ジュンの世直し剣舞録〜最強オカマ戦士の清廉な旅路〜

消すラムネ

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第一話:転移先はオカマ無双ワールド!?

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 ここは、どこだろうか。いや、そもそも、これが現実なのか、夢なのか。目を開けた瞬間、見知らぬ森の中でキョロキョロと怪訝な表情を浮かべている者が一人――名前はジュン、本名、西村淳二だ。あえて付け加えよう、その筋では「オカマ剣士」として名を馳せていた――って、現代じゃ剣術使いなんてあまりいないけど、彼…いや、彼女? とにかく本人いわく「性別を超えた最強の存在」らしい。

「ちょっと、なによここ! あたし、さっきまで実家の道場で剣振ってたはずなのに、森の中で一人なんて、誰が指図したわけえええ?」

 ほら、早速オカマ口調出ましたよ。ちなみにこの世界、剣と魔法が主流らしい。ま、いきなり異世界転移して文句言ったところで始まらない。ジュンは自分が持っている愛用の剣――フェンシング用のエペみたいな、だけど鋭く鍛え直された魔剣(未だにただの剣か不明)――を構えて、状況確認に入る。

 すると、森の奥から叫び声が聞こえるじゃないか。悲鳴だ、それも若い女性らしき声。「きゃああ、助けてー!」と来たもんだ。

「ちょっとちょっと、いきなり王道な展開ねぇ。オカマなめんじゃねぇぞ、ゴラ! 人助け? いいじゃない、あたし、人情に厚いんだから♡」

 ジュンは自分で自分の豊満な胸筋(むろん鍛えた結果であって、その在り方は通常の女性とは異なる)をぽんぽんと叩き、叫び声の方向へシュタッと疾走する。この異世界、どうやら魔力とかいうものがあるらしく、転移と同時に「身体強化の極意」なる力を得たジュンは、森を飛ぶが如く突っ走る。軽い! 早い! そしてなんか強そう! ……もう強そうじゃなくて実際強いんだけどさ。

 そちらへ駆けつけてみると、そこには二、三人のならず者風の男たちが、一人の娘を押さえ込もうとしている場面。いやいや、初っ端からチンピラ登場とか、まるで安い芝居だが、被害者がいるなら仕方ない。

「ちょっと、あんたたち、何やってんのよ!」
 ジュンがビシッと剣を突き付ける。
「はぁ? なんだその奇妙な格好は。男か女か分からねえが口出しすんじゃねえ!」と、ならず者A。
 そう来たか、こいつら――このご時世、ジェンダー感覚足りてないわねぇ。

「男でも女でもない最強の存在、それがわたし♡ よろしくぅ!」
 笑顔で決めポーズを取るジュン。周りから見れば正体不明の変人だが、剣先は微動だにせず真っ直ぐ。で、次の瞬間だ。ジュンは流れるような足裁きで一気に男たちの懐に入り、一瞬で相手の武器をはたき落とす。

 シャキン、ザシュっ!
 ……って斬っちゃいない。ジュンは優雅かつ素早く、手元を打ち払い、鍔元(つばもと)で男どものアゴをチョンチョンと突き上げる。するとどうだろう、あっという間に「ぐええ…」「なんだこの強さ…」と情けない声を上げて後ずさり、逃げ散っていった。

「オカマは人情に厚いの。だけど、それに甘えようとするゴロツキには容赦しないわよ? さっさと失せなさい!」

 ジュンが指をパチンと鳴らすと、チンピラたちは森の奥にヒュンと退散。「なんて強さよ…」とか「もうオカマなんて呼べねえ…」とか何か言い残してるけど、まあ気にしない。

 さて、助けられた女性はといえば、地面にへたり込んでいる。一見するとおしとやかそうな娘さんだ。
「だ、大丈夫?」
 ジュンが声をかけると、その女性は目を潤ませながら震える声で言った。

「ありがとうございます! あなたは一体……?」
「えっと、あたしはジュン、オカマよ♡ 異世界転移したての、ニューフェイスなの」

 いきなり「異世界転移」の単語をさらりと出す異邦人に女性はポカンと口を開けるが、ジュンは鼻でフフンと笑う。どのみち説明しても信じがたいし、ここはとりあえず人助けスタートってことで良しとしよう。

「わたくしはルイナ、この近くの集落で商家を営んでいる者です。きょうは薬草を摘みに来たのですが…」
「まあまあ、苦労してるのね。大丈夫よ、あたしが守ってあげる♡」

 こうして、オカマ剣士ジュンは異世界での最初の事件を華麗に解決したのである。普通の異世界勇者と違うところは何か? その性別不明な魅力と、湧き出る人情、そして圧倒的強さ。

 ここに、少々ギャグ混じりな世直し伝説が始まる――そして、ナレーターの私から言えることは一つ。「こいつ、だいぶ濃いな! 異世界がこれからどうなるか心配だぜ!」

 だがまあ、腐った奴らも多いらしいこの世界、ジュンのような剣士は必要かもしれない。
 彼(彼女?)が今後巻き起こす嵐に、皆が笑って泣いて、驚くことになるのだろう。

 第一話、これにて幕引き。次回、オカマ剣士のご活躍をご期待あれ!

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