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21、おひとりさま・おふたりさま
しおりを挟む奏多のドラマ撮影が始まってから数日。
俺は何気なく…特に深い意味はないけど、とにかく奏多が出た過去作のドラマを総ざらいしていた。
(べ、別に深い意味はないし…ただ友達として…そう、友達として、どんな演技派っぷりか見てやろうと思って…)
自分に謎の言い訳をしながらテレビを食い入るように見つめ続けること数時間。
奏多主演のものは基本的に恋愛要素が入ったドラマが多く、甘いセリフや女の人が好きそうな仕草(壁ドンとか)が多かったが俺の心には全く響かなかった。
「……あの時の方が…凄かったな」
思わず独り言として呟いてしまったのは、過去に奏多から受けた熱烈な告白のこと。
酒を飲みながらの『独り言』と、控え室での一方的な愛の囁きを思い出し思わず頬が熱くなる。
(…いや、それだけじゃない。俺、よくよく考えたらドラマじゃ出来ないようなこと色々やってるんだよな…)
見抜き、手コキ、そして裸での性処理や女装プレイまで…
その一つ一つが鮮明に思い出されると、俺は無意識に息を荒らげていた。
「………かな、た…」
クッションに顔を填め、カーテンが閉まっていることを確認してからそっとズボンを下ろす。
(…違う。俺は、別にホモじゃない。…これはただの意趣返し的なやつだから…)
普段俺で抜いている(らしい)奏多への秘密の仕返しだ。
そう言い聞かせ、ゆっくりと自分のモノに手を伸ばした。
…シュッ…シュッ…
「っ…ん…♡」
先っぽを弄りながら扱けば、思わず溢れ出る甘い吐息。
さらに奏多に触れられた時のことを思い出して少し強めに握り込めば腰が勝手に揺れだした。
(…奏多の熱い視線、吐息、全部覚えてる)
優しい手つきで体をまさぐられた。
性器だって扱かれたし、乳首も執拗にこねられた。
「かなた…っ…かな、たぁ…♡」
奏多の手つきや声を思い出すが、まだ足りない。
舌が勝手に何かを求めて動き、俺は目を細める。
(……また…キスしたい…)
無理矢理されたあの時は本気で嫌だったけど今は…今だけは、奏多が欲しい。
ふと顔をあげればドラマは佳境に入り、奏多とヒロインのキスシーンが映っていた。
(いいな…俺も、あんなふうに…)
優しく抱きしめられながら奏多とキスをするヒロインの女優の姿を自身に重ね、舌をもごもごと動かす。
さらに片手を胸の方へと伸ばすと、前に奏多にされた時のように乳首をこねてみた。
「ん、ぅっ…♡」
既に固くなっていたそこは思っていたよりも感じやすかった。
全身に熱が溜まるのを感じながら更に手を激しく動かす。
「はぁ…はぁっ…♡そ、そろ…そろ…」
興奮が限界値に迫った所でティッシュ箱へと手を伸ばす。
しかし…
ピピピピピピ!!!!
「ひぇっ!」
不意にティッシュ箱の傍に置いていた携帯がけたたましい音を鳴らし、俺は誤ってその画面に触れてしまう。
「あ!や、やば…」
誰かから電話だろうか?
なら急いで切らないとすごく気まずい…
俺は慌てて携帯を握ったが、そこに映し出された文字に息を飲んだ。
『鏑木 奏多(私用番号)』
友達関係になった時に登録したそのプライベートの番号は、まだ1度もかけたこともかけられたこともない。
(な、なんでこのタイミングで…)
『……拓磨?』
「っー!あ、か、奏多…?」
そのまま無言で切ればよかったのに、俺は携帯から聞こえてきた声に咄嗟に反応してしまう。
『急に電話してごめんね。今日はお仕事休み?…少し、話せる?』
「え、えーと…そのっ…と、とりこみ…中で…」
緊張、不安、興奮に声が上擦り、携帯を持つ手が震える。
奏多に気付かれちゃダメだ。
まさか、ちょうど奏多でオナってた所だなんて…バレたら恥ずかしくて爆死してしまう。
『取り込み中?……もしかして、1人でシてたの?』
「そっ、そそそんなわけない、だろっ…!」
『本当に?でも拓磨の声、すっごくエッチだよ』
「っ…」
ダメだ、完全にバレてる。
楽しそうに笑い、そして色気を含んだその声色に俺は不本意ながらも興奮してしまっていた。
「お、俺も、男なんだしっ…AV見てオナるぐらい、いいだろ」
『それもそうだけど…でもさ、電話口から聞こえてくるのAVじゃないよね?…それ、前に俺が出たドラマでしょ』
「!?」
なんだコイツ!どこまで勘が鋭いんだよ!
