別世界の空の下で!

みきトラ

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第27話「約束と動き」

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第27話


銀色の光が僕のいや彼の心臓を突き刺す
彼は消えるその少しの間に、僕に言葉を残した
「鬼一よ…。少しの間だが楽しかったぞ。先に逝く!さらばだ!」


そして、彼との繋がりが消えたのと共に僕も意識を失った。


次に目を覚ました時には僕の身体は元に戻っていた、一体どんな魔法を使えばあれほどまでに改造された身体が元に戻るのか?と、疑問に思ったがそんな事よりも  今は姉の事を話さなければならない為気にしない事にした僕の命はもう残り少ないのだから。


「お?目が覚めたみたいだね!気分はどうだい?」


青髪の少年はとても良い笑顔で僕に話しかけ倒れている僕に手を伸ばしてくれた。


細い腕だ、僕はその手を握り地に足をつけた。


「ありがとう、悪くない気分だよ。」

「それは、よかった。」


銀髪の少女が僕に近づいて来て、僕の体を心配そうに見つめ問いかけて来た。


「あの、お身体に痛いところとかございませんか?大丈夫ですか?」


「ああ、心配ありがとう。大丈夫問題ないさ。」


しかし、僕の言葉に関係なく僕の体から光の粒が空に上がりだす。


「どうやら、もうあまり時間がないらしい。僕に聞きたい事もあるだろうけどすまない…、こちらの話を先にさせてもらうよ。」


少女は、何か言いたそうだったがそれを少年が止めた。


「わかった、話してよ。」


「ありがとう、恩にきるよ。」


それから、僕は少年に全てを話した自分が攫われて改造された事や知ってる限りの奴の情報そして、助けてほしい姉の事を。


「なるほど、魔王軍のしわざか…、んでお姉さんを助けてほしいと…けどまだ生きてるってのはなんでわかるの?」


「それは、簡単さ僕の心臓部分にある魔石に互いが生存しているか否かがわかる魔法がかかってるからさ、本来なら僕が改造されて自我を失った瞬間からその魔法の効果は消えるはずだったんだけど…、どうやら奇跡的にまだ効果は続いているらしい。」


まるで、死んだ仲間たちが力をくれたかのように思えるが…、そんな力は聞いた事が…まてよ確か母が何か言っていた気がでもあの話は…いや、そんなまさかね…。


でも…これにかけてみるか、今の僕にできる事はそれぐらいだもんね。


「そうなんだ、わかったよ君のお姉さんを探して必ず助けるよ。約束さ。んで、お姉さんの名前はなんて言うの?」


「姉さんの名前は、さや…。【サヤ・ローウィン】だよ。」


少年と少女が不思議そうに首をかしげる。


「えっと、君の名前は鬼一だよね?なんかお姉さんと名前のつけ方が違くない?」


まぁ、僕ら以外の種族のその反応は当然の事だろうな。


「これは、あまり知られてないだろうけど鬼族はその家族の最初に生まれた子供には村の名前を名前の後ろにつけて呼ぶんだよ。」


ミツルは思った日本で言う苗字と同じ感じに使われてるのかな?と


ミツルがそんな事を考えていたら、突然鬼一が眩く光り出した。


「うわ!?なんだ!」


「眩しい……。」


鬼一は落ち着いた声で


「どうやら、ここまでみたいだ…。」

と言った。


「そんな…、やっと解放されたのにそんなの!そんなの!あんまりじゃないですか!貴方は!貴方はずっとずっと!苦しんで来たのに!こんなの!酷いじゃありませんか!」


その姿を見たアイラが今まで溜めていた言葉を涙を流しながら吐き出す。


だが、鬼一はそれを穏やかに微笑みながら答える


「良いんだ、最後に心残りだった姉さんの事を伝えられたし、それに…君を傷つけたはずなのにそんな僕の事を心から悲しんでくれる助けてくれたそんな優しい人にも会えた……そして、心も強く力も強い少年にも会え約束までしてくれた。後、やり残した事は…。そうだ、少年。もう一つ頼まれてくれないかな?」


