ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 森に静寂が戻ってから、ほんの数分。
 焼け焦げた地面から立ち昇る白煙の中、カイが卓郎に近づいた。

「……あれで倒せなかったの?」
「ああ。あいつ、まだ本気じゃなかった」
 俺はミスリルソードの刃を拭いながら答える。魔力感知の網を広げると、再び冷たい気配が、円を描くように周囲を取り囲んでいた。

 リーナも眉をひそめる。
「この魔力の揺らぎ……増えてる? 影が……三つ?」

 ――ザッ。
 森の奥、朽ちた巨木の陰から再び狩人が姿を現す。
 外套は裂け、兜の下から見える口元が歪んでいた。
 その背後に、先程よりも巨大で獰猛な影獣が二体、牙を剥き出しにしている。

「お前たち、やはり見込みがある。だが……この森の主を前に、生きて帰れると思うな」
 低く響く声と共に、地面から無数の黒い手が伸び、四方から襲いかかってくる。

「くっ……《ストーンウォール》!」
 卓郎が咄嗟に土壁を展開し、影の手を弾く。
 だが次の瞬間、影獣の一体が壁を跳び越え、カイとアリアへ迫る。

「させない! 《ウィンドカッター》六連!」
 リーナの杖先から、強化された風刃が立て続けに放たれる。魔道具による魔法効果2450の威力は、影獣の前脚を容易く断ち切った。

 卓郎は《影走り》で狩人の横合いへ回り込む。
「――《セイントシールド》!」
 光の盾で自分を包み、影の矢を弾き返す。そして、間髪入れず《フレイムジャベリン》を放つ。
 炎の槍が狩人を貫き、黒い外套が燃え上がった。

 その炎の中、狩人は不気味に笑った。
「よく見ろ……これが、この森を覆う根だ」

 炎の影の向こう――地面の下から、巨大な黒い樹根のようなものが脈動しながら露出する。
 樹根からは影が絶え間なく湧き出し、周囲の木々を枯らし、霧を生み出していた。

「これが……森の異常の源……!」
 アリアが息を呑む。

「そうだ。そして私はその力を狩り尽くし、この地を支配する」
 狩人が黒弓を引き、影獣たちが一斉に飛びかかる。

「リーナ! 全力で行くぞ!」
「もちろん!」
 二人は頷き合い、光と風、炎と水の連携が影獣たちを切り裂く――。

 狩人の黒弓が唸りを上げ、闇の矢が放たれた瞬間――卓郎は即座に《完全見切り》を発動。矢の軌道を見切り、刃で弾き返す。火花と黒い霧が散る。

「カイ、後ろに下がれ!」
「わかった!」
 カイはアリアと共に距離を取り、援護の構えを取る。

「リーナ、右の影獣は頼んだ!」
「任せて!」
 リーナの杖が緑光を帯び、《ウィンドカッター》が連射され、影獣の肩口から黒煙が噴き上がる。しかし敵は怯まず、咆哮と共に突進。

「――《ウォーターショット》!」
 リーナが即座に水弾を撃ち込み、影獣の足を弾き飛ばす。その隙を卓郎が見逃すはずもない。
「《影走り》からの――《斬光断》!」
 白光が夜闇を裂き、影獣の首が跳ねた。黒煙が爆ぜ、地面に吸い込まれていく。

 だが残る一体の影獣は、アリアへと迫っていた。
「私だって!」
 アリアの矢が放たれ、影獣の片目を穿つ。しかし止めきれない――
「《ブリンクステップ》《鋼壁斬》!」
 瞬間移動で卓郎が飛び込み、剣で影獣の突進を正面から受け止める。最強の斬撃で押し返し、間髪入れず《ホバームービング》で跳び上がり、頭蓋を真上から割った。

「……二体、沈黙」

「まだよ!」リーナが叫ぶ。

 地面から脈動する樹根がさらに膨張し、森全体に黒霧を吐き出し始める。その霧の中、狩人の姿が揺らぎ、三つの幻影が現れる。

「幻影……! 《ミュートゾーン》! 《サンクチュアリ》!」
 狩人の周囲の魔法が封じられ、聖なる結界があたりを包む。幻影が一瞬揺らぐ。その隙に俺は駆け出し、精錬銀のミスリルソードで樹根の一部を切り裂く。

 すると地面が大きく揺れ、樹根から獣のような咆哮が響いた。
「この森の根は生きている……!」アリアが震える声で言う。

「なら、まとめて焼き払う!」
 卓郎が天に剣を地面に突き刺し、《クリムゾンバインド》を発動。火の鎖で樹根と狩人を同時に拘束し、じわじわと焼いていく。

「ぐっ……! お前たち……その力……」
 炎の中、狩人の声が途切れ途切れに響く。だが倒れぬ。彼は燃え盛る外套を振り払い、黒弓を地面に突き立てた。

 ――瞬間、樹根から無数の影刃が飛び出し、四人を串刺しにしようと迫る。

「《アースシールド》!」
「《ウィンド》で逸らす!」
 土壁と風が同時に展開され、影刃は弾かれた。その背後で、カイが叫ぶ。
「卓郎兄ちゃん、樹根の核みたいなのが奥にある!」

「よし……リーナ、核を叩くぞ!」
 卓郎が《ブリンクステップ》で一気に樹根の奥へ跳び込み、リーナは《ウィンドカッター》と《ウォーターショット》を交互に撃ち込みながら道を切り開く。最後に卓郎が《終天の一閃》を振り抜いた。

 白と金の光が爆発し、樹根の核が粉砕される。
 同時に狩人の身体から黒煙が噴き出し、地面に崩れ落ちた。

「……これで……終わりではない……主は……まだ……」
 途切れた声と共に、狩人は霧となって消えた。

 霧が晴れ、森の静寂が戻る。しかし、遠くから不気味な低音が響いていた。

「……主、って……まだ何かいるの?」
 カイの問いに、卓郎は頷いた。
「森の異常は、あの樹根だけじゃないんだろう。まだ奥があるのかもしれないな……」

 その奥から漂う、途方もない魔力。四人は視線を交わし、再び歩みを進めた。

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