おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

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第09章 勇者召喚

11 勇者との邂逅

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「いよいよだな」
「ええそうね」
「こ、これで終わり、なんだよね」
「長かったような気がするな」
「まだ2か月ぐらいしかたっていないけれどね」
「四天王なんてもんまで出てくるし……あれ? そう言えばまだ3人しか戦ってないよな」
「そういえばそうね」
「もしかして、この中に?」
「かもしれない」
「だとすると、連戦」
「ちょっときつそうだけど、ゲームだとよくあるし、俺たちならきっと大丈夫だよ」
「そ、そうね。孝輔、何か言いなさい」
「俺が?」
「勇者でしょ」
「わ、わかったよ。それじゃ、みんな魔王を倒して世界の平和を取り戻そう」

 孝輔のそんな言葉とともに気合の声を上げる面々であった。

「それじゃ、行くぞ!」

 気合を入れて孝輔は意気揚々と魔王城の扉を開け放った。

「おう、ここまでくるたぁやるじゃねぇか」

 扉を開けるとそこに現れたのはとにかく巨大な魔族の男。その威容はまさに魔王そのもだった。

「ま、魔王?」
「い、いきなりかよ!」
「そんな!」

 孝輔たちはいきなりのことで戸惑いながらも何とか武器を構える。

「魔王? 違うぜ。俺はダンクス、魔王軍四天王筆頭ダンクスだ」
「四天王?」
「嘘だろ?」

 どう見ても魔王にしか見えないダンクス、しかしその正体は四天王の筆頭だという、これには孝輔たちも驚きを隠せない。これが四天王なら一体魔王とはどんな存在なんだ。実はキリエルタ教でも魔王が誕生したという情報はつかんでいても、その魔王がどんな姿をしているのかということはわかっていなかった。といっても、実際にはちゃんと人族の子供であるということは枢機卿が伝えてあるのだが、教会がそれを信じなかっただけなんだが。

