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私を見たな⁉これで君も冒険家だ‼
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俺が燃える種に植物成長剤を垂らすと、燃え盛る巨大樹が誕生した。
ここまではいい。問題なのは、この巨大樹を中心とした燃える川が発生したことだ。
この川には同じように燃える水草や魚などの未知なる生態系が生まれている。これはどういうことか。
マッドサイエンティストによる回答は、この大陸特有の現象らしい。
地形や環境に変化があると、それに合った動植物がスポーンするのだとか。
例えばこのショッピングモールを中心とした小さな都市。この都市に放鳥した覚えもないのにいつのまにか鳩や雀、カラスなどが出現していた。
これが地球(クリエイティブモード)の効果だとマッドサイエンティストは興味深そうに俺に話してくれたので、俺はその説の検証のため、もう一つ特異な環境を人工的に作成する実験を行うことにした。
実験内容は簡単、昨日の燃える巨大樹のように、シームルグが生み出した変な種子、今回はどう見ても金属にしか見えない種子に植物成長剤を投与する。
この結果、何らかの動物が出現した場合マッドサイエンティストの説は正しいことになる。
俺は冷たい金属でできた魔法の種に、植物成長剤を一滴落とす。
バキバキバキバキッッッッ!
すると種は一瞬で成長し、しかし巨大樹のように一本の木ではなく、白い金属で構成された森が誕生した。
あっという間に俺たちは樹海に飲み込まれ、辺り一面森の中。遭難してしまった。護衛のホムンクルス達がパニックになりながらも周囲を警戒する。
これは予想外だ。てっきり金属で出来た巨大樹に成長とすると考えたのだが、まさか横に成長するとは。
俺は金属の木を観察する。
木の枝葉は鋼のような光沢を放ち、風になびく度にきらめく。
さらに木だけではなく森の中には色とりどりの金属の花や草が咲き乱れ、煌めく宝石のような色彩が周囲を彩る。カラフルだ。まさにファンタジー。夢のような光景である。
そして仮説通りに金属の森には生命の息吹が溢れていた。
鮮やかな羽根を持つ金属の鳥たちが飛び交い、虹色に光る金属の蝶が舞い踊る。
そして、大型の金属の虫が、俺たちに向かって飛んできた。
「キシャァォァァァァァァ!」
か、カマキリだ!全身紫の宝石のような見た目のカマキリが猛スピードで飛んでくる!
その鎌は一流の職人が拵えたかのように美しく、そしてカマキリが研いでいるのか非常に切れ味が良さそうだ。
あの鎌で包丁を作ろう‼
襲いかかるカマキリに対して護衛のホムンクルスが前に出る。
「山田様!ここはお下がりください‼」
「魔王装備は今はありません!ここは私たちに…王⁈」
「虫風情が、この俺に逆らうんじゃねぇぇぇぇぇぇ!」
こんな虫、梅花剣法を使うまでもない。
俺の剣の前に、カマキリは鎌を十字に構えて防ごうとするが、俺の剣が鎌ごと真っ二つに切り捨てる。
ダンジョンで鍛えた俺の前には無力なんだよ。
「ぎゃははははは、見ろよあれ!宝石鮫が空飛んでこっち来るぞ!」
「笑っている場合ではありません、山田様!」
「転移しましょう!」
「ダメだダメだ!転移じゃ自分と身の回りの物しか移動できない。それじゃこのカマキリを置いていくことになる!ほら、全員で持ち上げるんだ!頑張って運ぶぞ!」
「そんな無茶な!」
「あぁ、体が勝手に!」
その後、途絶えることのない金属獣や虫の攻撃を退けながら森を脱出した。どうやら金属の獣達は森から出ることはないらしい。これでひとまず安全というわけだ。
これを聞いた多くのホムンクルスが結晶樹の森へと押し寄せた。たった1日で結晶樹の森は血祭りに上げられ、ホムンクルスは山ほどの成果を持って帰還した。新たな狩猟場に大興奮。
人工衛星からの観測で白い森が映し出さ、結晶樹の森は太陽の光が反射して煌めいていた。綺麗。
今日のログインボーナスは機械確定コイン。
ガタンッ
UC『SOS』
SOSは、1999年1月31日まで用いられていたモールス符号を使用した、遭難信号。
現代では遭難に限らず一般人などが災害時など、助けを求める際に使われる。東日本大震災の際に避難民により使用された。
Sは・・・
