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8 一歩前進
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目を覚ます。
ハッキリと今度は彼の顔を認識する。
私が起きたのが分かると、彼は何時もの気さくな笑顔を私に見せてくれる。
当たり前だったことが、改めて掛けがえの無いものだと教えてくれる。
「柳君……」
「おはよう。小宮さんが寝るなんて珍しいね」
その言葉にムッ、とする。
私がどれだけ不満とイライラを募らせていたのか。
未だに繋いでる手に気づいて、パッと離す。
「何で手を繋いでいたんですか」
「繋ぎたかったから……というのもあるけど」
「けど?」
「安心させたかったから」
その言葉に反論は出来なかった。
実際、その効力を私は体験したからだ。
「分かりました。今回は大目に見ます……ただし、どうして昨日来なかったのですか?」
腹が立つ。
嬉しいのと同じぐらい、彼に対して怒りがあった。
私の怒りを感じているのか、珍しく彼がタジタジになっていた。
「いや、どうしても外せない用事があって」
「どういう用事ですか?」
「それは小宮さんにも言えないよ」
気になる。
でも、言えないと言う事は、あんまり深く追求してはいけない気もする。
「それでも、一言くれればよかったのに。待ってたんですよ」
「え? 待っててくれたの?」
「……! まぁ、その、あくまで本を読むついでです」
平静を装っているけれど、内心は鼓動がこれ以上ないぐらい高鳴ってる。
自分でも信じられないぐらい発言が軽い。
しっかりしないと感情が噴き出しそうになる。
「申し訳ない、今度からはするよ」
謝る彼。別にこうやって会うのだって約束してるわけではない。
本当は連絡する必要なんてこれっぽちもないのに、単純に私の我が儘だ。
ただ、今はそれを言われるだけで安堵している自分がいた。
このままでも十分な関係だ。
今もなお、この関係が続けば良いと思っている。
けど、今はもう少し歩み寄りたい気持ちもある。
二つの気持ちがせめぎ合う。
――ほんの少しだけ、勇気をだしてみることにした。
「あ、あの! 柳君! 昨日心配かけた事、本気で申し訳ないとおもってますか」
「うん、勿論思ってるよ」
「し、心配をかけた罰。そう、これは罰です! だから、その……」
兎に角どんなことでも良いから理由が欲しかった。
ただ、単純に聞く方が簡単だったかもしれないと今更思った。
彼は不思議そうに私を見てる。
今、私は口を何度も開いたり、閉じたりしている。声がでない。
だって、こんな事を異性の人に言うの初めてだから。
「で、電話番号……教えてくだ、さい」
消え入りそうな声で私は言った。
いや、言った、というより言えた、だった。
こんなにも大胆な事をした自分に驚いている。
彼から、クス、と驚きと笑いが混じったような声が漏れる。
「な、何がおかしいんですか!」
「ごめん、ごめん。そうだね罰を受けるよ。だから、良かったら交換しよう」
「も、勿論です。罰なんですから……」
お互い携帯を取り出し、相手の番号を確認する。
一度鳴らして、しっかりと間違ってないかを確認する。
「つ、ついでに連絡アプリとか持ってないですか! ラインとか」
「それも罰なの?」
「あ、当たり前です! それだけ心配かけたんですから!」
「どうやら僕の罪はかなり大きかったみたいだね」
そんなやり取りで、ラインなどの連絡系アプリの交換もできる。
アドレス帳に乗る彼の電話番号。
素直に嬉しかった。
直ぐに彼とやり取りできる手段を持つことが出来たというのは大きかった。
そんなことを考えていると、彼が私の方をご機嫌そうに見ていた。
「どうしたんですか? ジロジロ見て」
「いや、今日の小宮さんはやけに感情豊かだなって思って。何かあった?」
何かありました。
そして、その張本人はきっとわかっていない。
