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第11章 戦争
10 戦争準備
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緊急で開いた議会にて、此度の戦争について話し合いを行っている。しかし、魔族を始め俺たちは誰も戦争を剣剣士ていないために、長年人族と戦い続けている獣人族が中心に行われた。といってもさすがに獣人族もこれほどの規模の敵と戦った経験はなく、正しい対策かどうかはわからない。というか、そもそもたった数戦の兵数でこんな100万以上の敵と戦争したことがあるやつはいないと思う。というか普通に考えたら戦いにすらならないだろう。
「いくらこの世界に魔法があるといっても、限度があるよな。まぁ、俺はその限りではないんだが」
俺が落ち着ていられるのは当然俺ならたとえ100万が相手でもなんとかなる手段を持っているからだ。
「とはいえ、さすがに使いずらいから、最終手段だな」
いくら何とか出来るからといって、いきなり大魔法をぶっ放して敵を殲滅なんてしたら、それこそ魔王、いや、下手したら大魔王といわれてしまうかもしれない。魔王なら自ら選んだことだからいいとしても、大魔王はさすがに嫌だ。また、俺が1人で解決してしまっては、配下たちの仕事がなくなってしまう。
「陛下、ドライム殿からの報告で建国記念結界装置展示場の着工に取り掛かったとのことです」
「おう、わかった。んで、どのくらいでできそうって」
俺が執務室で独り言をつぶやいていると、執事がやってきて報告してきたが、その内容である建国記念結界装置展示場というのは、文字通りレッサードラゴンの魔石を使った結界装置を展示する場所だ。この名前も議会で白熱した理由でもある。
「1週間もあればできるとのことです」
「お、おう、まじか。相変わらず早いな。そんじゃそれまでには今の結界を取り除く必要があるな」
「はい、手配いたしますか?」
「そうだな。任せる」
「はっ」
ドライム達ドワーフに設置してもらっている結界装置を起動するには、今現在の結界。獣人族をハンターたちから守るために設置したものを停止させる必要がある。そうしないと競合してしまい双方の結界が消えてしまう事態となる。そのため川に適当に投げ込んだものを回収しなければならない。
さて、その回収をどうやって行うかということだが、これはある獣人族に頼むことになった。その獣人族というのは、魚人族という水棲種族でいわゆる人魚というやつだ。魚なのに獣人というのもおかしい気もするが、ここら辺は気にする必要はない。なにせこれを考えたのは神様、ではなくその神様が以前住んでいた世界を作った神様みたいで、神様自身も知らないことだ。まぁ、その世界に神様がいるかどうかはわからないんだけどな。
とまぁ、それはいいとして、その魚人族は普段内陸にある湖とその中央の島に居住していたためにハンターたちに見つかるということはなった。ちなみにその魚人族がどうやって地上で生活しているのかというと、彼らは何と人魚形態から人形態への変化が可能という特殊スキルを持っているから問題ない。
というわけで、水の中でもまたっく問題なく活動できる彼らであれば、適当に投げ込んだ結界装置、というか魔石の回収が可能だということだ。
「結界についてはこれでいいとして、問題はどうやって戦うかってことだが、どうしたものか」
数千VS100万、このありえない戦力差をどうやって戦えばいいのか、戦争素人である俺では全くわからん。
「まっ、そこらへんはダンクスに丸投げでいいか」
ダンクスはもともと騎士ということでこうした戦略的なことを学んでいた。そして、先のウルベキナでの戦争で歴々の大ベテランからいい感じに仕込まれたらしいから何とかなるだろ。まぁ、その戦略の中にここまでの戦力差に関してはなかったので、頭を抱えているみたいだけどな。
2日が経過した。
