ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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「卓郎さん。今日はCランクチャレンジでいいんですよね?」

 《姫の宮都市》冒険者ギルド中央支部の掲示板を見ながらリーナが俺に確認してくる。昨日リーナは、さらなる装備の充実を果たし、単独でワイバーンを狩ることにも成功している。

「単独でも、危険度Cの魔獣を倒す力はあるんじゃないかな」
 俺の言葉にリーナは気をよくして一つの依頼票を手に取り見せてきた。

「これなんか、どうですか?」

「Cランク依頼、姫の宮北部草原に現れた牙ラプトル討伐、金貨40枚。これなら余裕なんじゃないか。動きが早い魔獣だが、今のリーナのスピードなら苦にはならないとおもうよ」

「じゃあ、これ、受けてきますね」
 リーナは依頼票を握りしめ、意気揚々とカウンターに向かった。

 そして俺たちは、辻馬車を拾って姫の宮北部草原の西端、魔獣の目撃情報が集中していた地点に移動した。

 風が吹き抜ける草原は、夏の陽射しを受けて一面が金色に染まっていた。背丈の高い草が揺れ、視界の悪さが牙ラプトルにとって格好の隠れ蓑になっている。

「さっきから、何か気配しますね……」

 リーナが、あたりを警戒しながら俺の意見を聞いてくる。今は、索敵に俺を利用するのはいいけれど、いずれは一人で、できるようになってもらいたいね。魔術師ギルドでそういう魔法の講習を受けさせるか。

「うん。動きは単体、群れじゃないけど、数匹はいるな。気をつけろ」

「了解です」

 そのとき、草むらが音を立ててざわめいた。 

 ――ズバァン!

 一瞬の閃光のように、牙ラプトルの一匹が草むらから飛び出してきた。灰色の鱗、鋭く反った牙、そして地を蹴る強靭な後脚。動きは速い。リーナの腕が動いた。

「ウィンドカッター!」

 風の刃が唸りを上げ、牙ラプトルの左脚に直撃した。体勢を崩した魔獣は、跳躍のバランスを失い、転倒。その瞬間、リーナは前に出る。

「ウィンドカッター!」

 風の刃が連続して牙ラプトルを切り刻み、うめき声とともに魔獣は崩れ落ちた。

「一体撃破!」

 リーナが振り返り、俺の方を見る。緊張した面持ちに、しかし確かな達成感が滲んでいた。

「いいぞ、冷静だった。次だ。まだ複数いるはず」

「はい!」

 その後、数匹の牙ラプトルが草原の奥から姿を現したが、リーナは動じることなく、的確に魔法を繰り出していった。もう完全に一人前の魔術師だった。

 俺は後方から危機には即座に介入する構えで見守っていたが、ついに一度も出番はなかった。

「……これでこの辺りの牙ラプトルは全部、かな」

 草原の風が静まり、リーナが額の汗を拭う。疲労はあるが、その表情は満ち足りていた。

「おつかれ。牙ラプトル全部で6匹討伐。完璧だったな。もうCランクの依頼なら、完全に一人でいけるレベルだ」

「ふふ……ありがとうございます。実は少し、怖かったですけど」

「それでも、動じず落ち着いて対処できたじゃないか。成長したな、リーナ」

「……えへへ。そう言われると、ちょっと嬉しいです」

 彼女は照れくさそうに笑い、空を見上げた。草原を渡る風が、再び彼女の髪をやさしく撫でていた。

「もう一回Cランクチャレンジに成功すれば、昇格試験を受けられるな」

「はい。あと一回、次は絶対ミスれませんね」

「そう気負うことはないよ。実力は十分ついている」

「はい。ありがとうございます」

「じゃあ、依頼完了だ。ポータルシフト!」

 俺たちは草原に別れを告げ、ギルドへの帰還の光に包まれた。


 《姫の宮都市》冒険者ギルド中央支部のホール。周囲には、依頼から戻った冒険者たちが談笑しながら報告を済ませたり、次の仕事を探したりと、いつも通りの喧噪が広がっている。

「ただいま戻りました。牙ラプトル、討伐完了です。六体倒してきました」

 リーナが受付カウンターに向かって一歩前に出て報告する。以前よりも堂々としたその声に、受付嬢の若い女性が微笑んだ。

「リーナさんですね。はい、確かに受け付けました。……討伐体数は、1対でいいのですけど……買い取りはできます。買い取りは解体所の方でお願いします。お見事でした。報酬、金貨四十枚、こちらになります。買い取り分は解体後の査定で金額が決まるのはごぞんじですよね」

「はい。分かってます!」

 金貨の入った袋を両手でしっかりと受け取りながら、リーナは嬉しそうに頬を緩めた。その横顔を見ながら、俺も少しだけ目を細める。解体所に、牙ラプトル六体を預け、預り証を受け取る。

「じゃ、次もCランク狙ってみるか?」

「もちろんです! 今日のうちに、次の依頼も決めちゃいましょう!」

 そう言ってリーナは、掲示板の前へ駆け出した。勢いよく駆け寄るその背中は軽やかで、自信に満ちていた。俺も遅れて後を追う。

 掲示板にはCランク帯の依頼が数十件、木枠に整然と貼られていた。周囲には他の冒険者もいたが、リーナはすっと一歩前に出て、すばやく目を走らせる。

「うーん……次は、ちょっと違うタイプの魔獣がいいかな……牙ラプトルみたいな機動型じゃなくて、魔法耐性が高いとか、そういうの……」

「タイプを変えるのはいい選択だな。次の昇格試験に備える意味でも、対応力を試すのは有効だ」

「じゃあ……あ、これどうでしょう」

 リーナが指差したのは――

 ◆討伐依頼
 依頼内容:『霧の湿地帯』にて、夜間に活動する魔獣「シェイドビースト」3体の討伐
 報酬:金貨50枚
 依頼ランク:C
 備考:霧の中での索敵と光源の確保が鍵。魔力に反応して襲いかかる習性あり。

「うん、いい目の付け所だ。あいつらとは視界が悪い中での戦いになるから、魔術師としての感覚も試される」

「ですね。課題は霧の中での索敵ですね。卓郎さんに頼らず索敵できるようにならないと」

「夜間任務になる。食事を済ませれば、今日、続けてできるじゃないか」

「はい、準備はしっかりしてから挑みます。じゃあ、これ……受けてきますね!」

 再び受付に向かうリーナの背中を見送りながら、俺は心の中で一言つぶやいた。

「……頼もしくなったな、本当に」

 
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