡をとる。
「銀次?緊急招集だ。京介ん家来てくれ」
『は?こんな時間に?まあいいけど。そっかお前引っ越し済んだんだな。わかった京介んとこな、今行く』
 スマホを置いて、
「で?どうしたいん?」
 と聞いてみたが、
「それがわかれば、ここに来てねえよ…」
 その返答に京介ももう一度ため息をついた。
「その気が無いわけじゃあないってことでいいんだな」
 それにはまた押し黙る。
 それから1分ほど3人は黙ってビールなりコーヒーなりを飲んでいたが、
「なあ…」
 とてつやが声を出した。
「さっきも言ったけどさ。もし付き合ったとして…その子を抱けるん?もしかしたらお前が抱かれる方かもしれないんだぞ?できるの?」
 まっさんは流石に『抱かれることそこ』までは本当に考えていなかったらしく
「いや…それはないんじゃないかな…見た目可愛いし、どっちかって言えば…」
「稜って覚えてるか?あいつあんな見た目じゃん?あんなでいて攻めしかしてねえよ?」
 てつやが辞めた2、3年後に正式に弁護士になった稜は、てつやがお世話になっていた弁護士事務所に偶然就職し、何やかんやで時々会ったりしている。
 以前のおっさんホイホイの一件で世話になっていたところだが、今では色々なオーナー業の相談とか色々のってもらっているところだ。
「え…」
 とまっさんが驚いて顔を上げた。まっさんの頭には、あの頃の女子とみまごう可愛らしい姿が浮かんでいた。
 あの人が攻め手と聞くと、今回の相手も可能性がないわけでも…。
「だからそう言う覚悟はあるのかってことだよ」
 京介も、どっちにしろ経験ない奴は最初結構大変なんだよな…とちょっと違うことを考えている。がふと思い立って
「しかし、その相手っていうのもよく男に告ってきたよな」
 と、そう言ってみるが、たしかにそう、そこが最初に疑問に上るべきところなのだ。
「ああ…確かに…」
 てつやもソファーに座り直し、さっき感じた懐かしさが嫌な予感となって胸をざわつかせるのを感じざるを得ない。
ーまさかな…ー
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