ドライムによると例の建設は順調に進んでおり、予定通りできそうとのことである。また、魚人族の方も同盟を結んでいるブリザリアと隣接している東側から順々に回収しており、現在はちょうど俺たちがここに上陸したあたりだそうだ。余談だがいくらブリザリアとは同盟を結んでいるとはいえそれはあくまで国の上層部での話のためブリザリア国民までしっかりと話が通っているわけではない。そのため何も知らないブリザリア国民が悪意を持ってこちら側にやってきてしまう可能性も否定できない。そこで一応警備兵を置き監視は怠ってはいない上に、ブリザリア王国側にも話を通しているので向こうにも警備兵を置いてもらっているので、おそらく不埒者がやってくることはないと思う。尤も以前に説明した例の代々ハンターをしてきた一族の領地も隣接している箇所があり、かの領主ならこれを機会にと攻め込んでくる可能性がある。何せ俺たちを憎んでいる(どう考えても逆恨み)みたいだしな。そこで、こちら側の監視は密にしているし、ブリザリア側も国軍兵士をひそかに派遣してもらい彼らを監視してもらっている。
とまぁ、とにかく準備は順調に進んでいるわけだが、出来ることならその戦争は避けたい。そこで、同盟国であるコルマベイント、ブリザリア、ウルベキナに協力を頼むことにした。
「お初にお目にかかります魔王陛下……」
などといいつつ長ったらしい挨拶を交わしてくる3国それぞれ代表としてやってきている外交官。彼らにはダンクスとともにもう一度西側諸国との交渉を行ってもらうつもりだ。
「手数をかけるが、よろしく頼む」
「お任せを……」
再び長々と話し始める外交官たち、さすがこういったことの専門家だけあって、よく舌が回る。俺には確実に無理だな。
「それでは、転移門まで送ろう」
「ありがとうございます」
というわけでさっそく彼らを転移門のある魔王城地下まで送り届けることにした。本来ならまずは休んでから言ってもらうべきなんだが、そもそも移動といってもここまでは俺が迎えに行ったし、現地までも転移門ですぐなので、彼らは全く疲れていない。そうしたことや彼ら自身からさっそく現地へ赴くと宣言されたため、そのまま発ってもらうことにした。
「ダンクスも交渉と護衛を頼むぞ」
「おう、行ってくるぜ」
そう言ってダンクスたちはアベイルを発った。
それからさらに数日が経過した。
「陛下、ドライム殿から建設と設置が完了したとの報告が上がってまいりました」
執務をしていると執事がやってきてそういってきたわけだが、そういえばあれから1週間が経過したからそろそろ完成してもおかしくない。
「そうか、それで魚人族の方はどんな感じだ」
結界装置ができても魚人族の仕事が終わらないと意味がない。そこで執事に確認してみた。
「はい、報告によりますと明日にはすべての装置が回収されるとのことです」
「いいタイミングだな。それじゃ明日魚人族が終わり次第起動させるか、手はずを整えておいてくれ」
「かしこまりました」
翌日、俺はドワーフたちが建設した建国記念結界装置展示場までやってきた。
「うわっ、なんかすげぇ建物だな」
「ほんとね」
建物のデザインや設計もすべて任せていたら、日本にありそうな近代的で巨大なものが建っていた。これは麗香たちから日本の建物を聞いたドワーフたちが取り入れたものだろう。
「陛下が向こうの世界の出身だっていうからな。レイカたちから聞いていたものを意識して建ててみた、どうだ?」
「お、おう、なんとも、いい建物だ」
ドライムが自信満々にいい笑顔でそう言ってきたので、何も文句も言えずそういうしかなかった。
「これって、ガラスよね。よくこんな大きなもの作れたわよね」
シュンナは建物に使われている巨大な窓ガラスに驚いている。というのもこの世界はまだガラスなどの技術が未熟なため、小さなガラスしかできないし、というか濁ったものばかりでこうした透明なガラス自体がない。しかしドワーフたちは俺たちから聞いた技術の端々を聞いてなんと再現してしまったわけだ。
「陛下、お待ちしておりました」