俺は電話を切ることも出来ずに息を飲み、向こうから聞こえてくる吐息や物音に耳を傾けることしか出来ない。
やがて奏多の電話からドアの音や足音が聞こえなくなると、今度はひっそりとした声が聞こえてきた。
『…ねぇ。何をオカズにしてたかまでは聞かないから。拓磨の声のエッチな声…聞かせて?』
「な、なんでそんなこと…」
『僕の方の処理も兼ねてってことで。…直に触るわけじゃないんだし、いいでしょ?』
ダメだ。
そんな色気のある声で囁かれたら、思考力とか判断力とかが色々とダメになってしまう。
『拓磨。…ダメ?』
「っ…う、うぅ…この、変態め…」
こんなアブノーマルなこと、前は嫌だったはずなのに。
俺は小さく唇を噛み締めると、電話の先の奏多に承諾の意を伝えた。
「…わ、分かったよ…1回だけだからな」
『ありがとう、拓磨。…愛してるよ』
「っ、あ…!」
とびきりの色気が混ざった奏多の声が耳をくすぐり、俺は思わず声を漏らす。
性器を握った手は無意識下で再び動き出していた。
「ば、ばかっ…変な声…だすなよ…っ…♡」
『拓磨こそっ…ん…そんなエッチな声、他の誰にも聞かせないでよ…っ』
あちらも既に始めているのか、特有の水音や荒い吐息が聞こえてくる。
その音や声がさらに俺の興奮を煽り、理性が濁って溶けていくのを感じた。
「俺なんかの、声で…興奮するのはっ…おまえくらい、だろ…」
『…んっ…拓磨…お前、じゃなくて…僕の名前、呼んでよ…』
「…っ…か…かな、た…奏多…」
『くっ…!』
恐る恐る奏多の名を呼べば、携帯から聞こえる声が熱を帯びる。
そしてさらに大きくなる卑猥な水音。
(…今、俺の声で扱いてるのか…名前を、呼んだだけなのに…)
『拓磨…たくまっ…すき、だ…愛してる…』
「っー!」
艶をふくんだ掠れ声で名前や愛の言葉を囁かれ、俺の方まで一気に興奮が高まってしまう。
『たくま…たくまっ…今すぐ、その体を抱き締めたい…そしてキスして、可愛い乳首を…いっぱいいじめてあげたいよ…』
「はぁ…っ♡…か、奏多…そんな…っ…ん♡」
しかし俺は奏多の言葉に反応するように、自ら乳首を指先でこねくり回していた。
『拓磨…僕の手で、気持ちよくなって?…僕も、拓磨の手で気持ちよくなるからっ…!』
「あっ…♡やっ…かな、た…かなたっ…♡かなたぁ…♡♡」
今自分のものを扱いている手は奏多のもので、奏多のものを扱いているのは俺の手。
そんな妄想に2人でふけり、俺たちは変態的なテレフォンオナニーに興じる。
「あっ♡っ、も、もう…出る♡イク、からっ…!」
『僕もっ…♡拓磨の手で、いっぱいイクよ…!』
「で、るっ…♡あ♡ん、ぁあぁああっ♡♡」
『っくー!』
そして、俺は堪えるような奏多の息遣いを聞きながら待ち望んだ絶頂に達した。
「……は、ぁ…はぁ…♡」
(…すご、かった…人生最高のオナニーだったかも…)
射精後独特の余韻に浸りながら俺は呆然と天井を見つめる。
とても満足のいく一時だったが…少しだけ、足りないものがあったのを自覚していた。
「………キス…したかった…」
無意識のまま呟き、行き場のない唇に触れてそっと目を細める。
しかし…
『…拓磨?』
「っー!」
まだ電話が繋がっていたことを思い出し、俺は慌てて体を起こした。
『さっき、何か言った?ちょっと余韻に浸ってて聞けなかったんだけど…』
「な、なんでもない!」
追及される前に切ってしまおう!
俺は即座にそう判断すると、テレビを消してティッシュを取り出しながら携帯に向かって一方的に喋る。
「とにかく!今日のことは直ぐに忘れろよ!…お、俺もう寝るから!」
『拓磨、待っ』
プツッ ツー ツー
…最後に奏多の声が聞こえた気がするけど気のせいだ。
そうに違いない。
俺は顔に溜まる熱を無視しながら窓を開け、そのまま覚束無い足取りでバスルームに向かった。
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