27 / 56
学園編
魔族と世界
しおりを挟む
「おはようございます、遅くなってしまって申し訳ありません」
「大丈夫だよ、瀬名さんもよく眠れたかい?」
「は、はい…!」
「それは、よかった」
お父様は、にっこりとほほ笑みながらこちらを見た。
お兄様も同じような表情をしながら私達二人を見つめていて
何か変な事でもしちゃったのかな、なんて考えていたら
お母さまがニコニコしながら口を開いた。
「百ちゃんと瀬名さんはすっごく仲良しなのねぇ~おてて繋いで百ちゃんの
お洋服を着て…ふふっ」
「わぁ!?あかりごめんなさいっ、手繋いだままで…」
「大丈夫だよぉ~」
慌ててあかりの手を離すと、あかりはクスッと笑い 私達はその後五人で食事をとった。
朝ごはんを食べ終えた私達は、早速調べ物をする為に町に来ていた。
この町の図書館はとても広くて、本の種類も豊富だった。
そして、そこに住む人たちからも何かヒントが得られるかもしれない
とあかりが言ったので、私はそれに従う事にした。まず最初に目に付いたのはこの国の歴史ついて書かれている本が置いてあるコーナーだ。
学園でも歴史の勉強はするし、家でも本は読んだけれどまだまだ、知らないことがたくさんある。
あかりも同じようで、二人で一緒に本を読んでいく。
暫くすると、あかりが声を上げた。
どうやら何か気になる事が書かれていたようだ。
そのページを覗き込むと、そこには学園で習うような王族の歴史ではなく
平民達の歴史と、魔族の歴史が書かれていた。
「魔族って…………平民と関係あるの……?」
「分からない、とりあえず読んでみよう」
その本によると、遠い昔…………
魔族がこの世界に現れ、人間を襲い始めた。
人間は武器を手に取り戦ったが、数では勝っていてもその力の差は歴然であり 徐々に追い詰められていった。
ここまでは、学園で習ったままの歴史だ。
学園で習ったのは、そこで貴族が魔法を使い魔族を倒した。
そして、魔族はその力に怯え人間と仲良くすることを決めた…
しかしその本に書かれた歴史はこうだ。
不思議な力を持つ平民と貴族の女の子が、魔族の邪悪な心を浄化し平和を取り戻し、和解したというものだ。
その二人の力は 王家の血を引くものだけが使える力で、それ以降その力が発現するものは現れなかった。
だが、私はその話を聞いて一つだけ疑問に思ったことがあった。
「これ……私達に似てない?」
「百もそう思った?平民と貴族の女の子…不思議な力…」
そう、この本の内容は私達の状況にそっくりなのだ。
だけど、私達にそんな力があるとは思えない。
それに、魔族の心を救ったというのはどういう事なんだろうか。
私達が魔族と戦ったというのならば分かるけど、そんな記憶はない。
「過去にも私達みたいに転生した人がいた……?」
「うーん……でも、このゲーム私が作ったやつだからそれはありえないんだよね
百と私以外にいるはずがない……」
「え!?あかりが作ったって!?」
「あれ?言うの忘れてたっけ?このゲームは私が百と私をモデルに作ったって」
「聞いて無いよ……!!ゲームやってて気づいたら……とは聞いたけど!!」
確かにあかりは前世の記憶を持っていると言っていたが、まさかそんな事をしていたなんて知らなかった。
じゃあ、これは私がモデルになっているのか……。
だから、あかりも私も見た目もそっくりだったわけで…なるほど…
「でも、それだったらなんで私をヒロインにしなかったの?」
「それは……ゲームの中とはいえ、百を取られたくなかったから…だから
悪役令嬢にしたの」
「へぇ……攻略対象があかりに対して意地悪なのは?」
「あーそこらへん適当だったからなぁ~本命ルートは悪役令嬢とヒロインがくっつくルートだから」
「そ、そっか…………それで、そのゲームに魔族って」
「出てないんだよねぇ……私たちがゲームの中に転生したことでかなり
変わっちゃったのかなって考えてる」
「んー……じゃあ、私達以外に転生者がいても……」
「おかしく……ない……?」
あかりは少し考え込むように顎に手を当てて俯いた。
私達のせいでこの世界が変わってきている……?