建物内に入ると、ずらっと並んだ多くの人々その先頭に立っているのはジマリート、聞いていた話ではここからは式典の形で動くそうだ。面倒でしかないが、こればかりは仕方ない。なにせ王たる存在が自ら国を守るための結界を張る装置を起動させようというのだから、様式美というやつだ。
「これより結界装置起動式典を開始いたします」
ジマリートの宣言から始まった式典、ジマリートが司会をして数人の者たちが壇上で長話を行い。最後に俺が壇上に立つ。そして話し始めるわけだが、当然俺にそんな長話ができるわけがないので、事前に執事たちが考えてくれた原稿を読んでいく。といってもさすがに明らかに原稿を読んでますとするわけにはいかないので、こうした場合の魔法を開発、”スクリプト・テーブル”というものでこれを使えば目の前に俺にしか見えない特殊な原稿台が出現するというものだ。これを開発したとき、みんなになんて無駄なものをといわれたが、仕方がない長い原稿を覚えるなんて俺には不可能だからな。
さてそれはともかく、何とか名が原稿を読み切って式典が大体終わりを告げた。
「陛下、そろそろお願いします」
「うむ」
ちょうどいいタイミングで魚人族の回収が終わったという合図が来たので、さっそく結界装置の起動を行うことにした。
起動といっても鎮座している魔石に魔力を投入するだけなんだが。
そんなわけでさっそく巨大な展示ケース、というかガラス張りの部屋に入りレッサードラゴンの魔石に手をかざす。そして、一呼吸を置いたのち徐々に魔力を注いでいく。すると魔石の中で魔力が渦巻いていくのがはっきりと見えてきて、観衆たちが感嘆の声を上げる。
「おおっ! これは素晴らしい」
そんな声を聴きつつさらに魔力を盛大に込めていくと、今度は光り輝きだす。その光に目を覆い隠す観衆たちと俺。……というかまぶしすぎる。自分でやっといて目をやられては世話ないが、俺もこれほど大規模なことは初めてなので仕方ない。いや、知識としてある光ることは知っていた。それでもまさかここまでだったとは思はなかった。
それからしばししてようやく回復してきた目を開けてみると、すでに魔石の中は落ち着き、すでに魔力が飽和状態となっていたので、そこで魔力供給を止める。ちなみに今俺が魔石に流した魔力量はというと俺の魔力の1/3程度。そう聞くと大したことないような気がするが、思い出してほしい俺はメティスルの補正でほとんど無限といってもいいほどの魔力量を持ち、通常の人間に比べても、比べようがないほど膨大な魔力を持つ。具体的な数値を上げると、俺の魔力は5,978,745,915,746,857,452,450となる。これを俺はさんざん無限と表現してきたが、どこがだと思うかもしれない。でもこれほどの数字の羅列を見て、メティスルの権能にある魔力回復力が早く、何より大魔法1つですら万行くかどうかという状況では無限と表現しても全く問題ないのである。ああ、そうそう一応ここで普通の人の魔力量を上げておくと、現代の魔族であれば大体平均6000ほどで、人族なら最大で2000ぐらいと思ってもらえればいい。
この説明でわかってもらえたと思うが、俺の魔力の1/3を注いだこの装置がいかに膨大な魔力を要するのか、そして何より、こんな魔力を俺を抜きに込めようとすると一体どれだけの時間が必要なのか、それらが分かってもらえたと思う。
さて、閑話はこのぐらいにして本題に入るが、魔力で満たされた魔石、これだけではまだ結界は張られていない。結界を起動するにはこの後魔石近くにあるスイッチをぽちっと押さなければならない。
「装置を起動する」
そう宣言してから赤く大きなボタンを見る。ていうかなんでこんなボタンにしたんだ。自爆しそうで怖いんだが、そう思いながらポチッとっする。すると魔石から込められた魔力があふれ周囲に半透明な膜が形成される。これはひとまず魔石そのものを守る結界で、その周囲にさらに膜が形成、それが一気に建物をすり抜けて広がった。こうして、今テレスフィリアは新たな結界が形成されたのだった。
