[R18]これはあくまで治療です!

空き缶太郎

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27、歩む未来

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……半年後。
鏑木奏多はアイドルとしての活動を更に活発にさせ、今や海外でも人気を広めつつあった。

そして今日は関東で有名なイベントホール・飯借ままかりメッセでのライブ。

倍率数十倍とも言われるプラチナチケットを手に出来た幸運なファンたちが詰めかける中、当の奏多本人は控え室でとの甘い時間を過ごしていた。


……………………


「んっ…♡か、かなたっ…そろそろ、本番っ…んむぅ♡」
「だーめ。もう少し、拓磨を堪能させて」

膝の上に乗せた俺の体を抱き寄せ、その舌先を指先で弄う奏多。

唾液で指が汚れてもお構い無しで、恋人おれの淫らな姿にうっとりと微笑んでいた。
この変態め…。

「また、っ…勃起したら、どうすんだ…」
「昨夜いっぱい抜いたから平気だよ。…ほら、キスしよ」
「んんっ…!」

そしてトドメをさすようにキスをされたら俺の負け確定。
奏多の舌使いに腰は砕け、マトモな思考が難しくなるほどふにゃふにゃにされてしまう。

「あっ…ふ、ぁあ…んむぅ♡」
「ん♡…ぷはっ…拓磨、エッチな顔してるよ」
「…うるひゃい」

頬を手で挟まれ、ひょっとこみたいな顔になりながらも俺は奏多をキッと睨みつけた。

「そんなことしても可愛いだけだよ」

奏多はくすくすと笑いながら俺の頬にキスを落としたが、その瞬間ドアがコンコンとノックされる。

『鏑木さん、そろそろお願いします』
「あぁ。わかったよ」
「…もうそんな時間か」

俺は口元を軽く拭き、『付き人』として奏多の服の乱れを直す。
自分の服の方が乱れきっていたが、それは二の次だ。

「…これでよし、と。じゃあライブ頑張って来いよ。俺は控え室からモニターで見てるから」
「うん。…ライブが終わったら、しようね」

そう言うと、奏多は最後に俺の唇にキスをしてから控え室を後にした。

その表情は先程までの甘いものではなく、ファンの前に立つ『アイドル』のものに瞬時に変わっていて、俺は思わずその変わり身の早さに息を着いた。

「……凄いな、相変わらず」

控え室のドアを閉め、椅子に座ってモニターを眺める。

モニターにはまだ客席しか映っていなかったが、お客さんたちの盛り上がりっぷりに思わず鼻が高くなる。

(最近の奏多は『大人の色気が出てきた』ってネットでも評判だからな…)

SNSを中心に、元々清廉潔白で正統派アイドルだった奏多に『色気』が感じられるようになったという声が上がっている。

多分それは俺の影響もあるのだろうが…少しだけ、モヤッとする。

「…あんまり、色気がある所を見せたくないんだけどな」

それはあまりにも身勝手な、子供じみた独占欲。
俺は少し頬を膨らませたが、モニター越しに聞こえたきた歓声に思わず顔を上げた。

『かなたさまー!』
『キャー!素敵ー!』

そんな歓声に向け、笑顔で手を振る奏多。

少し嫉妬してモニターを睨んでいたが、まるでこちらの様子が見えているかのようなタイミングでカメラ目線の投げキッスを貰ってしまい、俺は驚きに目を丸くした。

(…まさか盗聴されてるのか?)

…いや、さすがにライブ中でそれは無いだろう。

俺は首を横に振り、またモニターを注視した。


…………


……………………


数時間にも及ぶライブを無事に終えた奏多は少し疲れた様子で控え室へと戻ってきた。

「お疲れ様です、奏多。素晴らしいライブでしたよ」
「ありがとう佐原。…拓磨は?僕のライブ、どうだった?」
「えっ、あ…そ、の…よ、良かったぞ?」

佐原さんから水を受け取りながら話を振ってきた奏多に、俺は挙動不審になりながらも適当に返事を返す。

するとそれを見た佐原さんが小さく溜息をつき、呆れた様子で口を開く。

「はぁ…社さん、素直になったらどうです?私の口から言ってもいいのですが」
「ま、待って待って!…自分で、言うから」
「?」

少し深呼吸をして、ライブ終わりの奏多を見つめる。
うぅ、やっぱり恥ずかしい…

「…すごい、カッコよかった」
「拓磨…!」
「で、でも!…ちょっとだけ、嫉妬した」
「えっ?」

俺に抱きつこうとした奏多を制し、さらに言葉を続ける。

「あんな大勢のファンに愛されて…奏多は俺の『恋人』なのに、って…もごもご」
「……………」
(…邪魔者は退散しますか)

無言で控え室を出ていく佐原さんを視界の端に捉えながらも、俺は奏多の方を見つめた。

「…奏多?」
「……拓磨…もしかして、誘ってる?」
「は…?」

気付いた時にはもう遅かった。

奏多は素早く俺の肩を掴むと、そのまま噛み付くようなキスを落とす。

「んんっ!?」
「ん…あんな可愛いこと言って、僕を誘うならベッドの中だけにしてくれないかな?」
「ぷはっ…ば、ばかっ…」

『どこのスケベオヤジだよ』と悪態をつけば、『拓磨だけだから』と謎の返しをされてしまった。

「拓磨、拓磨。…ライブも終わったから、続きしよ?」
「つ、続きって…また他のスタッフが外にいるのに…」
「1回だけでいいから。ね?」
「………」

甘えるように小首を傾げる奏多に、俺は諦めたようにため息をつく。

「…本当に1回だけだからな」
「うん。…残りは今夜、ベッドの中で…♡」

そして俺たちはゆっくりと、互いを求め合うように唇を重ね…そのまま秘密の蜜事を始めた。



ー完ー



………………………………………………………


EDアイドル×ドルオタAD
長くなってしまいましたがこれにて完結です。

個人的にはもっとえちえち要素を盛り込みたかったのですが…たまにはライト(?)なBLもいいよね!
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感想 2

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みんなの感想(2件)

hisame930030
2023.08.12 hisame930030

はぁぁ。何度読んでも良いです。こちらの作品を知ったのはつい最近(ごめんなさい。そもそもアルファポリス自体も最近知りました)なのですが6周位してる気がする…。アイドル☓AD。かなた君カッコ良すぎるし、たくま君もなんのかんのいってかっこいい。お互いがお互いに大切な人というシチュ最高すぎる。まれに公開を非公開にされる作者さんがいらっしゃいますがお願いですから非公開にはしないで下さい!!
私の癒しなのです!!お願いします🙇

解除
月翔_なっとぅ
ネタバレ含む
解除

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