若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

可愛い妹たち

「さてと……そろそろ、お開きにしましょうか」
アマミヤさんがそう言った時、隣にいたルークが、いや……と呟き、アマミヤさんの方を見た、何か気になる事でもあるのだろうか？と私はルークの話に
耳を傾ける事にした。
「ルークさん？」
「この国に、アマミヤさんと沙羅以外の異世界から来た人と言うのは……まだ、いるのでしょうか……？」
「うーん……難しい質問ですね、私の予想では、もういない……そう思っています」
「そう考える理由を聞いても？」
「この国に残る理由が無いからです、残ってたところで聖女にはなれない。
どうすればいいんだ……そう考えていた時に、元の世界に返してくれると言われれば……」
「元の世界に帰る、か」
ふむ……と顎に手を当てながら、ルークは何か考えている。
きっと、ルークはこの世界に沙羅の様な人達が残っていたのなら、その人達から話を聞こうと、そう考えていたのだろう。
あの人達が行った事への、証言や証拠は多い方が良いのだから。
「アマミヤさんありがとうございます」
「いえ、あまりお力になれなくてすみませんね……」
「いえ、そんな事ありません。大変、貴重なお話でした」
そうお礼を言いルークは椅子から立ち上がり、お辞儀をする。
私もそれに合わせ立ち上がり、今日はありがとうございました。と
お辞儀をした。
すると、アマミヤさんは、そんなにかしこま
らなくても大丈夫ですよ。と言って慌てて立ち上がる。
「えっと、じゃあ改めまして皆さん今日は本当にありがとうございました。
高木さんとフィリスさんもありがとう」
「いえ！私も色々なお話が聞けて……本当に良かったです、それに私のやるべきことも見つかった気がする」
真っ直ぐな瞳で私達を見つめる沙羅には、もう不安や迷いなんてものは無かった。
「いい顔するようになったのね、沙羅」
「え？いきなりどうしたの？」
沙羅はそう言って首をこてん、と傾ける。
その姿が面白くて私はつい笑ってしまった。
すると、沙羅は拗ねたように頬を膨らませ私を見る。
「なんで笑うの～？」
「ごめんなさい、でも沙羅が面白くてつい」
そう答えると、沙羅はなにそれ～と笑い始めた。
そんな私達の様子を見ていたルークも、ふはっ……と笑う。
「ルーク？」
「二人は本当に姉妹みたいだな」
そう言われ私は、そう？と照れながら微笑む。
すると、フィリスも嬉しそうに微笑んだ。
「えぇ、本当に姉妹みたいで……ちょっとだけ羨ましい」
「フィリスもルカに甘えたかったんだ～じゃあ、ちゃんとお願いしなきゃ！」
「きゃっ！ちょっと沙羅！？」
どん、と沙羅に押されたフィリスが、私の胸の中に飛び込む。
その衝撃を和らげるように私はフィリスを抱きしめ、大丈夫？と声をかける。
すると、慌ててすみません！と言って離れようとしたけれど、ぎゅっと抱きしめ直すと諦めたのか大人しくなった。
「よしよし、いつもお疲れ様」
「ルカ……」
フィリスは、私の胸の中で大人しく頭をなでられている。
そんなフィリスが可愛くて、もっと可愛がろうとすると、沙羅が羨ましそうな視線を私に向けてきていた。
「ふふ、沙羅もおいで」
「わ！えへへ～やっぱりルカは優しいね」
「はいはい」
そんなやり取りをしながら、たまには、こんな事を言うのも悪くないな。
なんて、そんな事を考えながら、二人の事をギュッと抱きしめた。