「これにて、結界発動式典を終了いたします」
起動させてからもいろいろとあったが、そこらへんは省略して式典終了である。
式典が終了し王城へと戻ってきた。
「スニル、新しい結界ってどんなものなんだ」
帰るなり父さんが興味津々という風に聞いてきた。父さんの質問は式典で話しているが、父さんは出ていないので知らなくてもおかしくない、事前に話していたわけでもないし。
「私も気になるわね。どうなのスニル」
「? なの~」
母さんとその母さんと遊んでいたサーナまで聞いてきた。まぁ、サーナはよくわかっておらず母さんの真似をしただけなんだが。
「そこまで違いはないよ。前の奴は獣人族をハンターから守るものだったから獣人族に敵意を持った者たちの侵入を防ぐことと、ハンターたちレベルの攻撃を防ぐという者だったわけだけど、今度のは俺たちを含めて、魔族、獣人族、エルフ族、ドワーフ族、つまりテレスフィリアに対しての敵意を持つ者の侵入を防ぐことと、防御力をかなり上げておいたってとこだよ」
一応は国を守るものだから、こうしたものにする必要があった。
「あとは、一応結界に何かあった場合にその情報が来るようになったぐらいか」
「? どういうこと」
最後に付け加えたことに対して、母さんが首をかしげている。
「今までの結界は例えば何らかの異常が起きてもわからなかったんだけど、今度のは何か異常が起きたらその情報が俺が持ってるこれに来るようになってるんだ。まぁ、尤も俺がいる間は直接俺に来るからこれは後々のためってとこだけどね」
結界装置の魔法式開発者たる俺がいるのに、わざわざ道具を使うのは無駄、しかし人族である俺は当然100もしないうちに寿命が尽きる。その後のことを考えて俺以外でも知らせを受け取れるようにする必要があり、これがその道具というわけだ。尤も俺がいる間はいらないのでどこかに保管しておけばいいだろう。
「とりあえず軍務のトップにでも預けておけばいいと思ってるんだよなぁ。まぁ、今はダンクスだしダンクスに渡しておけばいいんじゃないかな」
ダンクスは現在使者として出ているので帰ってきたら渡せばいいだろう。というわけでとりあえずこれで何らかの攻撃などを受けたとしても、なんとか大丈夫だろう。
「いくらこの世界に魔法があるといっても、限度があるよな。まぁ、俺はその限りではないんだが」
俺が落ち着ていられるのは当然俺ならたとえ100万が相手でもなんとかなる手段を持っているからだ。
「とはいえ、さすがに使いずらいから、最終手段だな」
いくら何とか出来るからといって、いきなり大魔法をぶっ放して敵を殲滅なんてしたら、それこそ魔王、いや、下手したら大魔王といわれてしまうかもしれない。魔王なら自ら選んだことだからいいとしても、大魔王はさすがに嫌だ。また、俺が1人で解決してしまっては、配下たちの仕事がなくなってしまう。
「陛下、ドライム殿からの報告で建国記念結界装置展示場の着工に取り掛かったとのことです」
「おう、わかった。んで、どのくらいでできそうって」
俺が執務室で独り言をつぶやいていると、執事がやってきて報告してきたが、その内容である建国記念結界装置展示場というのは、文字通りレッサードラゴンの魔石を使った結界装置を展示する場所だ。この名前も議会で白熱した理由でもある。
「1週間もあればできるとのことです」
「お、おう、まじか。相変わらず早いな。そんじゃそれまでには今の結界を取り除く必要があるな」
「はい、手配いたしますか?」
「そうだな。任せる」
「はっ」
ドライム達ドワーフに設置してもらっている結界装置を起動するには、今現在の結界。獣人族をハンターたちから守るために設置したものを停止させる必要がある。そうしないと競合してしまい双方の結界が消えてしまう事態となる。そのため川に適当に投げ込んだものを回収しなければならない。
