31 / 35
異世界惑星探求編
アル=シオン
しおりを挟む
アル=シオンのドミニク大公は上機嫌になっていた。
ウロボロス海賊団がジーク達を捕縛して、銀河パトロールとグロリアもろとも人工ブラックホールに吸い込まれていなくなったとの連絡を受けたためである。グロリアはドミニク大公の忠実な部下であったが、最初から助ける気などなかった。この時のために海賊船の一隻に超重力加速装置を搭載して、いつでも人工的にブラックホールを形成できる船を用意しておいて本当によかったと思った。
あのグロリアが銀河パトロールに捕まったと聞いた時は、洗いざらい証言されて自分の地位が危うくなるのではないかとヒヤヒヤしたが、全てを闇に葬り去ることができたと思いドミニク大公はホッと胸を撫で下ろしたが、何か少し違和感が有った。
(うまくいきすぎている?)
ドミニク大公が神経質になるのには理由があった。
明日は自分がアル=シオンの王になって八周年の記念する日だった。記念日のメイン行事はカルラ星の王よりガーディアン勲章がドミニク大公に送られることが決まっていたため、アル=シオンでは盛大なパーティーやら式典の準備などで忙しく、また、様々な星の王族たちがアル=シオンに詰めかけていた。
一夜明けアル=シオンのドミニク大公はすこぶる機嫌が良かった。スペースプラネット社のニュースで銀河系の端で人工ブラックホールが発生して銀河パトロールの隊員と護送中のグロリアと海賊船がそのブラックホールに呑み込まれて行方不明との記事が掲載されていたからであった。
部下より報告は受けていたが、信憑性に欠けていたのでニュース記事を見てこれで完全に自分は安泰だと思った。心の荷がなくなったおかげで体調も良く今朝の朝食は久々に二杯もおかわりをしてしまった。
今日は人生で最も清々しい一日になる。ドミニク大公は式典の衣装に着替えて貴賓室に向かった。アル=シオン星の貴賓室の入り口にはレッドカーペットが敷かれており、式典の会場に相応しいように大きな彫刻の像やら大きな花飾りが所狭しと置かれていた。
レッドカーペットに高級車が停まり、次々と各惑星の王族が車から降りるたびに多くのレポーターがインタビューや写真撮影をしていた。ドミニク大公はその様子を貴賓室の二階の窓から見ていた。
式典に参加する王族が貴賓室に入るといよいよ式典が始まった。まずはドミニク大公へカルラ星の王よりガーディアン勲章の授与式が行われた。カルラ星の王とドミニク大公が舞台に出ると大勢のマスコミのカメラが一斉に二人を撮影して、その様子が貴賓室にある巨大ビジョンに映し出されていた。カルラ星の王よりガーディアン勲章の表彰状が読み上げられた。
「ドミニク大公よ、汝は己の財を顧みず全宇宙の平和のために私財を投げ打って宇宙の秩序回復に貢献した。よってここに感謝を示しガーディアン勲章を授与したい」
「ははー! ありがたき幸せ!!」
ドミニク大公が表彰状を受け取ろうと前に出た時、突然巨大ビジョンの映像が切り替わりそれを見た観客は唖然とした。巨大ビジョンにはアル=シオン星の前王のライカ王を殺害しているドミニク大公の様子が映し出された。その映像はパルタが八年前に隠しカメラにより撮影した映像だった。次に映し出された映像では、カプセルに入ったカレンをドミニク大公が部下のグロリアに殺害する様に命令しているところが映し出された。
ドミニク大公は目の前で起こっている悪夢のような現実が信じられなく大いに取り乱していた。
「なんだこれは!! こんなのでっち上げの映像だ! 誰か早く映像を止めろ!!」
ドミニク大公の訴えも虚しく部下が電源を抜いても映像は途切れることなく次々とドミニク大公がこれまで行ってきた悪事が巨大ビジョンに映し出された。
俺は報道記者席から出ると狼狽えているドミニク大公へ観念したらどうだ?、と言った。ドミニク大公は俺の姿を確認すると驚いた表情でなんで? 生きている?、と言った。
「ウロボロス海賊船ごと人工ブラックホールに飲み込まれたのに信じられない、と言った様子だな」
「なぜ? 生きている? 確かに呑み込まれたはずなのに?」
「超重力加速装置みたいな物騒なものを詰んでる船をパルタが気づかないとでも思っているのか?」
「なんだと? でも確かに部下からの報告では……! に…偽の情報か?」
「あんたの部下には幻影を見せていたのさ、パルタは人の脳に直接電波を送って幻影を見せるのが得意なんだよ」
「で…でも、スペースプラネットの記事はどうなんだ? あれも偽物なのか?」
