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34話〜フェイ・フェムノVSラビリンスマスター
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ガキィン!
もう何度目か分からない金属音がだだっ広い空間に響く。
『まだだ、フェイ、それではアレは斬れない』
フェイはフェムノの言葉に返事をすることも無く、小さく頷いた。
ドカァン!
ゴーレムの拳がまたも地面に巨大なクレーターを作る。
もし1度でも直撃を受ければひとたまりもないであろう攻撃を避けながらそれでもフェイの集中力は落ちることは無かった。
この空間に転移した直後に食らい、腕を吹き飛ばされている攻撃だ。
恐怖が無いはずがない。
それなのに、フェイは臆することなくゴーレムの拳に向かっていき、すんででそれを躱して斬撃を加え続けている。
フェムノは自分を纏うフェイの闘気が僅かだが、確実に高まっていくのを感じていた。
フェムノは現在、フェイの身体強化と思考加速意外に魔力を使っていない。
斬撃力に対する上昇効果には魔力を割いていないのだ。
フェイの闘気が極限まで高まるのをじっと待っていた。
『いい集中力だフェイ、我を纏う闘気は間違いなく上昇している。 焦るなよ』
フェイはまたこくりと頷いてゴーレムの攻撃を避け、その腕をフェムノで穿つ。
フェイはもう、誰かを待つのが嫌だった。
このままじゃ、また置いていかれてしまう。
ロゼの強さを目の当たりにした時、アルセンの隣に立っていたあの武闘家の女の子を思い出してしまった。
あんな惨めな思いをするのは嫌だ。
あんな悲しい思いをするのは嫌だ。
あんな悔しい思いをするのは嫌だ。
強くなりたい。
今度は、傍にずっといたい。
バンの傍にずっといたい!!!
「はあぁぁぁっ!!」
裂帛の雄叫びと共にゴーレムの腕を斬りつける!
その斬撃は、初めて小さくゴーレムの腕に傷を付けた。
『フェイ! 次の斬撃で我も全力で魔力強化する、フェイも次で決める気でたたっ斬れ!』
「はいっ」
極限まで魔力強化されたフェイの踏み込みは地面が抉れる程だった、その踏み込みからゴーレムの動きを置き去りにして剣閃が振り上げかけた腕に走る!
魔力と闘気によって剣閃がまるで熱を帯びるように紅く輝く。
その斬撃はゴーレムの腕を落とすまでには至らなかったが、その巨大な腕に大きな亀裂を作った。
フェイはゴーレムの背後に着地した。
「やった!」
思ったのもつかの間、ゴーレムは振り向きざまに腕を振り回す!
一瞬、ほんの一瞬の気の緩みが致命的な隙を生んだ。
だが
フェイにゴーレムの巨大な腕が直撃しそうになった瞬間、銀色の光が盾になってゴーレムの腕とフェイの間に出現した!
フェムノの魔力の盾だ。
だが、ゴーレムの攻撃に一瞬で魔力の盾はバラバラに砕かれ、ゴーレムの腕がフェイを直撃する!
フェイは人形のように吹き飛んで壁に激突した。
『フェイ! 魔力を!!』
フェイの手から離れたフェムノが叫ぶ。
フェイは壁に頭を打ち付けたせいで意識が朦朧としてフェムノの声がどこから聞こえてくるのか判然としない。
「かはっ」
血を吐いた。
ぼやけた視界にゆっくりとゴーレムが近ずいて来るのが分かる。
フラフラになりながらもフェムノを探す、フェムノは銀色に光っているお陰でぼやけた視界でもすぐに場所が分かった。
壁から体を起こし、フェムノを拾おうと足を動かしかけたが。
1歩も歩かないうちに膝から崩れ落ちて地面に突っ伏した。
『フェイ! 逃げろ!!』
フェムノの切羽詰まった声が聞こえる。
ドドドドドドっ!!