さて、その回収をどうやって行うかということだが、これはある獣人族に頼むことになった。その獣人族というのは、魚人族という水棲種族でいわゆる人魚というやつだ。魚なのに獣人というのもおかしい気もするが、ここら辺は気にする必要はない。なにせこれを考えたのは神様、ではなくその神様が以前住んでいた世界を作った神様みたいで、神様自身も知らないことだ。まぁ、その世界に神様がいるかどうかはわからないんだけどな。
とまぁ、それはいいとして、その魚人族は普段内陸にある湖とその中央の島に居住していたためにハンターたちに見つかるということはなった。ちなみにその魚人族がどうやって地上で生活しているのかというと、彼らは何と人魚形態から人形態への変化が可能という特殊スキルを持っているから問題ない。
というわけで、水の中でもまたっく問題なく活動できる彼らであれば、適当に投げ込んだ結界装置、というか魔石の回収が可能だということだ。
「結界についてはこれでいいとして、問題はどうやって戦うかってことだが、どうしたものか」
数千VS100万、このありえない戦力差をどうやって戦えばいいのか、戦争素人である俺では全くわからん。
「まっ、そこらへんはダンクスに丸投げでいいか」
ダンクスはもともと騎士ということでこうした戦略的なことを学んでいた。そして、先のウルベキナでの戦争で歴々の大ベテランからいい感じに仕込まれたらしいから何とかなるだろ。まぁ、その戦略の中にここまでの戦力差に関してはなかったので、頭を抱えているみたいだけどな。
2日が経過した。
ドライムによると例の建設は順調に進んでおり、予定通りできそうとのことである。また、魚人族の方も同盟を結んでいるブリザリアと隣接している東側から順々に回収しており、現在はちょうど俺たちがここに上陸したあたりだそうだ。余談だがいくらブリザリアとは同盟を結んでいるとはいえそれはあくまで国の上層部での話のためブリザリア国民までしっかりと話が通っているわけではない。そのため何も知らないブリザリア国民が悪意を持ってこちら側にやってきてしまう可能性も否定できない。そこで一応警備兵を置き監視は怠ってはいない上に、ブリザリア王国側にも話を通しているので向こうにも警備兵を置いてもらっているので、おそらく不埒者がやってくることはないと思う。尤も以前に説明した例の代々ハンターをしてきた一族の領地も隣接している箇所があり、かの領主ならこれを機会にと攻め込んでくる可能性がある。何せ俺たちを憎んでいる(どう考えても逆恨み)みたいだしな。そこで、こちら側の監視は密にしているし、ブリザリア側も国軍兵士をひそかに派遣してもらい彼らを監視してもらっている。
とまぁ、とにかく準備は順調に進んでいるわけだが、出来ることならその戦争は避けたい。そこで、同盟国であるコルマベイント、ブリザリア、ウルベキナに協力を頼むことにした。
「お初にお目にかかります魔王陛下……」
などといいつつ長ったらしい挨拶を交わしてくる3国それぞれ代表としてやってきている外交官。彼らにはダンクスとともにもう一度西側諸国との交渉を行ってもらうつもりだ。
「手数をかけるが、よろしく頼む」
「お任せを……」
再び長々と話し始める外交官たち、さすがこういったことの専門家だけあって、よく舌が回る。俺には確実に無理だな。
「それでは、転移門まで送ろう」
「ありがとうございます」
というわけでさっそく彼らを転移門のある魔王城地下まで送り届けることにした。本来ならまずは休んでから言ってもらうべきなんだが、そもそも移動といってもここまでは俺が迎えに行ったし、現地までも転移門ですぐなので、彼らは全く疲れていない。そうしたことや彼ら自身からさっそく現地へ赴くと宣言されたため、そのまま発ってもらうことにした。
「ダンクスも交渉と護衛を頼むぞ」
「おう、行ってくるぜ」
そう言ってダンクスたちはアベイルを発った。
それからさらに数日が経過した。
「陛下、ドライム殿から建設と設置が完了したとの報告が上がってまいりました」
執務をしていると執事がやってきてそういってきたわけだが、そういえばあれから1週間が経過したからそろそろ完成してもおかしくない。
「そうか、それで魚人族の方はどんな感じだ」