「スペースプラネットの記者が仲間にいてね。そいつが協力してくれたのさ。俺たちが記者に変装してここに潜り込めたのもそいつのおかげだ!」
「な…なんだと! お……お前達が生きていると言うことは? も…もしかして?」
「ああそうだ。グロリアも銀河パトロールの隊員もみんな無事だよ。彼らはすでに銀河パトロール本部に到着してる頃だろうな!」
「き……貴様らよくも私を騙したな! ここに来たことを後悔させてやる!!」
ドミニク大公はそう言うとアル=シオンの私兵に俺たちを殺害する様に命令した。俺はあっという間に大勢のアル=シオン兵に囲まれた。
「いくら貴様が強くてもこれだけの兵士を相手にするのは不可能だろう」
「俺がパルタと二人だけでここに来たと思うか?」
俺がそう言った瞬間、記者席から報道人に紛れた海賊達が一斉に出てきた。ドミニク大公は突然出てきた海賊達に向かって怒りをあらわにした。
「お前達……、な…何者だ?!」
「何者かはあんたが一番よくわかってるんじゃないのか?」
海賊達をかき分けてグフタスが出てきてドミニク大公と対峙して言った。
「お…お前達のような者。私が知るわけがないだろ!」
ドミニク大公は毅然とした態度でグフタスに言い放った。
「もうお前がしてきたことは全て調べがついてあるんだ」
ドミニク大公は声のした方を見て我が目を疑った。
「な?……なんでお前がそこにいるんだ?」
声の主はウロボロス海賊団団長だった。
ウロボロス海賊団がジーク達を捕縛して、銀河パトロールとグロリアもろとも人工ブラックホールに吸い込まれていなくなったとの連絡を受けたためである。グロリアはドミニク大公の忠実な部下であったが、最初から助ける気などなかった。この時のために海賊船の一隻に超重力加速装置を搭載して、いつでも人工的にブラックホールを形成できる船を用意しておいて本当によかったと思った。
あのグロリアが銀河パトロールに捕まったと聞いた時は、洗いざらい証言されて自分の地位が危うくなるのではないかとヒヤヒヤしたが、全てを闇に葬り去ることができたと思いドミニク大公はホッと胸を撫で下ろしたが、何か少し違和感が有った。
(うまくいきすぎている?)
ドミニク大公が神経質になるのには理由があった。
明日は自分がアル=シオンの王になって八周年の記念する日だった。記念日のメイン行事はカルラ星の王よりガーディアン勲章がドミニク大公に送られることが決まっていたため、アル=シオンでは盛大なパーティーやら式典の準備などで忙しく、また、様々な星の王族たちがアル=シオンに詰めかけていた。
一夜明けアル=シオンのドミニク大公はすこぶる機嫌が良かった。スペースプラネット社のニュースで銀河系の端で人工ブラックホールが発生して銀河パトロールの隊員と護送中のグロリアと海賊船がそのブラックホールに呑み込まれて行方不明との記事が掲載されていたからであった。
部下より報告は受けていたが、信憑性に欠けていたのでニュース記事を見てこれで完全に自分は安泰だと思った。心の荷がなくなったおかげで体調も良く今朝の朝食は久々に二杯もおかわりをしてしまった。
今日は人生で最も清々しい一日になる。ドミニク大公は式典の衣装に着替えて貴賓室に向かった。アル=シオン星の貴賓室の入り口にはレッドカーペットが敷かれており、式典の会場に相応しいように大きな彫刻の像やら大きな花飾りが所狭しと置かれていた。
レッドカーペットに高級車が停まり、次々と各惑星の王族が車から降りるたびに多くのレポーターがインタビューや写真撮影をしていた。ドミニク大公はその様子を貴賓室の二階の窓から見ていた。
式典に参加する王族が貴賓室に入るといよいよ式典が始まった。まずはドミニク大公へカルラ星の王よりガーディアン勲章の授与式が行われた。カルラ星の王とドミニク大公が舞台に出ると大勢のマスコミのカメラが一斉に二人を撮影して、その様子が貴賓室にある巨大ビジョンに映し出されていた。カルラ星の王よりガーディアン勲章の表彰状が読み上げられた。
「ドミニク大公よ、汝は己の財を顧みず全宇宙の平和のために私財を投げ打って宇宙の秩序回復に貢献した。よってここに感謝を示しガーディアン勲章を授与したい」
「ははー! ありがたき幸せ!!」
ドミニク大公が表彰状を受け取ろうと前に出た時、突然巨大ビジョンの映像が切り替わりそれを見た観客は唖然とした。巨大ビジョンにはアル=シオン星の前王のライカ王を殺害しているドミニク大公の様子が映し出された。その映像はパルタが八年前に隠しカメラにより撮影した映像だった。次に映し出された映像では、カプセルに入ったカレンをドミニク大公が部下のグロリアに殺害する様に命令しているところが映し出された。
