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〜兄弟の絆〜
デミタスの陰謀
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「畜生!」
デミタスはギルディアの首都ガルダニアにある中央司令部の自室で一人悪態を付いていた。
メルーサを始末しようと、ローゼンブルグとグラナダを結ぶ街道で彼女を襲撃したまでは良かったが、あと一歩のところで彼女の部下達が駆けつけた為、彼女を殺害することができなかった。
デミタスの幻影魔法は精神魔法なので、同じ精神魔法を得意とする者が駆けつけた者の中に居た場合、魔法が解かれる危険があった。もし幻影魔法が解かれてメルーサを襲撃したのが自分だと露呈すると、マルクスを殺害するのに支障が出ると思い、咄嗟に逃げる判断をしてしまった。
自室の椅子に座ってイライラしているとドアをノックする音が聞こえた。
「誰だ! 入れ!!」
ぶっきらぼうに言うとドアを恐る恐る開けて秘書官のダリアが入ってきた。今のデミタスにとって最も会いたくないエルフの登場にデミタスは一層不機嫌になった。
「どうした? 何かあったのか?」
不機嫌なデミタスがダリアに聞くと顔をこわばせながら話し出した。
「そ、その……、メルーサ隊長が何者かに襲われました」
「なんだと!! それは本当か?」
襲ったのは自分なのに驚いた口調で答えた。
「はい。残念ながら本当です」
「それで? メルーサは無事なのか?」
「はい、かなり重症ですが命に別状はないです」
「そうか、それは良かった」
デミタスは口ではそう言ったが、腹の中ではメルーサの無事に腹立たしかった。
(チッ! やっぱりあの女生きていたのか、あと少しのところで邪魔が入らなければ確実に息の根を止めていたのに……)
目論見が失敗に終わったことがダリアの報告で確実となり、デミタスは一層苛立った。その様子を見たダリアはまだ何か言いたいことがあるのかオドオドしながら立っていた。
「どうした? まだ何か報告することがあるのか?」
「は、はい。それが……」
ダリアが中々話さないので、業を煮やしたデミタスは、早く話せ、と声を荒げた。
「はい! その、ボルダーにいる者の報告によりますと、マルクス隊長に恋人ができたとの情報があります」
「何? マルクスに恋人だと?」
「は、はい」
「別にマルクス隊長もいい歳だから恋人がいてもおかしくないだろう、そんなことを言いにわざわざ来たのか?」
「そ、それが……」
なんとも歯切れが悪いダリアの態度でなんとなく察しがついた。
「ボルダーには女性の兵士はそれほど多くいないのに一体誰と付き合っているんだ?」
「そ、それが……、現地の女性ということのようです」
デミタスの予想は当たった。これは使える情報かもしれないと内心喜んだが、不審がられてはいけないと思い、感情を表に出すとなく話を続けた。
「現地の女性だと? あそこはルーン大国の領地だぞ! ということは……、まさか、その女性というのは人間の女なのか?」
「は、はい。どうもその様です」
「なんだと! あいつは曲がりなりにもギルティークラウンだぞ! それが真実だったら厄介なことになるぞ!」
「は、はい」
「この情報を知っている者は他にいるのか?」
「いえ。まだ私とデミタス長官とボルダーにいる者だけです」
「そうか、それは良かった。あまり事を荒立てたくないから、他の者には話さないでくれ」
「はい、わかりました」
「それと、この情報が真実かもう少し調査が必要だな。ダリア! 君が秘密裏に調べてくれないか? 人員を割いてもいいからその人間の女の素性を詳しく調べてくれ」
「は、はい。わかりました」
そう返事をするとダリアは部屋を出て行った。ダリアがドアを出ていったのを見届けるとデミタスは上機嫌で笑った。もしダリアの言ったことが真実ならばその女を攫ってマルクスを誘き寄せることができる。デミタスはマルクス殺害という念願が叶う情報をつかめたことに心が踊った。
マルクスのことだからその女性を連れ出すことができれば誘い出すことは造作もない。それにはまずマルクスと女を引き離す必要があると考えた。いくら大勢のモンスターで女の家を襲撃してもマルクスに邪魔されれば元も子もない。デミタスはしばらく考えた後に恐ろしい作戦を考えた。
デミタスは思いついた作戦をすぐに実行に移した。すぐに司令部に掛け合って、あることを提案するとその日のうちに全ギルディーたちにボルダー撤退の命令が下った。
デミタスは指令書を眺めながらニヤニヤと笑った。
(よし! これでボルダーからギルディアの兵士が撤退すれば、否応なしにマルクスとその女を引き離すことができる。これで彼奴に邪魔されること無く、俺のモンスターを使って女を連れ去ることができる)
