素っ裸で死んだ俺が貰った服がチートだった。

Tsukusou

文字の大きさ
1 / 1

1話

しおりを挟む
    6月某日。都内の高校に通うため、一年前に田舎から1人で上京してきた俺こと瀧澤 裕翔はその日、銭湯にいた。
外は嫌になるほど雨が降り、湿気が多かった。
そんなジメジメを吹っ飛ばす為に銭湯に行ったが、まさか浴槽から出て直ぐに石鹸が落ちてるとは思わなかった。
俺は右足で石鹸の上に着地、滑って一回転した後に浴槽の角に頭をぶつけた。
もちろん血が飛び散り、俺は死んだ。


筈だった。
目を開けると、ただただ白い空間がそこにはあった。
「あれ、俺死んだんじゃ……。」
周りを見回し、こちらに背を向けている人影を見つけた。
「あっ、すみません。ここってどこですか?」
と、問いかける。
するとその人影は振り返り、こう言った。
「裕翔さん、貴方は死んでしまいました。ですが今なら、何か1つ餞別を与え、異世界へと導…………キャアアァァァァァッ!」
何がなんだか分からなかったが、悲鳴で気付く事が出来た。
あっ、俺、服着てないやん………………。
「来ないで!貴方にはこれあげるから!さよなら!」
「ちょ、待っーーーー」
突如目の前が暗くなり、俺は意識を手放した。

目を開けると見慣れない街にいた。
「そう言えば、異世界だかなんだか言ってたっけ…………。……そうだ!」
俺は咄嗟に自分の体を見たが、パーカーとジーパンを履いていた。
「あの人が言ってた餞別ってこれかな……。もったいない気がするけど。」
ひとまず、異世界?に来て早々逮捕という事は無さそうだ。
「しかし、ほんとに日本とは違う所だな。」
異世界かどうかは考えてもらちがあかないので、取りあえず誰かに聞いてみたいな。
結構屋台とかが並んでいる街だな。
俺は中でも人柄の良さそうなおばちゃんに話しかけてみた。
「はい、いらっしゃい!おや、あんた見ない顔だね。旅人かい?」
「あ、えーと…まぁそんな感じです。少し聞きたいんですが、ここの情報が知れる所ってありますかね?」
「それだったらギルドがオススメだよ!この通りの1番奥の赤い建物さ!」
おばちゃんが指を指した方向を見ると、確かに赤い、大きい建物がある。
「分かりました。ありがとうございました。」
そう言えば、言語の方は問題無さそうだな。
通りを突き進み、赤い建物の中に入る。
中は沢山の人がいた。酒場が併設されているらしく、とても騒がしかった。
「うわ……。結構酒臭い…………。」
看板に『冒険者登録はこちら』と書いてあったので、取りあえずそっちの方に行ってみる。
「あの……。」
「いらっしゃいませ!冒険者登録志願の方ですか?」
受付にはかなり綺麗なお姉さんがいた。
「その……冒険者になればどんな事が出来ますか?」
「?……えっと、依頼をこなせば報酬を貰えたり、後は登録後に発行されるカードを見せれば街や村、市や国に入る時の手荷物検査をスキップできます。」
むぅ。かなり便利だな。なっとこうかな、冒険者。
「それじゃあ、登録をお願いします。」
「分かりました!それではこの水晶に手をかざして下さい。」
言われた通り手をかざすと、何やら文字が浮かび上がって来た。
その後10秒ほどかざしていると、水晶の台座から紙が出てきた。
そこにはーーーーーー

【タキザワ   ユウヤ】
      Lv.1
体力            100+500
攻撃            100
物理守備    100+50000
魔力            50  +50000
魔法守備    100+50000
知能            1000
運                100-50
【スキル】
『浄化魔法付与服(永久)』
・汚れを完全に落とします。
『能力向上魔法付与服(永久)』
・攻撃、運以外のパラメーターを全て向上させます。
『竜使役権限(1度のみ)』
・1度だけ竜を召喚し、契約を交わします。召喚される竜は完全ランダムであり、契約を結べなくともこのスキルは消滅します。
【天職】
①魔法騎士②大魔導師③騎士王④竜騎士
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

と、表示されていた。
「……え、えぇぇぇぇっ!?」
「!ど、どうしたんですか!?」
「ステータスが高すぎます!それに、竜の使役権限まで……!」
確かに見せられたステータスは殆どが底上げされており、明らかにおかしい数値ではあるが……。
「そ、その服は何処で?」
「あ……えと……家宝で……。」
「家宝!?その服があれば、小さい国1個買えますよ!?」
確かに+50000は凄いのかもしれない。
「それに……天職が全て最上位職なんて……。」
ギルド内にざわつきが起こる。
「おい、あいつ、やばいぞ……。」
「まじかよ……。怖いわぁ。」
そんなに警戒しなくてもいいのに……。
「そ、そうだ!天職、天職はどうしますか!?」
多分職業はどうするか、という事だろう。
「この中で、1番困らなそうな職業はどれですか?」
「え?どれも大丈夫だと思いますが……。強いて言うなら、竜騎士ですかね。」
どうやら召喚し、契約を結んだ竜が共に戦ってくれるらしい。
「分かりました。それじゃあ、竜騎士でお願いします。」

こうして、俺の冒険は始まりを迎えた。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

matake
2018.06.18 matake

とりあえず、テンプレのような、ないような?

解除

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

消息不明になった姉の財産を管理しろと言われたけど意味がわかりません

紫楼
ファンタジー
 母に先立たれ、木造アパートで一人暮らして大学生の俺。  なぁんにも良い事ないなってくらいの地味な暮らしをしている。  さて、大学に向かうかって玄関開けたら、秘書って感じのスーツ姿のお姉さんが立っていた。  そこから俺の不思議な日々が始まる。  姉ちゃん・・・、あんた一体何者なんだ。    なんちゃってファンタジー、現実世界の法や常識は無視しちゃってます。  十年くらい前から頭にあったおバカ設定なので昇華させてください。

二度目の勇者は救わない

銀猫
ファンタジー
 異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。  しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。  それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。  復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?  昔なろうで投稿していたものになります。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。