「そうですね……自分の胸に聞いてみたらどうですか?」
彼は首をかしげて胸に手を当てていた。
ハッキリと今度は彼の顔を認識する。
私が起きたのが分かると、彼は何時もの気さくな笑顔を私に見せてくれる。
当たり前だったことが、改めて掛けがえの無いものだと教えてくれる。
「柳君……」
「おはよう。小宮さんが寝るなんて珍しいね」
その言葉にムッ、とする。
私がどれだけ不満とイライラを募らせていたのか。
未だに繋いでる手に気づいて、パッと離す。
「何で手を繋いでいたんですか」
「繋ぎたかったから……というのもあるけど」
「けど?」
「安心させたかったから」
その言葉に反論は出来なかった。
実際、その効力を私は体験したからだ。
「分かりました。今回は大目に見ます……ただし、どうして昨日来なかったのですか?」
腹が立つ。
嬉しいのと同じぐらい、彼に対して怒りがあった。
私の怒りを感じているのか、珍しく彼がタジタジになっていた。
「いや、どうしても外せない用事があって」
「どういう用事ですか?」
「それは小宮さんにも言えないよ」
気になる。
でも、言えないと言う事は、あんまり深く追求してはいけない気もする。
「それでも、一言くれればよかったのに。待ってたんですよ」
「え? 待っててくれたの?」
「……! まぁ、その、あくまで本を読むついでです」
平静を装っているけれど、内心は鼓動がこれ以上ないぐらい高鳴ってる。
自分でも信じられないぐらい発言が軽い。
しっかりしないと感情が噴き出しそうになる。
「申し訳ない、今度からはするよ」
謝る彼。別にこうやって会うのだって約束してるわけではない。
本当は連絡する必要なんてこれっぽちもないのに、単純に私の我が儘だ。
ただ、今はそれを言われるだけで安堵している自分がいた。
このままでも十分な関係だ。
今もなお、この関係が続けば良いと思っている。
けど、今はもう少し歩み寄りたい気持ちもある。
二つの気持ちがせめぎ合う。
――ほんの少しだけ、勇気をだしてみることにした。
「あ、あの! 柳君! 昨日心配かけた事、本気で申し訳ないとおもってますか」
「うん、勿論思ってるよ」
「し、心配をかけた罰。そう、これは罰です! だから、その……」
兎に角どんなことでも良いから理由が欲しかった。
ただ、単純に聞く方が簡単だったかもしれないと今更思った。
彼は不思議そうに私を見てる。
今、私は口を何度も開いたり、閉じたりしている。声がでない。
だって、こんな事を異性の人に言うの初めてだから。
「で、電話番号……教えてくだ、さい」
消え入りそうな声で私は言った。
いや、言った、というより言えた、だった。
こんなにも大胆な事をした自分に驚いている。
彼から、クス、と驚きと笑いが混じったような声が漏れる。
「な、何がおかしいんですか!」
「ごめん、ごめん。そうだね罰を受けるよ。だから、良かったら交換しよう」
「も、勿論です。罰なんですから……」
お互い携帯を取り出し、相手の番号を確認する。
一度鳴らして、しっかりと間違ってないかを確認する。
「つ、ついでに連絡アプリとか持ってないですか! ラインとか」
「それも罰なの?」
「あ、当たり前です! それだけ心配かけたんですから!」
「どうやら僕の罪はかなり大きかったみたいだね」
そんなやり取りで、ラインなどの連絡系アプリの交換もできる。
アドレス帳に乗る彼の電話番号。
素直に嬉しかった。
直ぐに彼とやり取りできる手段を持つことが出来たというのは大きかった。
そんなことを考えていると、彼が私の方をご機嫌そうに見ていた。
「どうしたんですか? ジロジロ見て」
「いや、今日の小宮さんはやけに感情豊かだなって思って。何かあった?」
何かありました。
そして、その張本人はきっとわかっていない。
「そうですね……自分の胸に聞いてみたらどうですか?」
彼は首をかしげて胸に手を当てていた。
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