ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 明との仲直りが済んで、またギルドの酒場の元いた席に引き返す。

 周囲の冒険者達もブツブツ言いながら戻っていく。

 純子、有紗、沙耶はホクホク顔で俺の周りに寄ってきた。

「ほら見て。あなたに賭けてたから」

 沙耶の手には銀貨がたくさん握られている。

「私たちもよ」

 と有紗も握った手を開いて見せる。

「今日はこれで奢ってあげるわ。感謝しなさーい」

 純子は横を向きながら片手を突き出し開いて見せる。

 どうやら3人とも俺に賭けていたらしい。さすがは冒険者というか、そこで賭けに参加するかね……複雑な表情で3人を見る。

「ラッキーだなあ。卓郎。これも俺のおかげだぜ」

 ニコニコしながら俺の肩を抱く明。何が俺のおかげだ。勝手なもんだ……。

「それじゃあ、何か飲み直しましょう。私、クールジンジャー(ジンジャエールのようなもの)ね」

「じゃあ、私達もそれ」

「俺はバクガー(ビールのようなもの)ねー。お前は何にする? 卓郎」

 俺は少し考えてから、

「じゃあ、俺もバクガーで」

「バクガー2、ジンジャー3入りまーす!」

「明! あんた負けたんだから、今日は発言権無しだからね!」

「え! まじ」

「当然でしょ。どのくらいの相手を獲物にするかは卓郎の意見を重要視するから。壁役が私たちの命綱なんだから」

 純子が明の大物狙いを牽制する策に出る。

「卓郎はどう思うのよ」

 純子が俺に視線を向けるが、その視線には「分かっているわね」という無言の圧が見え隠れしている。

「う、うん。お、俺的には、今日のイノシシ型は、厳しいよ。今度やったら死んじゃうかも。できれば……もう少し小さい魔物を借りに行きたいね」

 純子の顔が「よろしい」というように輝いた。

「えー! マジかよ卓郎。あの大きさだから、今日は稼ぎが良いんじゃねーか」

 明は不満を俺にぶつけるが、次やったら死ぬかもっていうのは本当だ。決して純子の圧に押されたからだけではない。

「ごめんよ、明。それでもあんなの2回はできないから。本当に命懸けだったんだ」

 純子の頬がなぜだか僅かに赤く染まる。

「そうだよ。明君。私たちだって、とっても怖かったんだからね。もっと安全に狩りをしようよ」

 有紗が明に反対意見をすると沙耶も頷き有紗に寄り添った。

「大丈夫だよ、明。こっちには弓使いが3人もいるんだもの。小さい魔物でもたくさん狩れば良いのよ」

 純子が自身ありげに胸を張る。大きい。ついその胸に視線が引き込まれるのを、やべっと思いながら引き戻し、下を向いて誤魔化した。

「卓郎、 あなたもそう思うでしょう?」

 何かを察したように質問を投げかけ俺を睨む。

「う、うん。その方が安全で安心できるなー、なんちゃって」

 純子は、誤魔化すような俺の返事にうんと頷き明に向き直ってどうだと睨む。

「ちっ、まあ仕方がねーなあ。卓郎がそういうならしょうがねーや。でも本当にそんなにたくさん見つけられるのか?」

「…………」

 気不味い沈黙が流れる。実際魔物を見つけるのは難しいのだ。

「ほれ、見たことか」

 その様子を見て明が反撃の狼煙を上げた。

「やっぱり小物ばかり狙っても稼げねーって」

「でも、イノシシ型は危ないよ」

 有紗が心配そうな視線を向ける。

「今度は大丈夫だって。あれはたまたま大物だったけど、ああいうのが出たら逃げれば良いじゃん。もう少し小型のやつだっているわけだし。森で狩りをしながら、少しは山の方に行ってみる感じでどうかな」

 それなら良いかと有紗と沙耶が見つめ合う。

「じゃあ、最初は森で狩りをして、少ししか狩れなかったら、山に近づいてみるってことで良いかしら」

 純子が妥協案を口にする。

「良いんじゃねーか」

 それなら、もう山で狩りをするのは決定事項だなとほくそ笑む明は、純子の案で納得する。

「じゃあ明日も今日と同じようにあの森で狩りをしましょう。集合は9:00にギルド前で」

「了解!」

 俺は明の笑顔が少し気になったが、話が纏まったことに安堵する。よし。新しいパーティはなんとか上手く結成できたし、明日もパーティで狩りができそうだ。

 俺は安堵の息を吐いてからバクガーをグイと飲みこんだ。

 それからは楽しい宴会が始まった。

「ねえ、純子ちゃんって引っ越してきたばかりって言ってたけど、以前は何処に住んでいたの?」

 何気なく有紗が純子に話をふると、

「私ね、南の『姫の宮都市』に住んでいたの」

 と純子は微笑みながら答えたが、その表情には一瞬、何かを思い出したような影が差した。

「へー、『姫の宮都市』かあ。あそこは静かで、自然が豊かだって聞いてるわ。良いところなんでしょう?」

「そうね。まあ、確かに自然は豊かかな。海も近いしね」


「海かー。良いなあ。海に行って、バーベキューをしたり、花火をしたりして……私も海で遊びたい!」

 と有紗が羨ましそうに言う。

 その言葉に、何かを隠すように視線を逸らした純子の様子を見て、俺は、少し引っ掛かるものを感じた。純子には、過去を語ることに何か抵抗感があるのでは? まあ深くは探るまい。俺はその事に触れる危険を感じている。誰でも触られたくない過去の一つぐらいあってもおかしくないさ。

「純子ちゃん、今度一緒に海に行こうよ!」

 有紗が提案すると、純子は少しだけ戸惑ったように見えたが、すぐに笑顔を取り戻し、

「うん、良いよ。今度案内してあげるね。ちなみに、海にだって魔物はいるけどね」

 と笑いながら話す純子の目の奥に何か暗い影が宿っている。

「えー! 海の魔物って、なんだか怖そう」

 沙耶がぶるると身を震わせる。

「そうだね。凄く怖いのもいる。だから強くならなくちゃ」

「そうだね。安心して海に行けるように、明日から頑張るぞー!」

 有紗の目が希望に輝く。

「俺も早く海に行きてー!」

 明も目を輝かす。よだれが出てるぞ、明。

「あんたは水着姿の女を見たいだけでしょう!」

 純子が蔑むように明を見下した。





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