「と、とにかくやるぞ」
「ええ」

 というわけで始まった勇者一行とダンクスの戦い。



「はぁ、はぁ、はぁ、つ、強い」
「つ、強すぎでしょ。何よこれ」
「先輩、孝輔君今、ヒールを……」

 ダンクスとの戦いはまさに苛烈、これまで3人の四天王と戦ってきた孝輔たちであったが、ダンクス相手ではほとんど手も足も出ない。それほどのダンクスは強かった。

「まっ、このぐらいか……ふぅ、飽きたな」
「へっ?」

 ダンクスが孝輔たちの耳に届かないような小さな声で言ったのち、飽きたと言い出したことに孝輔は間の抜けた声を出してしまった。

 そんなあっけにとられている孝輔たちをよそにダンクスは何と踵を返して、背後にある階段を上りその先の扉の先に消えてしまった。

「え、ええと」
「どういうこと?」
「な、なにが起きたの? 孝輔君」
「いや、俺に言われても」

 戦いの途中で去ってしまったダンクスの行動に意味が分からない孝輔たち。それは聖騎士たちも同様で一様に顔を見あっている。

「と、とにかく追いかけるぞ」
「え、ええそうね」
「うん」

 孝輔たちはダンクスの後を追いかけるように階段を駆け上がり、そのあとを追うように聖騎士たちも階段を駆け上がって行く。

 そして、扉の前についた孝輔はこれまた勢いよく扉を開け放った。

「おう、よく来たなぁ。勇者たち歓迎しよう」
「えっ?」
「なっ?」
「え、えっ?」

 3人が扉を開けると、そこはまさに謁見の間でその先中央にある玉座に鎮座する1人の子供。これまた意味が分からず固まる3人であった。

「勇者様、いかがしまし、えっ、子供?」
「なぜ、こんなところに子供が?!」

 追いかけてきた聖騎士たちも戸惑っている。

「俺の名はスニルバルド・ゾーリン・テレスフィリア、ここテレスフィリア魔王国魔王だ」
「えっ?」

 まさかの名乗りに驚愕する孝輔たち勇者一行である。彼らのイメージとしては、先ほど戦ったダンクスこそが魔王でり、決してこのような子供ではない。

「勇者様騙されてはなりません。魔王は魔法に長けていると聞きます。おそらく魔法により姿を変えているのでしょう」
「そうです。ええい、正体を見せろ、魔王!」

 ダゴンの言葉に部下の聖騎士も乗ってあれこれと言い出した。

「……うっとうしいな」

 魔王が突如そうつぶやき、指をぱちりと鳴らした。するとどうだろう突然聖騎士たちの足元に魔方陣が浮かびあがった。

「くっ、退避!」

 ダゴンの冷静な判断で退避命令を下すが、残念足が全く動かない。それどころか魔方陣の中心から真っ黒な闇が出現した。

「な、なんだこれは、くそっ、勇者様お逃げくだ……」

 逃げれないと分かったダゴンは勇者に逃げるように言おうとしたが、闇が彼らを飲み込んでしまった。

「ダゴンさん! みんな!」
「そ、そんなっ!」
「あ」



▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽



 謁見の間で緊張しながら待っていると、扉が開いて魔族姿になったダンクスが戻ってきた。

「おう、戻ったぜ」
「お疲れ、どうだった?」
「腕はよさそうだけどまだまだ未熟だな。ありゃぁ鍛えればそれなりに使えるようになるぜ」
「そうか、まぁ俺としてはその予定はないけど、本人次第だな」
「だろうな。それじゃ俺は奥に行ってるぜ」
「おう」

 そう言ってダンクスはさっさと奥へと引っ込んでいく、この後勇者たちが追いかけてくるだろうからあまりゆっくりと話していられないしね。っと、そんなことを思っていたらもう勇者たちがやってきたようだ。
 扉がバンッと勢いよく開けられたと思ったら、黒髪黒目のいかにも勇者ですという白を基調としたミスリル鎧を身にまとったイケメンが出現した。勇者ってのはイケメンじゃなきゃいけないのだろうか。そんな疑問を思っているとその後ろから、勇者と雰囲気などが似ている背の高い少女が軽装備で手甲足甲をつけてやってきた。たぶん勇者の姉だな。そして最後にやってきたのは何というか大人しめな感じの少女で神官みたいな服を着ていることから聖女だろう。まぁそのあとに続く有象無象はほっといて勇者一行がやってきた。

「おう、よく来たなぁ。勇者たち歓迎しよう」

 歓迎の意味を込めてそう言ってみたら、なんだか一様に驚かれた。うん、わかってた、俺が子供だから驚いたのだろう。その後も、いきなり正体を現せ打とか言い出す有象無象、なんだかうっとうしかったので、予定通り魔法を行使。ちょっと演出に凝ってみたけれど、実はこれ、ただの”転移”なんだよな。勇者たちもまさに悲壮感たっぷりに見送ってるし、さて、ここまでは予定通り、問題はここからだ。
 というのもこれから俺は勇者たちに俺が敵ではないということ、元はといえ日本人であるということを話さなければならない。しかし、何度も言っているように俺は超絶的な人見知り、そんな俺が果たしてうまく説明できるのであろうか。というか俺ってこういう説明ってホント苦手なんだよな。勇者が来るまで時間があったからあれこれ考えてはみたんだけれど、結局いざというときになると真っ白になって自分が何を言おうとしていたのか忘れてしまうんだよ。えっと、ほんとなんだったっけ?