凄まじい轟音が鳴り響いた。
なんの轟音かフェイには分からない。
顔を上げるとゴーレムがフェイに向かって拳を振り上げていた。
フェイはそっと目を閉じる。
もう一歩も動けない、立ち上がる事すらも出来ない。
身体中から血が流れていくのを感じる、体が冷たい。
ゴーレムに殴られた時か、壁に叩きつけられた時か。
かなり深い傷を負った体から血が流れ出す。
みるみるうちにフェイは自分の血溜まりに浸かっていく・・・
死にたくない、自分はまだ、死にたくない。
誰の役にもたっていない。
私は、バンの役にたてていない。
フェイの体が抱かれる。
「フェイっ! あぁ、なんて事だ!」
誰かがフェイを抱き上げていた、その目は涙に溢れている。
フェイが目を開けるとそこには涙で流したバーンダーバがいた。
「バン、あぁ、バン」
フェイはバーンダーバの頬に手を伸ばした、バーンダーバの頬にフェイの血がついた。
自らの最後を感じながらバーンダーバの顔を見れて少しだが、彼女は満足した。
バーンダーバはフェイの手が血にまみれていることに恐怖をつのらせる。
「フェイ、駄目だ、死ぬんじゃない。 嫌だ、もう、大事な人がいなくなるのは嫌なのだ! 頼む」
フェイの手を握り、涙を流してバーンダーバが声を出す。
『バン! 我に魔力を込めろ! 早く!』
フェムノが叫ぶ、フェイを抱きかかえたバーンダーバにロゼがフェムノを手渡した。
バーンダーバがフェムノに魔力を流し込むと広い空間が銀色の光で真っ白になるほどフェムノの刀身が光り輝いた。
全員が目をきつく閉じる。
バーンダーバがゆっくり目を開ける、フェイは出血こそ収まっていたものの、未だ息は苦しそうで顔は蒼白なままだった。
失った左腕も失ったまま、変わらない。
「フェムノ、どういう事だ!」
『我が治せるのは傷だけだ、失った体や血液まではどうしようもない』
フェムノが悔しそうに呟いた。
「バン、あなたに会えてよかった。 まるでアルセンの旅に一緒に行けたようでした」
フェイは力ない笑顔でバーンダーバを見る。
「すまない、私が迷宮などに連れてこなければこんな事には」
「そんな、私達はパーティじゃないですか。 一緒に旅をするのは当たり前ですよ」
「フェイ、頼む、行かないでくれ」
「バン、ありがとう」
バーンダーバの胸の中でフェイが目を閉じた。
その顔は優しい微笑みを浮かべていた。
「なぜだ、なぜ、私は大切な者が傷ついている時にその場にいない、何故・・・ 護ることが出来ない・・・」
バーンダーバが俯いて涙を流す。
「くそぉぉぉあ"あ"ぁぁぁぁぁっ!!」
バーンダーバが体からバチバチと魔力を迸らせながら叫んだ。
ロゼもセルカも咽び泣くバーンダーバになんと声をかけていいか分からずにただその場に立ち尽くしていた。
その時、背後でバーンダーバに胸と頭を射抜かれて動かなくなっていたゴーレムが光を放ち。
その場に小さな瓶を遺して消えた。
その瓶を見たセルカが叫ぶ。
「バン! 大霊薬だ! フェイが助かるかもしれないっ!!」
もう何度目か分からない金属音がだだっ広い空間に響く。
『まだだ、フェイ、それではアレは斬れない』
フェイはフェムノの言葉に返事をすることも無く、小さく頷いた。
ドカァン!
ゴーレムの拳がまたも地面に巨大なクレーターを作る。
もし1度でも直撃を受ければひとたまりもないであろう攻撃を避けながらそれでもフェイの集中力は落ちることは無かった。
この空間に転移した直後に食らい、腕を吹き飛ばされている攻撃だ。
恐怖が無いはずがない。
それなのに、フェイは臆することなくゴーレムの拳に向かっていき、すんででそれを躱して斬撃を加え続けている。
フェムノは自分を纏うフェイの闘気が僅かだが、確実に高まっていくのを感じていた。
フェムノは現在、フェイの身体強化と思考加速意外に魔力を使っていない。
斬撃力に対する上昇効果には魔力を割いていないのだ。
フェイの闘気が極限まで高まるのをじっと待っていた。
『いい集中力だフェイ、我を纏う闘気は間違いなく上昇している。 焦るなよ』
フェイはまたこくりと頷いてゴーレムの攻撃を避け、その腕をフェムノで穿つ。
フェイはもう、誰かを待つのが嫌だった。
このままじゃ、また置いていかれてしまう。
ロゼの強さを目の当たりにした時、アルセンの隣に立っていたあの武闘家の女の子を思い出してしまった。
あんな惨めな思いをするのは嫌だ。
あんな悲しい思いをするのは嫌だ。
あんな悔しい思いをするのは嫌だ。
強くなりたい。
今度は、傍にずっといたい。
バンの傍にずっといたい!!!
「はあぁぁぁっ!!」
裂帛の雄叫びと共にゴーレムの腕を斬りつける!
その斬撃は、初めて小さくゴーレムの腕に傷を付けた。
『フェイ! 次の斬撃で我も全力で魔力強化する、フェイも次で決める気でたたっ斬れ!』
「はいっ」
極限まで魔力強化されたフェイの踏み込みは地面が抉れる程だった、その踏み込みからゴーレムの動きを置き去りにして剣閃が振り上げかけた腕に走る!
