若い聖女が現れたから私はお役御免!?それならこっちから婚約破棄します! ~今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです~

桜乃

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沙羅へのお願い事

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「ふふ、上の人達は頭が固いですからね~なかなか根気が入りそうです」
私は、苦笑いしながらルークにそう言うと、ルークは仕方ないと言わんばかりにため息を零した。
「ルカは本気なんだね?」
「えぇ、もちろんです」
私はそう言ってルークに向かって微笑み、私の目をじっと見つめながら
ゆっくりと近付いてくると、優しく私の頬を撫でる。
温かいルークの手は、さっきまで緊張していた私の体を優しく溶かしてくれる。
「ルカがしたい事なら俺も勿論応援する、けれど……ルカが傷付く事だけは
絶対許さない。それだけは覚えておいてね?」
優しい瞳で見つめられながらそう言われ、私はドキドキしながら頷いた。
この国から離れるのは寂しい……けれど、ここで立ち止まったら何も変わらないもの。
「分かっています、私も皆さんが傷つくのは見たくない……だから、私は旅に出るんです」
「ふふ、ルカらしいな」
ルークは、そう笑いながら私の額にキスを落とした。私は恥ずかしくなり顔を赤く染めていると、横からクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「二人とも私達がいるの忘れてるでしょ?」
「え、エミリア……!!こ、これは」
慌ててエミリアに弁解をしていると、フィリスと沙羅もクスクス笑いながら声をかけてきた。
「二人ともラブラブだね~何だか見てるこっちが恥ずかしくなっちゃった」
「で、でも……仲が良いのはいい事ですから……」
「うぅ……ルークの馬鹿」
「ははっ、ごめんごめん。それより、沙羅にも話があるんじゃないか?」
ルークがそう言うと、沙羅は首を傾げた。
そう、この国を出る為には沙羅の力が必要になる、けれど今の沙羅の力は
この国を任せられるほど強いものでは無い。
だから私は沙羅に一つの提案をする。
「沙羅、私と一緒に魔法の勉強をしましょう」
「魔法の……?学園でもやってるよ?」
「そうでは無く……聖女の為のお勉強です。沙羅の力は確かに強くなりました
でも、私の代わりになるかと言ったら……」
私がそう言うと、沙羅は真剣な顔をして頷いた。
きっと彼女も薄々感じているのだろう、自分の力に……
「あの時、私一人の力だったらルカの事を助けることが出来なかった……
その力がもし強くなるのなら、私は勉強したい」
沙羅は、私に向かってそう言ってきた。
そんな真剣な沙羅を見て私は微笑みを返し頷いた。
やっぱり……私の目に狂いは無かった、彼女はきっと素敵な聖女になれると私は信じていたから。
「良かった、そう言ってくれると信じていました」
「ルカ……でも、一つお願いがあるの!」
「お願い?なんでしょう」
私がそう聞くと、沙羅は緊張した表情を浮かべながら私の手をぎゅっと握った。
一体どんなお願い事なのだろう?と首を傾げていると、沙羅が口を開く。
「フィリスも一緒に聖女の勉強をしたいの!!」
「私も……?沙羅、私は聖女には……」
「ううん、あの時フィリスがいなかったらあの力を使えなかった、私のとなりにはフィリスがいて欲しいの。だからお願い」
私は、そんな沙羅のお願いを聞いて自然と笑みが零れた。
この二人なら、色々な困難も乗り越えられる。
「分かりました、フィリスもそれで大丈夫ですか?」
「はい!よろしくお願いします」
「やった!フィリス一緒に頑張ろうね?」
「ふふ、はい!頑張りましょう」
そんな二人を見て私は、微笑みながら見つめていた。
きっと二人は強い力になる、そしてこの国を今よりもっともっと良くしていくだろう。
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