デミタスは自室のイスに深く座り込むと、ダリアの報告を心躍らせながら待った。
デミタスはギルディアの首都ガルダニアにある中央司令部の自室で一人悪態を付いていた。
メルーサを始末しようと、ローゼンブルグとグラナダを結ぶ街道で彼女を襲撃したまでは良かったが、あと一歩のところで彼女の部下達が駆けつけた為、彼女を殺害することができなかった。
デミタスの幻影魔法は精神魔法なので、同じ精神魔法を得意とする者が駆けつけた者の中に居た場合、魔法が解かれる危険があった。もし幻影魔法が解かれてメルーサを襲撃したのが自分だと露呈すると、マルクスを殺害するのに支障が出ると思い、咄嗟に逃げる判断をしてしまった。
自室の椅子に座ってイライラしているとドアをノックする音が聞こえた。
「誰だ! 入れ!!」
ぶっきらぼうに言うとドアを恐る恐る開けて秘書官のダリアが入ってきた。今のデミタスにとって最も会いたくないエルフの登場にデミタスは一層不機嫌になった。
「どうした? 何かあったのか?」
不機嫌なデミタスがダリアに聞くと顔をこわばせながら話し出した。
「そ、その……、メルーサ隊長が何者かに襲われました」
「なんだと!! それは本当か?」
襲ったのは自分なのに驚いた口調で答えた。
「はい。残念ながら本当です」
「それで? メルーサは無事なのか?」
「はい、かなり重症ですが命に別状はないです」
「そうか、それは良かった」
デミタスは口ではそう言ったが、腹の中ではメルーサの無事に腹立たしかった。
(チッ! やっぱりあの女生きていたのか、あと少しのところで邪魔が入らなければ確実に息の根を止めていたのに……)
目論見が失敗に終わったことがダリアの報告で確実となり、デミタスは一層苛立った。その様子を見たダリアはまだ何か言いたいことがあるのかオドオドしながら立っていた。
「どうした? まだ何か報告することがあるのか?」
「は、はい。それが……」
ダリアが中々話さないので、業を煮やしたデミタスは、早く話せ、と声を荒げた。
「はい! その、ボルダーにいる者の報告によりますと、マルクス隊長に恋人ができたとの情報があります」
「何? マルクスに恋人だと?」
「は、はい」
「別にマルクス隊長もいい歳だから恋人がいてもおかしくないだろう、そんなことを言いにわざわざ来たのか?」
「そ、それが……」
なんとも歯切れが悪いダリアの態度でなんとなく察しがついた。
「ボルダーには女性の兵士はそれほど多くいないのに一体誰と付き合っているんだ?」
「そ、それが……、現地の女性ということのようです」
デミタスの予想は当たった。これは使える情報かもしれないと内心喜んだが、不審がられてはいけないと思い、感情を表に出すとなく話を続けた。
「現地の女性だと? あそこはルーン大国の領地だぞ! ということは……、まさか、その女性というのは人間の女なのか?」
「は、はい。どうもその様です」
「なんだと! あいつは曲がりなりにもギルティークラウンだぞ! それが真実だったら厄介なことになるぞ!」
「は、はい」
「この情報を知っている者は他にいるのか?」
「いえ。まだ私とデミタス長官とボルダーにいる者だけです」
「そうか、それは良かった。あまり事を荒立てたくないから、他の者には話さないでくれ」
「はい、わかりました」
「それと、この情報が真実かもう少し調査が必要だな。ダリア! 君が秘密裏に調べてくれないか? 人員を割いてもいいからその人間の女の素性を詳しく調べてくれ」
「は、はい。わかりました」
そう返事をするとダリアは部屋を出て行った。ダリアがドアを出ていったのを見届けるとデミタスは上機嫌で笑った。もしダリアの言ったことが真実ならばその女を攫ってマルクスを誘き寄せることができる。デミタスはマルクス殺害という念願が叶う情報をつかめたことに心が踊った。
マルクスのことだからその女性を連れ出すことができれば誘い出すことは造作もない。それにはまずマルクスと女を引き離す必要があると考えた。いくら大勢のモンスターで女の家を襲撃してもマルクスに邪魔されれば元も子もない。デミタスはしばらく考えた後に恐ろしい作戦を考えた。
デミタスは思いついた作戦をすぐに実行に移した。すぐに司令部に掛け合って、あることを提案するとその日のうちに全ギルディーたちにボルダー撤退の命令が下った。
デミタスは指令書を眺めながらニヤニヤと笑った。
(よし! これでボルダーからギルディアの兵士が撤退すれば、否応なしにマルクスとその女を引き離すことができる。これで彼奴に邪魔されること無く、俺のモンスターを使って女を連れ去ることができる)
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