Oはーーー
つまりSOSは・・・ーーー・・・である。
出現したのは、テレビ電話だった。
スマホが普及した今、それは滅多にお目にかかれない家電製品。
少し古い印象を与える、白色のテレビ電話だ。
ぷるるるるるるるる。
電話が鳴りだした。
うーん、出たくないなぁ。何というか、厄介ごとにしかならないだろこれ。
だがSOSだ。つまり助けを求めているということ。電話を無視するのも後味が悪いし、助けられるなら助けないと。
俺は受話器を取り、電話に出た。
するとモニターに映像が映し出された。
そこには汚れた軍服を着た、痩せた中年の男が映し出された。
見窄らしいがモニター越しに威厳と覇気を感じる。
汚れた軍服を観察するとその胸には多くの勲章が縫い付けられ、彼の階級がある程度高いことを察せられた。
「本当に繋がるとは…」
受話器越しにその男の驚きの声、そして他にも人間がいるのか動揺する人々の雑音が入る。
「お前らは誰だ?俺は、ヤマ、あー、龍王国の山田だ。SOS信号を受け取って今連絡をしている。悪いが何の情報も無いのにお前達を助けることはできない。助けが欲しいなら、今何が起きているのか情報を寄越せ。」
くそっ、山田ドラゴンガチャ王国って名乗るのは恥ずかしいな。対外的に龍王国と名乗ることにしよう。あー、何で俺は山田ドラゴンガチャ王国なんて国名にしてしまったんだ俺は。
「私は種族連合第363基地司令官のベルタ中将だ。早速で悪いが、我々は食糧の支援を要請する。モニターに食糧を投げ込むだけでいい。どういう理屈なのかわからんがそうすることでこちらに食糧を遅れるはずだ。このままでは餓死してしまう。」
「何があったんだ?災害か?」
「簡単に言えば、我々は人類の敵との最終決戦に敗れた。その結果として、我々は地下で暮らしているというわけだ」
世界の敵。やっぱり厄ネタじゃないか。
うわー、関わりたくないなぁ。面倒くさいなぁ。受話器切っちゃおうかな。
「戦わないのか?武器の援助ならしてやるぞ。」
兵器の実戦データも欲しいしな。
「もう手遅れだ。種族連合は完膚なきまでに壊滅し、生き残りは我々だけだ。他の基地とは連絡が取れないし、外は大気汚染がひどい。防護スーツの数も限られているし、戦うのは困難だ」
種族連合軍、そして363基地。推測だがベルタ中将が所属していた軍隊はかなり大規模だったのではないか?そんな彼らをここまで追い詰めた世界の敵とは一体。
この世界の敵が俺たちの星に何か悪い影響を与えるのかもしれない。
聞かなければ。
「世界の敵っていうのは一体何なんだ?」
「薬中だ。」
「は?」
「薬物中毒者だ」
「冗談か?」
「冗談であればよかったのだがな」
ベルタ中将は自嘲するかのように笑う。
「この世界にエルフという種族がいた。草木や花を愛する、高潔な種族だ。さてここで問題だ。エルフは一体何の植物を愛していた?」
「まさか」
「そう、薬物だ。あいつらは薬物を愛していた。品種改良されたそれは依存性も最悪だ。薬物耐性のあるエルフが使う分にはいいが、人間が使えば狂ってしまうような、最低最悪のな。」
「エルフの育てる薬物が撒き散らす花粉、これを吸うだけで人間は死んでしまう。多くの国家が滅亡してしまった。」
「このままでは冗談抜きで世界が滅ぶ。種族連合はエルフと薬物の根絶やしのために宣戦布告した。だが戦力差は圧倒的だった。」
「薬物は燃やせば万能の燃料となる。さらに上手く加工すれば万病に効く薬となり、一時的にだが身体能力を伸ばすドーピング剤となる。」
「我々は敗北し多種族連合は崩壊、その後エルフは麻薬の種を全世界にばら撒き、惑星規模で麻薬に汚染され、世界は滅びましたとさ」
まじか。マジで薬中のせいで世界は滅んだのか。世界は薬物天国、薬中エルフにとっては最高の楽園というわけか。
ん?でも待てよ?
「ちょっと待て。今の話なら、地上はエルフが支配しているはずだ。世界は滅びてはいないだろう」
「ここからがこの話の面白いところだ」
何も面白くねぇよ。
「エルフの中の薬物耐性にも限界はあった。大気中の薬物による汚染がエルフの許容範囲を超え、エルフ達まで薬物で狂っていった。その結果として薬物耐性の高いエルフだけが生き残り、エルフの9割が死亡、文明は崩壊した。」
「自滅したんだよ、エルフは」
え、えぇーー、マジで?エルフ馬鹿すぎるだろ!
