ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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「あんた、ヘッタクソねー! 見てなさい」

 横から出てきた純子が矢を構えてヒョイと射かけると、矢はビュンと飛んでいき、見事にリス型魔物の心臓を射抜いた。リス型魔物は木から落ちて根元に転がる。

 俺はささっと落ちたリス型魔物を拾ってきた。刺さった矢を純子に渡して魔物は袋に入れて腰に下げた。リス型魔物で袋は直径10センチ程に膨らんだ。こういうところで点数を稼いでおかなければパーティに加えてもらえないという不安が俺にはあるのだ。

「あんた、そんなに狙いに時間をかけてたら、逃げられるに決まってるじゃない。馬鹿なの?」

「くっ!」

 知らなかったわ~。純子って、何気に頭良いなあ。

 ドヤ顔の純子が俺を見下すのは仕方ないかなと諦めた。やっぱり、俺って使えない奴だわ。それにしても、見事な腕前。こいつ何か弓のスキルを持ってるんだろうなあ。

 少し冷静に自分の立ち位置を考える。とにかくこいつらと、うまい具合にパーティを組めればな。

 弓使いは三人いるし、前衛としてアピールしようと気持ちを切り替える。だが手にする獲物はショートソードだ。明と三次の獲物はロングソード。これは不利と言わざるを得ない。つまり……やっぱり……俺ってどっちつかずで、使えない奴?

 いやいや、剣の長さが全てじゃないさ。短い方が小回りが効いて、強いということだって考えられるんだ。それに明や三次とタイマン勝負するわけじゃあないのだし、狩に役立てばアピールになるのだ。

 これからの狩りで、役に立つところを積極的に見せれば、なんとか仲間に入れてもらえるかも。いらないと言われなければ良いのだし……6人全員がパーティを組みたいわけじゃないだろう。

 特に三次は今入っているパーティの追加メンバーを探すためにこの依頼に参加したと言っていた。間違いなくこいつは残らない。

 残り5人でパーティを組めれば一応バランスの取れたパーティになりそうではあるのだが……。

「あーつまんね~。こんなチャチー狩り早くやめてもっと強い魔物を狩に行こうぜー」

「ここで少し調子が出てきたら、次の狩場に移動すりゃ良いだろ! ブツブツ言ってねーで、バンバン狩やがれ!」

「だって、獲物を探すのは得意じゃねーんだ。俺は戦闘特化だからな!」

 頭の後ろで手を組みながら、明は三次に言い訳をする。

「なあ、卓郎、何か見つけたか?」

 明が振り返り、照れくさそうな笑みを浮かべた。彼の真っ赤な瞳が、卓郎に同意を求めるようにじっと見つめている。

「う、ううん…まだ何も…」

 卓郎は小さな声で答え、視線を下に向ける。魔物を見つけられていないだけでなく、戦闘にも自信があるわけじゃない。明の自信満々な態度に、ますます自分の存在が薄く感じられた。


 6人は小道を進みながら、周囲の静けさに耳を澄ませて獲物を探し続ける。木々の間から差し込む日差しが、彼らの顔を優しく照らし出すが、卓郎の心の中にはなんとか活躍してパーティに所属したいという焦りが滲み上がる。

 卓郎は、仲間たちの後ろを歩きながら、心の中で自分のスキル『百点カード』に思いを寄せた。正体不明のそのスキルは、仲間から「ダメスキル持ち」として馬鹿にされているので、スキルについて話が及んだらどうしようと心配になる。別に隠すつもりはないが、聞かれなければわざわざ言う必要はないよね、と自己弁護する。ますます身が縮こまる。

 その時、純子が前方を見つめ、弓矢を構えた。

「あ、ウサギがいる!」

 彼女の声が緊張感を高める。彼女の金色の髪が風に揺れ、冷静な表情が一瞬だけ緊張を解く。

「どこどこ?」

 沙耶が興奮して声を上げる。彼女のパステルピンクの髪が、日差しに照らされてキラキラと輝いている。

「静かに!」
 有紗が優しく制止する。
「近づくと逃げちゃうから、慎重に行こう。」

 三次はその様子を冷静に観察し、少し不気味に見える笑みを浮かべていた。

「卓郎、おまえも来い!」
 明が声をかける。俺は驚いて顔を上げると、仲間たちがウサギに向かって慎重に距離を詰めている。

 俺は一瞬ためらったが、仲間のために何かできるチャンスだと思い、足を踏み出した。
「うん、行くよ!」

「待ちなさい。馬鹿なの。近付く前に逃げられるじゃない。私たちが矢で仕留めるから、あんたたちはあれが向かってきた時の壁役よ」
 純子が俺と明を止めた。

「なんだと。それじゃあ、いつになったら俺の出番が来るんだよ」
 明がムッとして純子に突っかかる。

「良いから静かに…… 騒ぐと逃げられるじゃない」
 純子が声をひそめて狙いを定める。

 その直後、有紗と沙耶の矢が放たれた。

 その矢は見事にウサギ型魔物を捉え、魔物は地面に倒れ伏した。全員が一気に駆け寄り獲物の状態を確かめる。まだ息はあるが動ける状態ではなさそうだ。

「よし、俺が止めを刺すぜ」

 明がロングソードを高々と掲げて振り下ろそうとすると、純子が止めた。

「あんた馬鹿なの! そんなでかいの振り下ろしたら毛皮の傷が大きくなるでしょう。卓郎、ショートソードで刺し殺して」

 明が顔を赤らめてフリーズしている。

 俺は、思わぬ出番に驚きながらもウサギにざくりと止めを刺した。

「ピロリン!」

 うん? 何か変な音がしたように思ったが気のせいに違いない。

 ウサギを詰め込んだ袋は大きく膨らんだので背負うことにする。進んで荷物を運ぶ姿勢は俺のとってはアピールポイントだ。ソロで狩りをする事にならないようにこういうところで役に立っておく。

「確かにこのペースだと、稼ぎが少なすぎるな。もう少し大物が狙える場所に移動しないか」

 三次が純子を睨むように続ける。

「結構3人とも弓の腕は確かなようだし、此処じゃあ、壁役なんて必要なさそうだしなあ」

 女子のリーダーは純子と言って良いのは此処まででなんとなく分かる。純子がうんと言えば有紗も沙耶も従うだろう。それを見てとった三次の提案と3人を褒める言い回しはなかなか上手いものである。

「そうね。男子の出番があるように、狩場を変えても良いかもね?」

 純子が有紗と沙耶に同意を求める視線を送ると二人は即座に頷いた。


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