彼女と喧嘩したら乙女ゲーの悪役令嬢に転生しちゃいました！？

予知夢と私の魔法

「まず、今日相談したかった事なんですが…夢を見たんです…」
「夢？どんな夢だったの？」
「えっと…内容は前世の時の夢だったんですけど…夢の中の人が気になることを言っていて」
「気になること？」
「はい、もうすぐ会えるから…と、そこで目が覚めてしまったので続きは見れなかったんですけど」
私がそう言うとお兄様は難しそうな顔をして何か考え込んでしまった、やっぱり変な事言ってるって思われちゃったかな…
なんて考えていたらお兄様が口を開いた。
「それは…それはもしかしたら予知夢なのかも」
「予知夢ですか？」
「そう、魔力が強い人間はたまに予知夢を見ることがあるんだ」
「…………なるほど…ん？と言う事は私の魔力ってもしかして」
「強いよ、それもかなりね。そうじゃなきゃ学園になんか入れないよ」
「知らなかったです…魔法は使えるんだろうなとは思っていましたが…」
「まぁ、転生したばかりだかから分からないよね」
お兄様は笑いながらそう答えてくれたけれど私には引っ掛かることがある。
もうすぐ会える、そう言ったのはあかりだったから…
あかりに会えるって事？でも、あかりは転生してるわけないし…
「百大丈夫？」
「あっ！大丈夫です！それより、私って一体どんな魔法が使えるんですか？」
「百の魔法はね、水と氷属性だね。珍しいんだよ？それに、どちらも上級魔法だからね、さすが俺の妹だね」
そう言いながら頭を撫でてくれるお兄様に褒められて
でも、やっぱり疑問が残る。
水と氷……？水って確かヒロインが使う魔法と同じだけど悪役令嬢の私にも使えるものなの？
悪役令嬢って言うと炎とか闇とかそんなイメージがあったんだけど、どうやら違うらしい…
「百？どうしたの？難しい顔してるけど…」
「いえ、なんでもありません、魔法のイメージがなんか違うなーって思って」
「そう？ならよかった」
そう言ってまた優しく微笑んでくれるお兄様。
私はその笑顔を見るとなんだか胸が温かくなって安心する。
この感情はきっと家族に向けるものなんだろうな、私は一人っ子だったから兄妹というものに憧れていた。
だからこそ、お兄様が妹である私を可愛がってくれることが嬉しい。
「そうだ！私の力が強いなら治癒魔法とかも使えたりするんですか？」
「あぁ、それで本を読んでたのか、残念だけど普通の人には治癒魔法は使えない」
「そう…なんですね…ちょっと残念です」
「治癒魔法はかなり高度な魔法だからね。聖女でもない限り使うのは無理だろうね」
治癒魔法が使えないのは少しショックだった。
もし治癒魔法が使えたら、私も誰かの為になるような魔法が使えると思ったのにな……
「百、そう落ち込まないで、百の魔法は治癒魔法よりもずっと凄いものだと思うよ。」
「私の魔法が……ですか？」
「うん、百の魔法はまだ未知数な部分が多いからね、使い方によってはもっといろんなことが出来ると思うよ。」
お兄様はそう言って私の頭を撫でてくれた。
私はお兄様の手を握り、ありがとうございます！と満面の笑みで伝えた。
それからしばらくお兄様と一緒に図書室で話していたら外は既に真っ暗になっていた。
「もうこんな時間か…そろそろ夕飯だろうし行こうか？」
「そうですね、行きましょう」
「それで、百の悩みは解決した？」
「はい、またお兄様に助けられちゃいましたね」
「別に構わないよ、可愛い妹の為だからね」
お兄様はいつも私の欲しい言葉をくれて、行動してくれる。
本当に優しいお兄様。
「だーめ、僕にもプライバシーがあるからね」
「むぅ……意地悪なお兄様嫌いになりますよ？」
「それは困るなぁ、じゃあヒントだけね。僕達にとってとても大切な事だよ」
「えっと……私達に関係ある事……ですか？」
「そう、まだ内緒だけどね」
「うっ……気になって眠れなくなりそうです……」
お兄様は私を揶揄っているみたいで楽しそうに笑っていて私は頬を膨らませながら拗ねるとお兄様はさらに笑ってごめんごめんと謝りながら頭も撫でてきた。
まったく……反省していないじゃないですか……
「さて、行こうか？」
そう言って私達は図書室を後にした。
そう言えば、私の魔力が高いならお兄様も…？お兄様も予知夢を見たりするんでしょうか…？
そんな疑問が浮かび上がったのであった、でも私には関係ない事ですよね。