な、何というか非常に間抜けだ。
薬物に狂ったエルフが薬物で殆ど滅びた。情けないというか、愚かというか…
もう感想がないな。何とも言えない。
エルフに巻き込まれたこいつが不憫だ。
俺はホムンクルスに命じ、ベーコンキャベツをモニターに投げ込む。
謎の理屈で食糧は向こうの世界に届いたようだ。
「肉⁈これは肉か⁈汚染されていない肉を見るのは久しぶりだ!」
「それはキャベツだ」
「は?」
「ベーコンキャベツ。野菜だ」
「いやでも、ベーコンって豚肉を加工した食材だろう?それが植物として育つ…?あんたの世界も大概だな」
「否定はしない」
ベーコンキャベツの報酬として、花や種子をもらった。ベルタ中将は、この世界が誇るべきものは薬物に関する技術だけだといい、薬草に関する多くの学術書をくれた。これを活かして、治療ポーションや強化ポーションの開発を開始する予定だ。
無料ガチャ!
ガタンッ
C『ユニットカード『第二の使徒 情景のカセドラル』ガチャバトルカードダス第5弾『非公式交流戦編』収録』
ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ひ、久しぶりのガチャバトルカードダス!一体何の恨みがあるんだこのカード!
基本的にガチャから出るものは微妙なものが多いが、マッドサイエンティストやホムンクルスが俺の想像の埒外の思考で有効活用してくれる。
だがこのガチャバトルカードダスはダメだ。何の役にも立たない正真正銘の役立たず!何の縁があってガチャバトルが何枚も出るんだ!
このゴミめ!
…だがそれでも一応調べてみよう。
カードに描かれた絵には、金髪の少女が目を輝かせて立っていた。ファンタジーの冒険家のような装いを身にまとい、自信に溢れ、彼女の目には未知の世界への好奇心と探求心が宿っている。
彼女の金髪は風になびき、その勇ましい表情は一枚の絵だけであるにも関わらず、俺に冒険の興奮を伝えてくる。冒険への情熱が俺を駆り立てる。
この一枚の絵は、俺の心を刺激し、見る者を冒険へと誘っているかのようだ。今すぐにでもダンジョンに行きたくなってきたぞ。
さて次は能力だ。
…?
どうやらこのカードにはフレーバーテキスト、まぁ簡単に言えば世界観やキャラの説明の文章が書かれているようだ。
効果
このユニットがバトルゾーンに存在する場合、自分のユニットは効果を1ターンに2回発動することが出来る。
その使徒を我らは認識した。認識してしまった。我らは変わった。変わってしまった。
彼女こそが、冒険家の守り人。未知を恐れず、夢を諦めず、憧れは止まらず、好奇心は抑えられず。見るものが彼女に魅了され、夢をみる。
彼女を知ってしまったからには、もう戻れない。
俺たちは、止まらない。止まりたくても、止まらない。
…うーん?フレーバーテキストをよく見てもわからないな。
まぁフレーバーテキストというのはこんなものだろう。フレーバーテキストを理解するためには、他のカードに書かれているフレーバーテキストや、ある程度の世界観に関する知識が不可欠な場合も多い。
そして俺は、カードが出現し落下した床の辺りに、もう一枚紙切れが落ちていることに気づいた。何か書かれているようだ。
なになに…
【このカードは制限カードです。使うことはできません】
ご、ごみだ!ただでさえカード系はゴミなのに、これは本当に使えないじゃないか!
何のためにあるんだ!このカードは⁈
マッドサイエンティストの助手のメモより一部抜粋
情景のカセドラル。
能力はカセドラルを認識した者に対して、未知なるものへの好奇心を与えることだと推測される。
媒体、場所、時間などの条件は記載がない。
山田を含め、数多くのホムンクルス達は、カセドラルを知ってしまった。
このフレーバーテキストが本当のことだとすれば、これは非常にまずいことなのでは?
メモを見たマッドサイエンティスト
つまりこのカードを応用して、知的好奇心を刺激し高めることができるかもしれないということだな⁈
早速研究して、上手いこと扱おう!さっき調合した、集中力を高めるドーピング用の薬を持ってきたまえ!
あぁ、あの世界の薬物に関する研究は最高レベルだ!もっと学術書が欲しいな!