ミツルは強く頷き答えた


「いいよ、なんでもいいなよ。」


「ありがとう、僕は今から残された力を使って魔石に魔力を込めるそれを…僕を姉さんに渡してほしい。」


「わかった…。」


「ヒグッ…ウウ…あんまりです…。」


「泣くな、アイラ最後は笑って送るんだ。それが僕らに今できる最後の事なんだから。」


「ウゥッ…はい…わかりました………。」



「ありがとう、そういえば君達の名前を僕は聴いてなかったね。教えてくれる?」



「僕の名前はミツルだよ。」


「私はお兄様の妹のアイラです。」


「ミツルとアイラか、いい名前だね。」


「君もね。」


ミツルはそう言って微笑んだ。


鬼一の身体が先よりも眩しく光りだしその粒はさらに空に向かう。


鬼一は、自身の右胸に最後に残されたありったけの力を集め…、彼らに伝えた


「さて、お別れの時間だ!ミツル!アイラ!ありがとう!どうか君達に最高の未来が訪れる事を僕は祈ってるよ!さよな…ら……。」


コト……


「約束は必ず守るよ鬼一…。」


「どうか、鬼一さんが安らかに眠れますように…。」


2人はしばらく優しく光る片手に収まる小石ぐらいの大きさの魔石を見つめた。


「おーい!アイラちゃーん!お兄さーん!先生達が目を覚ましたから動かすの手伝ってー!」


遠くから元気なラチノちゃんの声が聞こえて来た、どうやら先生達が目を覚ましたみたい。


「お兄様、いきましょう。」


「うん、そうだね。そうしよう。」


ミツルとアイラは急ぎ足でラチノ達がいる場所に向かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それから、ミツルはアイラの先生達の傷を回復魔法で直し街へ戻る準備を行なっている。


「いやー助かったよ、ライドウオーカーのお兄さん。俺の名前はウィルムって言うんだ。とりあえず、街までよろしくお願いするよ。」


「イヒヒ……私の名前はメイクライです。よろしくお願いしますね…今の私達では、コボルトどころかプルトゥルでさえ倒せる気がしませんからね…全く情けなヒ…ヒヒ…。」


「…アイラの学校の先生には変わった人がいるんだね。」

「メイクライ先生みたいな人が沢山いたら困るの…。」

「私は嫌いじゃないけどねー面白いしー。」

「あは、あはは…。」

アイラは苦笑いをして問いを流した。


それから、お互いに何があったのか話しながら歩いていたが街の正面門は固く閉ざされており仕方なく学園にある裏門へ向かって歩き無事に街の中へ入っていった。




**********************


【魔王城】



魔国の最奥地にあると言われている魔王城のある部屋で黒服ローブを着た7人が集まりそれぞれの席についていた


「皆の衆突然の呼び出しによく集まってくれた。我は良き仲間たちを持って大変満足だ。」


頃合いを見て、男が話し出した。


その言葉を聞き他の6人が言葉を発する


「ありがたきお言葉!このムブロス!これからも誠心誠意!使わせていただきます!」


「この俺、ダグロンこの命全てをあなた様のために…。」


「全ては魔王様のために、私…イムの命はあります。」


「この、エイドム血も知識も全てあなた様のためにあります。」

「……。」


「オオオオン……。」


「わ、私レクの全ても貴方のために。」


6人全員が席から立ち最大の敬意を持ってその場で跪いた。


「ありがとう、皆の者顔を上げ席につきたまえ話を始めよう。」


「「「「「「ハ!仰せのままに!」」」」」」

魔王はその言葉に頷き



「イールよ現在の報告を頼む」


秘書的立場にある魔族に後を任せた。


「今回の魔団会議の内容はここから少し離れた大陸ゴルドン帝国で起きた大規模な勇者召喚についてです。」


これを聞いた1人の魔族が驚き声を上げる


「なんだと!?勇者召喚はミイーシャ王国で行うはずだったのでは?」

イールはその質問に淡々と答えていく

「はい、本来の情報だとその通りでした。ですがどうやら秘密裏にミイーシャ王国の勇者召喚の儀式情報をゴルドン帝国が知ったのでしょう、もしくは最初から知っていたのかも知れませんが…、それは今はどうでもいことです。」


「ああ、そうだな今はそんな事より厄介なことがある。」



「はい、我々は魔王様の最大の敵となる勇者召喚を許してしまった。ここからどうするか…。それが今の課題です。」



「そうですな、して…魔王様のお考えはどのようなもので?」


そうエイドムは魔王に問いかけた。


「ふむ、そうだな我はここ暫く体を動かしてはいなかったからな。久々の獲物というわけだ。して、我は奴らを我の手で倒そうと思っておるが…。今の我はまだ力の半分もだせぬ…。そこで、我の身体が本調子まで戻るまでの間頼れるお主達に勇者の件は任せようと考えておる。我が力を戻すまでに片付ければなおよし、全て葬れなくても数を減らせればそれも良し。どうだ?やってくれるか?皆の者よ?。」



彼らの返事はとうに決まっている


「「「「「「全ては魔王様の為に!」」」」」」



こうして、ミツルの知らないところでミツルの嫌いな奴らの未来が決まった。


××××××××××××××××××××××××××××

後書き

どうも!みきトラです!

今回も自分の立てた予定よりかなり遅くの投稿となりました!

楽しみに待っていてくださっている読者の皆様に謝罪を!

申し訳ありませんでした。

そして、これからも

【別世界の空の下で!】
をよろしくお願いいたします!

完結まで頑張って書いていきますので。
では!次回もよろしくお願います!

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