シャルル(単発)

さよなら....それを言ったのは彼女....

さよなら....




僕はその言葉が嫌いだ。
寂しさを覚える言葉、それがさよなら。
僕は絶対にその言葉、さよならを聞きたくない。聞いたら嫌になる。何もかもだ。
さよならの重大さはとてつもない。
さよなら、それは、別れる。
さよなら、それは、忘れる。
さよなら、それは、噛み締める思い出が思い出す。
そういう事だ。みんなは気軽にさよならをいう。
そんな簡単に言う奴は僕は嫌いだ。
せめて許せるのがまた明日、だ。



まぁ、今日は休日。ゆったり過ごすか。
「ねぇ」
「ん？どうした。」
「いや、なんか考え事してるっぽいから」
彼女は、彼方(かなた)我儘な奴だ。だがそんな彼女が私は好きなのだ。
「いや、なんでもないよ」
「そう、なら良いけど」
「ていうか、君はどうなんだ。スマホばっかりつついてる、せめて恋人の家に来たんだから話すのが普通だろ」
「いいのよ、私の勝手。貴方が口出しすることじゃない。」
「あと、明日は来れないから」
「なんでだ？」
「言えない」
「言えよ」
「嫌って言ってるでしょ！とにかくプライベートだから」
落ち着け、僕は今すぐ落ち着け！なんとしてでも喧嘩はだめだ。
そう思い、僕はため息を吐く。
「お腹すいたか？」
「ん、少しだけすいた...」
「わかった、今すぐ食べれる奴作る」
「ねえ」
「ん？」
「怒ってる？」
そう心配した顔をするのは無理ない、俺は少し怒りを覚えているからだ。
「別に」
「そう....ならいいんだけど」
と、会話しつつ、僕は手を進める。
「はい、できた」
「ありがとう...うん、美味しい」
「そうか、良かった」
食べ終わると彼方は、帰る準備をする。
「じゃあ、今日はありがとう。」
「あぁ、気をつけて帰れよ」




今日は暇だから、ゲーセンへ来ている。
ゲーセンで1000円くらい使った気がする。
ゲーセンを出て、家へ向かおうとしてる途中、彼女、彼方がいた。
その隣に男がいた。
俺は手をギュッと握りしめる。
「誰だよ....」
そういうと、彼方は、にっこりと笑顔を見せる。
「その男、お前の新しい彼氏だろ？！どうせ俺に別れさせるために連れて来たんだろ？！もういいよ！好きにしろ！」
そう言い僕は走った。どこに？と言われても答えが見つからない。
それでも僕は走る。検討もつかない場所に。ただひたすらに走る。



ここは海辺、観光スポットでも有名な海辺。
くそ！と、砂浜を叩く。
すると突然、涙が頬を伝っていく。
俺はすすり泣きをする。
俺の好きな彼方に振られた。
我儘な彼方が好きだったのに振られた。
悔しい。あの男に奪われたと思うとすごく悔しい。
すると後ろから声が聞こえた。
「ねえ」
「なんで泣いてんのよ」
後ろを振り向くと彼方がいた。
1人でただ立っていた。
「おい！俺を振ったのになんでついて来てんだよ！答えろよ！」
「そうね、そういえば、今日は付き合い記念日じゃない？だから、あの男の人にプレゼントを一緒に選んでもらってたのよ。はい。これがプレゼント。」
次々と涙が頬を伝っていく。
「それとね、、、別れましょう。私達。自分たちが喧嘩ばっかりして嫌いになって別れるより、好きなまま別れた方が普通よりだいぶマシよ。それじゃあ。」
さよなら、と俺の一番嫌いな言葉を残し彼方は消えた。
やはりまた、ポロポロと涙が出てくる。
「さよなら....そんな言葉！消えちまえ！」
そう言い俺は砂浜を叩く。
これが本当のさよなら....か.....