「くそっ、卑怯だぞ! 正体を現せ魔王!」

 仲間を消されて憤慨する勇者、あれ、これってよっとやりすぎたかな。それはともかくさっきから正体を現せtt言われるけど、正体すでに丸出しなんだけどな。これってもしかして、『ふはははっ、よくぞ見破った』とか言えってことか、いやいや、俺にそんなセリフを求めないでくれ。

「待ちなさい孝輔」
「姉ちゃん!」

 勇者がまさに斬りかかろうとしたところでなんと、勇者の姉が止めた。

「落ち着きなさい、まず聞くことがあるでしょう」
「あっ」

 聞くって何をだろうか。

「魔王答えなさい。私たちがもとの世界に変える方法、あなたなら知っているのでしょう」

 ……なんというか、どっかで聞いたことあるようなことを聞かれた。確か昔読んだラノベで勇者召喚した王様が勇者に言ってた。長く生きてる魔王なら元の世界に変える方法を知っているはずだと。これって完全な他人任せというか、責任逃れというか。

「ああ、えっと、お前らはここに何をしに来たんだ?」

 わかりきっていることではあるが、思わず聞きたくなった。

「そ、そんなこと、お前を倒して世界を平和にするために決まっているだろう」

 よどみなく勇者がそう答え、ほか2人も同意した。

「つまり、お前たちは俺の敵というわけだが、どこの世界に敵に有益な情報を渡す奴がいる?」

 ちょっと考えればわかることだが、敵だったら間違いなく知ってても言わないし、下手すると嘘を教えると思う。

「そ、それは……」

 俺の言葉に絶句してしまう勇者たち、まぁ、そうなるよな。でも、これはチャンスだ。ここから話をつけていけば話が進むはずだ。

「尤も、俺は別にお前たちと敵対するつもりがないから、話すけどな」
「えっ?!」
「そ、それは?」
「どういうこと?」

 続く俺の言葉に戸惑う3人。

「そのままだ。んで、元の世界、つまり地球、日本にけえる方法だろ。結論から言ってそいつは残念ながら無理だ」

 ちょっと心苦しいがはっきりと告げる必要がある。

「なっ! なんでだよ!」
「そんな!」
「嘘よ!」

 帰れないと聞き憤慨する3人、まだ3人とも俺が魔王であり敵という認識だから信じていないようだ。

「本当だ。残念ながらな。俺としてもまだ高校生であるお前たちを親もとに返してやりたいというのはあるができないというのも事実なんだ。そうだな、とりあえずその説明をしようか」

 まだ信じられないようなのでとりあえず落ち着けるためにも、なぜ日本に帰れないのかを説明しようと思う。

「さて、そうだな。まずはこれを見てくれ」

 そう言ってから俺はまず土魔法で地球を作り出す。

「こんなもんだろ、細部が違うかもしれないが気にしないでくれ、俺もそんなまじまじと地球儀なんて見たことないからな。いや待てよ。考えてみたら俺って地球儀って生で見たことないなぁ」

 なんて関係ないことをつぶやきながらも、今度は水魔法で地球の周りに膜を張る。

「これが世界だ。まぁ、厳密にいうと世界ってのは地球を含む宇宙全体なんだけど、今回はわかりやすくするためにあえて地球のみとするぞ」

 俺が説明を始めると3人は驚きつつも黙って聞いている。

「それで、こいつがこの世界な」

 同じようにこの世界も作り上げていく。

「そんで、世界を渡るにはどうすっかってぇとまずはこうして今いる世界の出る必要があるんだが、見ての通りこうして膜があって通ることはできない」

 説明しながらこの世界側に小さな人形を作り外に出そうとすると、当然周りに張った膜に阻まれて通り抜けることができない。

「この膜、これは例だから水の膜だが、本来は次元的な壁みたいなもので、普通通れるものじゃない。それでも通ろうとすれば、こんな風になるわけだ」

 そう言いながら今度は人形を膜に突貫させるように動かす。

「通れないのならどうして渡れるのよ」
「無理やり突き破るしかないが、その際に約4割、魂を消耗することになる」
「魂の消耗って、なんだよそれ」
「それぐらいの力を使わないと次元的な壁は通れないというわけだ。んで、逆もまたしかり、同じく4割ほどの消費をしてようやく世界を渡れる。つまりだ合計8割魂を消費しなければ世界は渡れない。そして、すでにこの方法で世界を渡っているお前たちはその8割を消費した状態でもある」
「えっ?」
「そ、それじゃあ、私たちの魂は残り2割しかないってこと?」
「ふざけんなよ。俺たちは勇者として召喚されたんだぞ。それなのになんだよそれ」