だめだ、考えれば考えるほど分からなくなってくる…
そんな時、私の後ろから声が聞こえた。
「あれ?小鳥遊……百……さん?」
「大丈夫だよ、瀬名さんもよく眠れたかい?」
「は、はい…!」
「それは、よかった」
お父様は、にっこりとほほ笑みながらこちらを見た。
お兄様も同じような表情をしながら私達二人を見つめていて
何か変な事でもしちゃったのかな、なんて考えていたら
お母さまがニコニコしながら口を開いた。
「百ちゃんと瀬名さんはすっごく仲良しなのねぇ~おてて繋いで百ちゃんの
お洋服を着て…ふふっ」
「わぁ!?あかりごめんなさいっ、手繋いだままで…」
「大丈夫だよぉ~」
慌ててあかりの手を離すと、あかりはクスッと笑い 私達はその後五人で食事をとった。
朝ごはんを食べ終えた私達は、早速調べ物をする為に町に来ていた。
この町の図書館はとても広くて、本の種類も豊富だった。
そして、そこに住む人たちからも何かヒントが得られるかもしれない
とあかりが言ったので、私はそれに従う事にした。まず最初に目に付いたのはこの国の歴史ついて書かれている本が置いてあるコーナーだ。
学園でも歴史の勉強はするし、家でも本は読んだけれどまだまだ、知らないことがたくさんある。
あかりも同じようで、二人で一緒に本を読んでいく。
暫くすると、あかりが声を上げた。
どうやら何か気になる事が書かれていたようだ。
そのページを覗き込むと、そこには学園で習うような王族の歴史ではなく
平民達の歴史と、魔族の歴史が書かれていた。
「魔族って…………平民と関係あるの……?」
「分からない、とりあえず読んでみよう」
その本によると、遠い昔…………
魔族がこの世界に現れ、人間を襲い始めた。
人間は武器を手に取り戦ったが、数では勝っていてもその力の差は歴然であり 徐々に追い詰められていった。
ここまでは、学園で習ったままの歴史だ。
学園で習ったのは、そこで貴族が魔法を使い魔族を倒した。
そして、魔族はその力に怯え人間と仲良くすることを決めた…
しかしその本に書かれた歴史はこうだ。
不思議な力を持つ平民と貴族の女の子が、魔族の邪悪な心を浄化し平和を取り戻し、和解したというものだ。
その二人の力は 王家の血を引くものだけが使える力で、それ以降その力が発現するものは現れなかった。
だが、私はその話を聞いて一つだけ疑問に思ったことがあった。
「これ……私達に似てない?」
「百もそう思った?平民と貴族の女の子…不思議な力…」
そう、この本の内容は私達の状況にそっくりなのだ。
だけど、私達にそんな力があるとは思えない。
それに、魔族の心を救ったというのはどういう事なんだろうか。
私達が魔族と戦ったというのならば分かるけど、そんな記憶はない。
「過去にも私達みたいに転生した人がいた……?」
「うーん……でも、このゲーム私が作ったやつだからそれはありえないんだよね
百と私以外にいるはずがない……」
「え!?あかりが作ったって!?」
「あれ?言うの忘れてたっけ?このゲームは私が百と私をモデルに作ったって」
「聞いて無いよ……!!ゲームやってて気づいたら……とは聞いたけど!!」
確かにあかりは前世の記憶を持っていると言っていたが、まさかそんな事をしていたなんて知らなかった。
じゃあ、これは私がモデルになっているのか……。
だから、あかりも私も見た目もそっくりだったわけで…なるほど…
「でも、それだったらなんで私をヒロインにしなかったの?」
「それは……ゲームの中とはいえ、百を取られたくなかったから…だから
悪役令嬢にしたの」
「へぇ……攻略対象があかりに対して意地悪なのは?」
「あーそこらへん適当だったからなぁ~本命ルートは悪役令嬢とヒロインがくっつくルートだから」
「そ、そっか…………それで、そのゲームに魔族って」
「出てないんだよねぇ……私たちがゲームの中に転生したことでかなり
変わっちゃったのかなって考えてる」
「んー……じゃあ、私達以外に転生者がいても……」
「おかしく……ない……?」
あかりは少し考え込むように顎に手を当てて俯いた。
私達のせいでこの世界が変わってきている……?
だめだ、考えれば考えるほど分からなくなってくる…
そんな時、私の後ろから声が聞こえた。
「あれ?小鳥遊……百……さん?」
0
あなたにおすすめの小説
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる