若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

お父様から貰った資料

家に帰り自室に戻った私は、机に向かいルークから貰っていた
資料たちと睨めっこしていた。
ここに書かれている人達の中で、一体何人の人達があの事に関わって
いるのか、そもそもこの中にはいないかもしれない。
はぁ、と深いため息と共に机に突っ伏す。
「思っていたより……複雑なのかも……」
アマミヤさんの話的に、ここの人達が関わっているのは間違いない筈
だけれど……その証拠を掴むのは難しいだろう。
あの人達は、隠す事だけは上手だから。
もっと、何か手掛かりがあれば良いのだけれど……
もう一度資料に目を通してはみるけれど、やはり何も分からない。
そんな時だった。コンコンと扉をノックする音が部屋に響く。
「はい。どうぞ」
「失礼するよ」
「お父様……！！どうかされのですか？」
部屋を訪れたのは、お父様だった。
こんな夜にどうしたのだろう……お父様が私の部屋に来るなんて珍しい事だ。
私は慌てて立ち上がり、お父様を迎え入れる。
「どうぞ、お父様が私の部屋に来るなんて……何かありました？」
「あぁ、ルカが困っていると聞いてな……これが必要だと思ってな」
お父様はそう言うと、後ろに隠していた物を私の前に出した。
それは……今私が求めている資料達だった。
「えっ……これ……」
どうして、これを……？と驚いている私に、お父様は少し困ったような顔で笑う。
そして、私の頭をポンっと優しく撫でた。
「頑張るのも良いが、無理しない程度にな」
「お父様……何処まで知っているのですか？」
私がそう問いかければ、お父様は優しく微笑み
そして、また私の頭をポンっと撫でた。
なんだか、見透かされているような……
そんな事を考えていたら、お父様はソファから立ち上がり
扉の方へと歩いて行った。
「あの、お父様……！」
「ん？まだ何か聞きたい事でもあるのか？」
「いえ、その……ありがとうございました」
私がそう言えば、お父様は優しく笑い、そして、おやすみ。と一言残し部屋を出て行った。
お父様は……いつから知っていたのだろう？ そんな事を考えつつ、私は資料に目を通し始めるのであった。
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「嘘……でしょ……」
お父様から貰った資料を見た私は、驚きを隠せなかった。
資料に書かれている人達は、全て名前を聞いた事がある人達ばかり……
なんなら、会って話した事や、一緒に仕事をした事がある人達の名前もあった。
「ふ……これだけの人がいれば、隠蔽なんて簡単な事ね……」
私なんかが調べたところで、何も出て来ない訳だ。
むしろ、お父様がここまで調べられている事に驚いた。
私は大きなため息をはき出しながら資料を机に置く。
「流石に……疲れた……」
椅子に座り直し、はぁ……と、もう何回目か分からないため息を吐き出す。
目の前には、まだまだ沢山ある資料の山……
これすべてに目を通して、証拠として使える物なのか精査するのだけでも大変そうだ……
私はそんな事を考えつつ、また資料に手を伸ばした。
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「うそ…………」
外から鳥の声が聞こえ、ふっ、と顔を上げ窓の方を見ると
カーテンの隙間から光が差し込んでいた。
資料を読んでいる途中、机に伏せてしまっていたのか……私は慌てて体を起こす。
どうやら、あれから数時間は眠っていたらしい……体が痛い。
流石にずっと同じ体勢でいればこうもなるか……と伸びをして立ち上がる。
カーテンを開き、光の眩しさに目を細めた。
そして、そのまま窓を開けると心地よい風が肌を撫でる。
すぅ、と深呼吸をして、外の空気を取り込み……はぁ、と息を吐いた。