 ここであえて言わないが、実は本来なら世界の壁を突き破った後、世界と世界のはざまを通ることになる。その際にも魂は消費してしまい、そこですべての魂を消費してしまっていた可能性があった。しかし、今回は俺がこの世界にくる際に使った道がまだ残っており、そこを通ることで消費を防ぐことができたとのことだ。もちろんこの事実を3人に説明する必要はないし、さらなる不安を能えりことになるので言わないけどな。

「それに関しては、そもそも俺が魔王を名乗ったことが原因みたいなものだから何とも言えないが」

 勇者の憤慨に対して原因の一端である俺としては、何も言うことはできないしいうつもりはない。

「そうだ! 嘘だろ! そうやって嘘をついて俺たちを混乱させるために、くそっ、魔王め!」

 ミスったか、なぜか勇者がさらに憤慨し剣を抜き放った。おかしい、俺は敵対する気はないといったはずなんだがな。

「落ち着きなさい孝輔、それより魔王、さっきから気にはなっていたのだけど」
「なんだ?」
「もしかしたらあなたは、日本人?」
「何言ってるんだよ姉ちゃん、こんなやつ日本人じゃ」
「でも、私たち日本のこと何も言っていないのに、私たちが日本人だって、高校生だって知ってた。なんで知っているのかはわからないけれど、日本のことも知ってる。それに何より気づかない、さっきから、ううん、最初からずっとこの人、で話しているのよ」

 勇者の姉がそういうように、実は俺最初から日本語で話している。しかし勇者たちは”言語理解”というスキルを持っているために気が付くのが遅くなっている。
 この”言語理解”というのはそのままであらゆる言語を理解できるスキルで、俺とは違いすべての言語が日本語と同じ感覚で使えるということだ。だから例えば俺がコルマベイントの言葉を使おうが、もとから彼らには日本語で聞こえているわけだな。

「気づいたようだな。尤も正確にはだけどな。今の俺は間違いなくこの世界で生まれた人間だからな。要は異世界転生ってやつだ」
「そ、そんなのきっと魔法で俺たちの記憶を読み取ったに違いないって」

 ここにきてまだ信じない勇者、どうしたものか。

「それはないと思う、だって言葉遣いとか独特だし」

 まさかの聖女からの援護である。

「それは記憶を読んでるから間違えたんじゃ」
「ああ、もしかして帰るってのをけえるって言ったことか?」

 俺としても自覚している癖なんだよなこれ、こっちの世界の言葉で話すときは出ないんだが、やはり日本語で話すと出てくる奴。

「ああ、そんな変な言葉使うやついないだろ」
「方言とか?」
「それとはちょっと違うな。俺の出身地は関東だし、基本は標準語だからな。ただ、俺の世代だとあるアニメの影響があるんだよ」

 前世の俺はまさに幼いころからあのアニメを見て育った世代、言葉遣いが影響を受けていたとしても全くおかしくない。

「あるアニメって」
「あっ、もしかしてあのバトルの、そういえば主人公がそんな言葉遣いだったような」
「だろ、あれは今でも人気のあるものだからな」
「あれ、というかあれってだいぶ昔のアニメだよね」
「まぁ、前世では40手前だったからなぁ。あれから15年とするとおそらく50超えてるし」

 記憶的にはまだ40代だ。

「とまぁ、これで信じてもらえたか、俺が元日本人でお前たちと敵対する気がないって」
「は、はい」
「し、信じます。けれどさっきの話は本当ってことなんですよね」
「残念ながらな」
「そんな」

 これでようやく3人は俺のことを信じてくれたようだが、俺の話が本当であることが分かりショックを受けてしまっているようだ。まぁ、こればかりは仕方ない、これから時間をかけていやしてもらうしかないだろう。保護する以上、俺もそれに全力でサポートするだけだ。
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