眠れる隣の山田くん

あめふらし

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第1章 眠れるあいつの隠し事(基本壱輝目線)

27.I often meet my acquaintance on holidays

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 「ーーんで、こっちが時計台」


 俺と彩兎は、札幌の観光名所を巡って街を歩いていた。
 俺にとっては見慣れた場所も、彩兎には物珍しく映るのだろう。目をキラキラさせながら、建物を眺めている。


「わぁ~!テレビで見たまんまだ~!」
「まぁ、札幌三大残念観光名所の一つだけどな」
「そーなの?」
「恐ろしくつまんない」
「…そうなんだ。ちなみにあと二つは?」
「テレビ塔と札幌ドーム」
「え、その二つも!?」

 彩兎とくだらない会話をしながら、街を歩く。
 
 「あ、大通り公園の方に行けば焼きとうきび売ってるぞ」
「焼きとうきび?」
「あー、とうもろこしの事だ。方言でそうゆうんだ」
「へぇ~。あ、北海道弁ってどんなのあるの?」
「あー。よく使うのは、語尾に"~だべ"とかだな。あと、すごいを"なまら~"って言ったり」

 改めて考えると、どれが北海道弁なのか分からない。
 あ、テレビでは"ゴミをなげる"も北海道弁だって言ってたような…。
 
「俺もだべ!って使おうかな。方言ってなんかいいよね」
「そうか?北海道弁ダサいと思うけどな」
「え?可愛くない?」
「可愛くはない」

 そ~かな~、と首を傾げる彩兎。
 いや、博多弁とかの方が可愛いだろ。分かんないけど。
 個人的には、大阪弁とか京都弁羨ましい…。

「俺東京だからさ。標準語ってつまんないよね」
「そうか?」
「なんか、こう…捻りがないってゆーかなんてゆーか」
「なんだそれ」

 難しそうな顔しながら言う彩兎に、思わず苦笑する。
 すると、彩兎が目を丸くして俺を見つめた。

「…?なんか顔に付いてるか?」
「い、いや…何でもない」

 ぱっと目をそらした彩兎に、今度は俺が首を傾げる。
 
「っあ!あそこのクレープ美味しそう!」

 誤魔化すようにいきなりでかい声を上げた彩兎に、俺はため息をつきながら言った。

「お前…、まだ食べる気か?」
「スイーツは別腹だよっ」
「…アホか。さっきまで食ってたのもスイーツだろ…」

 つーか、こんなに食っても太んないって…すげぇっつーか、なんてゆーか。
 まぁ、それは置いといて。次どこ行こうかな…。他に観光名所なんかあったか?
 俺が、検索でもかけようかとケータイを取り出した時、背中に誰か勢いよく抱きついてきた。
 不意の出来事だったので、少しつんのめりそうになる。

「…あっぶねぇ。ったくよ~、一体誰が…」

 ボヤきながら振り返ると、見知った顔に思わずいいかけた言葉を飲み込んだ。

「いーつき!こんな所で会うなんて奇遇だね~」
「くっ、屈狸くずり先輩!?」

 目を丸くする俺に、屈狸先輩はニコっと笑った。
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