ドミニク大公は目の前で起こっている悪夢のような現実が信じられなく大いに取り乱していた。
「なんだこれは!! こんなのでっち上げの映像だ! 誰か早く映像を止めろ!!」
ドミニク大公の訴えも虚しく部下が電源を抜いても映像は途切れることなく次々とドミニク大公がこれまで行ってきた悪事が巨大ビジョンに映し出された。
俺は報道記者席から出ると狼狽えているドミニク大公へ観念したらどうだ?、と言った。ドミニク大公は俺の姿を確認すると驚いた表情でなんで? 生きている?、と言った。
「ウロボロス海賊船ごと人工ブラックホールに飲み込まれたのに信じられない、と言った様子だな」
「なぜ? 生きている? 確かに呑み込まれたはずなのに?」
「超重力加速装置みたいな物騒なものを詰んでる船をパルタが気づかないとでも思っているのか?」
「なんだと? でも確かに部下からの報告では……! に…偽の情報か?」
「あんたの部下には幻影を見せていたのさ、パルタは人の脳に直接電波を送って幻影を見せるのが得意なんだよ」
「で…でも、スペースプラネットの記事はどうなんだ? あれも偽物なのか?」
「スペースプラネットの記者が仲間にいてね。そいつが協力してくれたのさ。俺たちが記者に変装してここに潜り込めたのもそいつのおかげだ!」
「な…なんだと! お……お前達が生きていると言うことは? も…もしかして?」
「ああそうだ。グロリアも銀河パトロールの隊員もみんな無事だよ。彼らはすでに銀河パトロール本部に到着してる頃だろうな!」
「き……貴様らよくも私を騙したな! ここに来たことを後悔させてやる!!」
ドミニク大公はそう言うとアル=シオンの私兵に俺たちを殺害する様に命令した。俺はあっという間に大勢のアル=シオン兵に囲まれた。
「いくら貴様が強くてもこれだけの兵士を相手にするのは不可能だろう」
「俺がパルタと二人だけでここに来たと思うか?」
俺がそう言った瞬間、記者席から報道人に紛れた海賊達が一斉に出てきた。ドミニク大公は突然出てきた海賊達に向かって怒りをあらわにした。
「お前達……、な…何者だ?!」
「何者かはあんたが一番よくわかってるんじゃないのか?」
海賊達をかき分けてグフタスが出てきてドミニク大公と対峙して言った。
「お…お前達のような者。私が知るわけがないだろ!」
ドミニク大公は毅然とした態度でグフタスに言い放った。
「もうお前がしてきたことは全て調べがついてあるんだ」
ドミニク大公は声のした方を見て我が目を疑った。
「な?……なんでお前がそこにいるんだ?」
声の主はウロボロス海賊団団長だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れ果てた俺がたどり着いたのは、圧倒的な自由度を誇るVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は、幼い頃から密かに憧れていた“料理人”。しかし戦闘とは無縁のその職業は、目立つこともなく、ゲーム内でも完全に負け組。素材を集めては料理を作るだけの、地味で退屈な日々が続いていた。
だが、ある日突然――運命は動き出す。
フレンドに誘われて参加したレベル上げの最中、突如として現れたネームドモンスター「猛き猪」。本来なら三パーティ十八人で挑むべき強敵に対し、俺たちはたった六人。しかも、頼みの綱であるアタッカーたちはログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク・クマサン、ヒーラーのミコトさん、そして非戦闘職の俺だけ。
「逃げろ」と言われても、仲間を見捨てるわけにはいかない。
死を覚悟し、包丁を構えたその瞬間――料理スキルがまさかの効果を発揮し、常識外のダメージがモンスターに突き刺さる。
この予想外の一撃が、俺の運命を一変させた。
孤独だった俺がギルドを立ち上げ、仲間と出会い、ひょんなことからクマサンの意外すぎる正体を知り、ついにはVチューバーとしての活動まで始めることに。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業。
そんな俺が、仲間と共にゲームと現実の垣根を越えて奇跡を起こしていく物語が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる