暗殺者? ソフィ

nekuro

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10話目 全てお見通し

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 ケルベロスの一人、ベルーガはソフィの手によって倒され、事なきを得た。
 彼も先に捕まった葛原同様、警察の手によって連行されていった。
 ベルーガを倒したソフィは何事も無かったように、再び楓達の居る学校へと戻ってきていた。ただし、授業中に勝手にいなくなった事に関してはお咎めを受けてしまう。
 学校の日程も昼休みに差し掛かり、ソフィから楓達はケルベロスを倒したことを教えられる。


「信じられない……僅か一日足らずで最強と呼ばれたケルベロスの二人を倒し、捕まえる事が出来るなんて」


 裏の世界で有名なケルベロスを倒すソフィの実力に、楓はただ感服していた。


「どうやってベルーガを? 彼は狙撃のスペシャリスト。それを倒すのは至難というか無理に等しかった筈」
「先程も言いましたが、視線でーす。ぎらついた殺気を感じ取ったので、それを追ったまでです」
「でも、居たのって廃ビルになったホテルだったんでしょ? あそこの場所知ってるけど、この学校から優に1キロは離れているわ。接近するにしても時間がかかりすぎるんじゃない?」
「大丈夫です。走っていけば全然間に合います」
「1キロの距離を走って行ったら何分かかるのよ」
「一分程度で着きますよカエデ?」
「い、一分! そんなわけないでしょ! 大体、人間の百メートルの世界記録知ってるの?」
「それは知りませんが……私は大体、四秒で走れまーす」
「嘘でしょ!」


 改めてソフィの超人的な身体能力を思い知らされる楓。


(このソフィさんがいれば、ひょっとしたらケルベロスを倒せるのかもしれない……!)


 希望を感じる楓。
 だが、楓はふと思い返す。


(あれ? でもちょっと待って? 確か、ソフィさんは悟志を殺しに来た暗殺者だった筈……それってつまり、ケルベロスがいなくなっても、今度はソフィさんから悟志を守らないといけないんじゃないの私!)


 事の重大さにようやく気付く楓。
 実力だけならばケルベロスを凌ぐ腕前の暗殺者。それを相手にする、という事を考えただけで楓は眩暈がしてよろめいた。


「おや? カエデどうしましたか? 顔色が悪い気がしまーす」
「あー、いや、何でもない。そ、それよりも! まだ最後の一人が残ってるから油断はまだできないわよ!」
「まーだ居るのですか?」
「ええ。最期の一人は『変装のリアナ』と呼ばれる暗殺者。文字通り他人に変装するのが得意なんだけれど、彼女の変装は相手の癖や過去のデータを完璧にコピーする。だから、変装されたら身内でも見分けがつかない程と呼ばれているわ。最も暗殺向けの戦い方ね」
「だいじょーぶでーす! どんと泥船に乗ったつもりでいてください!」
「泥船じゃなくて、大船ですよねそれ?」
「私は、ちゃんと変装の見破り方も教わっていまーす。そのコツを二人にだけ内緒で伝授しようとおもいます」
「……嫌な予感しかしないけど、一応聞かせてもらってもいいかしらソフィさん」
「そのコツとは、ズバリ身長と体重です!」
「身長と……体重?」
「YES! おおよその変装術は見かけだけで、その細かな身長体重を把握していない事が多いです! それを見れば看破出来まーす」


 自信満々に言うソフィであるが、聞いた二人はというと残念そうな顔でソフィを見ていた。


「ソフィ……あのさ、一つ聞いても良いかな?」
「はい? 何でしょうサトシ?」
「そんな身長と体重どうやって判別するの?」
「もちろん! 見て判別します!」
「じゃあ、僕の体重と身長分かる?」


 ふむ、とソフィは悟志を頭の上から足の先まで眺める。


「身長173.3と体重は63キロですね」
「! 当たってる……!」
「嘘でしょ! 本当なの悟志?」
「どうですか? ちなみに、私は他の生徒の身長体重を全て把握できてまーす」
「じゃあ、そこにいる楓も?」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 私は良いから! そこの花村さんで!」


 楓は自身の体重を把握されたくないと思い、隣の席にいる女子生徒を指さす。
 先程と同じようにソフィは眺めた後。


「身長157ジャストと体重は45キロ。スリーサイズは上から85・55・81ですかね」
「エッ! 本当に!」


 何故か一番驚いたのは楓であった。


「えっ、でも見た感じそんなに大きいような気が……」
「なんで楓が一番興味深々なんだよ」
「だ、だって! その、気になるじゃない!」
「私の見立ては間違いありませーん。彼女は、着痩せするタイプです。着ている服が変わればとても魅力的な体を持ってまーす」
「し、信じられない……私聞いてくる!」


 何故かこの時だけは勇んで行動を起こす楓。
 楓は花村にそっと耳打ちをすると、花村の顔が一気に赤くなる。そして、「な、何で分かるの!」と動揺しながら楓に「内緒だよ!」と念押しするのが見えた。
 花村の席から楓が帰ってくる。


「いや、ピッタリだって。ソフィさん凄いわ」
「だから言ったでしょう? 見れば分かるものなのでーす」
「いや、それはソフィさんだけだから」
「ソフィ、俺から頼みがあるんだけど……」
「何でしょう、サトシ?」
「楓の身長体重とスリーサイズを教えて」
「教えんでいいわ!」


 思いっきり楓に平手で頭を叩かれる悟志。


「そうですね……カエデは」
「ダメ、ダメ! 絶対ダメだからね! ソフィさん!」


 下らないやり取りを三人がしている中で、教室の反対側に座る眼鏡を掛けた女子生徒が三人のやりとりをずっと眺めていた。
 彼等は知らなかった。
 自身の机に盗聴器が仕掛けられており、それは女子生徒の耳にあるコードレスのイアホンで聴きとれるようになっている事に。
 女子生徒は三人の会話を盗み聞きしていた。


「へぇ……そこまで判別できるなんて、驚きね。もう少し、念には念を入れないといけないわね」


 独り言を呟いた後、クスリと笑う。








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