眠れる隣の山田くん

あめふらし

文字の大きさ
上 下
16 / 42
第1章 眠れるあいつの隠し事(基本壱輝目線)

14.no kidding?

しおりを挟む
「俺、結構上手いよ?壱輝は手淫派?口淫派?」
「…な、に言ってんだよ」
「あ、それともハメたい?下のお口に」

 俺の頬を、するりと彩兎の白い手が滑る。
 何か言おうとして口を開いたが、声が出てこない。俺がずっと黙っていると、彩兎は堪えきれないと言うように笑い出した。

「壱輝って意外とピュアだな~。耳、真っ赤だよ?」

 笑いながら立ち上がった彩兎に、俺は気付かれないように小さく息をつきながら言った。

「…うるせぇ、冗談なら他所で言ってくれ。ほら、早くしねーと遅刻するぞ」
「はいはぁーい」


 クローゼットの方に歩き出した彩兎を尻目に俺は、上がりきった心拍数を落ち着かせようと、冷蔵庫からペットボトルの水を取り出して一気に飲み干した。それと深呼吸3回。
 やっと落ち着いてきて、コップを洗ってからベットに腰掛ける。
 少し経ってから、クローゼットの方から彩兎が顔を出して言った。


「あ、そう言えばさ。誤解してるみたいだけど、さっきの冗談じゃないから」


 そう言って、彩兎はにっこりと微笑んだ。
 上機嫌で着替え始めた彩兎に、俺は何も言わず枕に突っ伏した。
しおりを挟む

処理中です...