結界装置ができても魚人族の仕事が終わらないと意味がない。そこで執事に確認してみた。
「はい、報告によりますと明日にはすべての装置が回収されるとのことです」
「いいタイミングだな。それじゃ明日魚人族が終わり次第起動させるか、手はずを整えておいてくれ」
「かしこまりました」
翌日、俺はドワーフたちが建設した建国記念結界装置展示場までやってきた。
「うわっ、なんかすげぇ建物だな」
「ほんとね」
建物のデザインや設計もすべて任せていたら、日本にありそうな近代的で巨大なものが建っていた。これは麗香たちから日本の建物を聞いたドワーフたちが取り入れたものだろう。
「陛下が向こうの世界の出身だっていうからな。レイカたちから聞いていたものを意識して建ててみた、どうだ?」
「お、おう、なんとも、いい建物だ」
ドライムが自信満々にいい笑顔でそう言ってきたので、何も文句も言えずそういうしかなかった。
「これって、ガラスよね。よくこんな大きなもの作れたわよね」
シュンナは建物に使われている巨大な窓ガラスに驚いている。というのもこの世界はまだガラスなどの技術が未熟なため、小さなガラスしかできないし、というか濁ったものばかりでこうした透明なガラス自体がない。しかしドワーフたちは俺たちから聞いた技術の端々を聞いてなんと再現してしまったわけだ。
「陛下、お待ちしておりました」
建物内に入ると、ずらっと並んだ多くの人々その先頭に立っているのはジマリート、聞いていた話ではここからは式典の形で動くそうだ。面倒でしかないが、こればかりは仕方ない。なにせ王たる存在が自ら国を守るための結界を張る装置を起動させようというのだから、様式美というやつだ。
「これより結界装置起動式典を開始いたします」
ジマリートの宣言から始まった式典、ジマリートが司会をして数人の者たちが壇上で長話を行い。最後に俺が壇上に立つ。そして話し始めるわけだが、当然俺にそんな長話ができるわけがないので、事前に執事たちが考えてくれた原稿を読んでいく。といってもさすがに明らかに原稿を読んでますとするわけにはいかないので、こうした場合の魔法を開発、”スクリプト・テーブル”というものでこれを使えば目の前に俺にしか見えない特殊な原稿台が出現するというものだ。これを開発したとき、みんなになんて無駄なものをといわれたが、仕方がない長い原稿を覚えるなんて俺には不可能だからな。
さてそれはともかく、何とか名が原稿を読み切って式典が大体終わりを告げた。
「陛下、そろそろお願いします」
「うむ」
ちょうどいいタイミングで魚人族の回収が終わったという合図が来たので、さっそく結界装置の起動を行うことにした。
起動といっても鎮座している魔石に魔力を投入するだけなんだが。
そんなわけでさっそく巨大な展示ケース、というかガラス張りの部屋に入りレッサードラゴンの魔石に手をかざす。そして、一呼吸を置いたのち徐々に魔力を注いでいく。すると魔石の中で魔力が渦巻いていくのがはっきりと見えてきて、観衆たちが感嘆の声を上げる。
「おおっ! これは素晴らしい」
そんな声を聴きつつさらに魔力を盛大に込めていくと、今度は光り輝きだす。その光に目を覆い隠す観衆たちと俺。……というかまぶしすぎる。自分でやっといて目をやられては世話ないが、俺もこれほど大規模なことは初めてなので仕方ない。いや、知識としてある光ることは知っていた。それでもまさかここまでだったとは思はなかった。
それからしばししてようやく回復してきた目を開けてみると、すでに魔石の中は落ち着き、すでに魔力が飽和状態となっていたので、そこで魔力供給を止める。ちなみに今俺が魔石に流した魔力量はというと俺の魔力の1/3程度。そう聞くと大したことないような気がするが、思い出してほしい俺はメティスルの補正でほとんど無限といってもいいほどの魔力量を持ち、通常の人間に比べても、比べようがないほど膨大な魔力を持つ。具体的な数値を上げると、俺の魔力は5,978,745,915,746,857,452,450となる。これを俺はさんざん無限と表現してきたが、どこがだと思うかもしれない。でもこれほどの数字の羅列を見て、メティスルの権能にある魔力回復力が早く、何より大魔法1つですら万行くかどうかという状況では無限と表現しても全く問題ないのである。ああ、そうそう一応ここで普通の人の魔力量を上げておくと、現代の魔族であれば大体平均6000ほどで、人族なら最大で2000ぐらいと思ってもらえればいい。
この説明でわかってもらえたと思うが、俺の魔力の1/3を注いだこの装置がいかに膨大な魔力を要するのか、そして何より、こんな魔力を俺を抜きに込めようとすると一体どれだけの時間が必要なのか、それらが分かってもらえたと思う。
さて、閑話はこのぐらいにして本題に入るが、魔力で満たされた魔石、これだけではまだ結界は張られていない。結界を起動するにはこの後魔石近くにあるスイッチをぽちっと押さなければならない。
「装置を起動する」
そう宣言してから赤く大きなボタンを見る。ていうかなんでこんなボタンにしたんだ。自爆しそうで怖いんだが、そう思いながらポチッとっする。すると魔石から込められた魔力があふれ周囲に半透明な膜が形成される。これはひとまず魔石そのものを守る結界で、その周囲にさらに膜が形成、それが一気に建物をすり抜けて広がった。こうして、今テレスフィリアは新たな結界が形成されたのだった。
「これにて、結界発動式典を終了いたします」
起動させてからもいろいろとあったが、そこらへんは省略して式典終了である。
式典が終了し王城へと戻ってきた。
「スニル、新しい結界ってどんなものなんだ」
帰るなり父さんが興味津々という風に聞いてきた。父さんの質問は式典で話しているが、父さんは出ていないので知らなくてもおかしくない、事前に話していたわけでもないし。
「私も気になるわね。どうなのスニル」
「? なの~」
母さんとその母さんと遊んでいたサーナまで聞いてきた。まぁ、サーナはよくわかっておらず母さんの真似をしただけなんだが。
「そこまで違いはないよ。前の奴は獣人族をハンターから守るものだったから獣人族に敵意を持った者たちの侵入を防ぐことと、ハンターたちレベルの攻撃を防ぐという者だったわけだけど、今度のは俺たちを含めて、魔族、獣人族、エルフ族、ドワーフ族、つまりテレスフィリアに対しての敵意を持つ者の侵入を防ぐことと、防御力をかなり上げておいたってとこだよ」
一応は国を守るものだから、こうしたものにする必要があった。
「あとは、一応結界に何かあった場合にその情報が来るようになったぐらいか」
「? どういうこと」
最後に付け加えたことに対して、母さんが首をかしげている。
「今までの結界は例えば何らかの異常が起きてもわからなかったんだけど、今度のは何か異常が起きたらその情報が俺が持ってるこれに来るようになってるんだ。まぁ、尤も俺がいる間は直接俺に来るからこれは後々のためってとこだけどね」
結界装置の魔法式開発者たる俺がいるのに、わざわざ道具を使うのは無駄、しかし人族である俺は当然100もしないうちに寿命が尽きる。その後のことを考えて俺以外でも知らせを受け取れるようにする必要があり、これがその道具というわけだ。尤も俺がいる間はいらないのでどこかに保管しておけばいいだろう。
「とりあえず軍務のトップにでも預けておけばいいと思ってるんだよなぁ。まぁ、今はダンクスだしダンクスに渡しておけばいいんじゃないかな」
ダンクスは現在使者として出ているので帰ってきたら渡せばいいだろう。というわけでとりあえずこれで何らかの攻撃などを受けたとしても、なんとか大丈夫だろう。
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とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
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