魔力と闘気によって剣閃がまるで熱を帯びるように紅く輝く。
その斬撃はゴーレムの腕を落とすまでには至らなかったが、その巨大な腕に大きな亀裂を作った。
フェイはゴーレムの背後に着地した。
「やった!」
思ったのもつかの間、ゴーレムは振り向きざまに腕を振り回す!
一瞬、ほんの一瞬の気の緩みが致命的な隙を生んだ。
だが
フェイにゴーレムの巨大な腕が直撃しそうになった瞬間、銀色の光が盾になってゴーレムの腕とフェイの間に出現した!
フェムノの魔力の盾だ。
だが、ゴーレムの攻撃に一瞬で魔力の盾はバラバラに砕かれ、ゴーレムの腕がフェイを直撃する!
フェイは人形のように吹き飛んで壁に激突した。
『フェイ! 魔力を!!』
フェイの手から離れたフェムノが叫ぶ。
フェイは壁に頭を打ち付けたせいで意識が朦朧としてフェムノの声がどこから聞こえてくるのか判然としない。
「かはっ」
血を吐いた。
ぼやけた視界にゆっくりとゴーレムが近ずいて来るのが分かる。
フラフラになりながらもフェムノを探す、フェムノは銀色に光っているお陰でぼやけた視界でもすぐに場所が分かった。
壁から体を起こし、フェムノを拾おうと足を動かしかけたが。
1歩も歩かないうちに膝から崩れ落ちて地面に突っ伏した。
『フェイ! 逃げろ!!』
フェムノの切羽詰まった声が聞こえる。
ドドドドドドっ!!
凄まじい轟音が鳴り響いた。
なんの轟音かフェイには分からない。
顔を上げるとゴーレムがフェイに向かって拳を振り上げていた。
フェイはそっと目を閉じる。
もう一歩も動けない、立ち上がる事すらも出来ない。
身体中から血が流れていくのを感じる、体が冷たい。
ゴーレムに殴られた時か、壁に叩きつけられた時か。
かなり深い傷を負った体から血が流れ出す。
みるみるうちにフェイは自分の血溜まりに浸かっていく・・・
死にたくない、自分はまだ、死にたくない。
誰の役にもたっていない。
私は、バンの役にたてていない。
フェイの体が抱かれる。
「フェイっ! あぁ、なんて事だ!」
誰かがフェイを抱き上げていた、その目は涙に溢れている。
フェイが目を開けるとそこには涙で流したバーンダーバがいた。
「バン、あぁ、バン」
フェイはバーンダーバの頬に手を伸ばした、バーンダーバの頬にフェイの血がついた。
自らの最後を感じながらバーンダーバの顔を見れて少しだが、彼女は満足した。
バーンダーバはフェイの手が血にまみれていることに恐怖をつのらせる。
「フェイ、駄目だ、死ぬんじゃない。 嫌だ、もう、大事な人がいなくなるのは嫌なのだ! 頼む」
フェイの手を握り、涙を流してバーンダーバが声を出す。
『バン! 我に魔力を込めろ! 早く!』
フェムノが叫ぶ、フェイを抱きかかえたバーンダーバにロゼがフェムノを手渡した。
バーンダーバがフェムノに魔力を流し込むと広い空間が銀色の光で真っ白になるほどフェムノの刀身が光り輝いた。
全員が目をきつく閉じる。
バーンダーバがゆっくり目を開ける、フェイは出血こそ収まっていたものの、未だ息は苦しそうで顔は蒼白なままだった。
失った左腕も失ったまま、変わらない。
「フェムノ、どういう事だ!」
『我が治せるのは傷だけだ、失った体や血液まではどうしようもない』
フェムノが悔しそうに呟いた。
「バン、あなたに会えてよかった。 まるでアルセンの旅に一緒に行けたようでした」
フェイは力ない笑顔でバーンダーバを見る。
「すまない、私が迷宮などに連れてこなければこんな事には」
「そんな、私達はパーティじゃないですか。 一緒に旅をするのは当たり前ですよ」
「フェイ、頼む、行かないでくれ」
「バン、ありがとう」
バーンダーバの胸の中でフェイが目を閉じた。
その顔は優しい微笑みを浮かべていた。
「なぜだ、なぜ、私は大切な者が傷ついている時にその場にいない、何故・・・ 護ることが出来ない・・・」
バーンダーバが俯いて涙を流す。
「くそぉぉぉあ"あ"ぁぁぁぁぁっ!!」
バーンダーバが体からバチバチと魔力を迸らせながら叫んだ。
ロゼもセルカも咽び泣くバーンダーバになんと声をかけていいか分からずにただその場に立ち尽くしていた。
その時、背後でバーンダーバに胸と頭を射抜かれて動かなくなっていたゴーレムが光を放ち。
その場に小さな瓶を遺して消えた。
その瓶を見たセルカが叫ぶ。
「バン! 大霊薬だ! フェイが助かるかもしれないっ!!」
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