ここまではいい。問題なのは、この巨大樹を中心とした燃える川が発生したことだ。
この川には同じように燃える水草や魚などの未知なる生態系が生まれている。これはどういうことか。
マッドサイエンティストによる回答は、この大陸特有の現象らしい。
地形や環境に変化があると、それに合った動植物がスポーンするのだとか。
例えばこのショッピングモールを中心とした小さな都市。この都市に放鳥した覚えもないのにいつのまにか鳩や雀、カラスなどが出現していた。
これが地球(クリエイティブモード)の効果だとマッドサイエンティストは興味深そうに俺に話してくれたので、俺はその説の検証のため、もう一つ特異な環境を人工的に作成する実験を行うことにした。
実験内容は簡単、昨日の燃える巨大樹のように、シームルグが生み出した変な種子、今回はどう見ても金属にしか見えない種子に植物成長剤を投与する。
この結果、何らかの動物が出現した場合マッドサイエンティストの説は正しいことになる。
俺は冷たい金属でできた魔法の種に、植物成長剤を一滴落とす。
バキバキバキバキッッッッ!
すると種は一瞬で成長し、しかし巨大樹のように一本の木ではなく、白い金属で構成された森が誕生した。
あっという間に俺たちは樹海に飲み込まれ、辺り一面森の中。遭難してしまった。護衛のホムンクルス達がパニックになりながらも周囲を警戒する。
これは予想外だ。てっきり金属で出来た巨大樹に成長とすると考えたのだが、まさか横に成長するとは。
俺は金属の木を観察する。
木の枝葉は鋼のような光沢を放ち、風になびく度にきらめく。
さらに木だけではなく森の中には色とりどりの金属の花や草が咲き乱れ、煌めく宝石のような色彩が周囲を彩る。カラフルだ。まさにファンタジー。夢のような光景である。
そして仮説通りに金属の森には生命の息吹が溢れていた。
鮮やかな羽根を持つ金属の鳥たちが飛び交い、虹色に光る金属の蝶が舞い踊る。
そして、大型の金属の虫が、俺たちに向かって飛んできた。
「キシャァォァァァァァァ!」
か、カマキリだ!全身紫の宝石のような見た目のカマキリが猛スピードで飛んでくる!
その鎌は一流の職人が拵えたかのように美しく、そしてカマキリが研いでいるのか非常に切れ味が良さそうだ。
あの鎌で包丁を作ろう‼
襲いかかるカマキリに対して護衛のホムンクルスが前に出る。
「山田様!ここはお下がりください‼」
「魔王装備は今はありません!ここは私たちに…王⁈」
「虫風情が、この俺に逆らうんじゃねぇぇぇぇぇぇ!」
こんな虫、梅花剣法を使うまでもない。
俺の剣の前に、カマキリは鎌を十字に構えて防ごうとするが、俺の剣が鎌ごと真っ二つに切り捨てる。
ダンジョンで鍛えた俺の前には無力なんだよ。
「ぎゃははははは、見ろよあれ!宝石鮫が空飛んでこっち来るぞ!」
「笑っている場合ではありません、山田様!」
「転移しましょう!」
「ダメだダメだ!転移じゃ自分と身の回りの物しか移動できない。それじゃこのカマキリを置いていくことになる!ほら、全員で持ち上げるんだ!頑張って運ぶぞ!」
「そんな無茶な!」
「あぁ、体が勝手に!」
その後、途絶えることのない金属獣や虫の攻撃を退けながら森を脱出した。どうやら金属の獣達は森から出ることはないらしい。これでひとまず安全というわけだ。
これを聞いた多くのホムンクルスが結晶樹の森へと押し寄せた。たった1日で結晶樹の森は血祭りに上げられ、ホムンクルスは山ほどの成果を持って帰還した。新たな狩猟場に大興奮。
人工衛星からの観測で白い森が映し出さ、結晶樹の森は太陽の光が反射して煌めいていた。綺麗。
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ガタンッ
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SOSは、1999年1月31日まで用いられていたモールス符号を使用した、遭難信号。
現代では遭難に限らず一般人などが災害時など、助けを求める際に使われる。東日本大震災の際に避難民により使用された。
Sは・・・
Oはーーー
つまりSOSは・・・ーーー・・・である。
出現したのは、テレビ電話だった。
スマホが普及した今、それは滅多にお目にかかれない家電製品。
少し古い印象を与える、白色のテレビ電話だ。
ぷるるるるるるるる。
電話が鳴りだした。
うーん、出たくないなぁ。何というか、厄介ごとにしかならないだろこれ。
だがSOSだ。つまり助けを求めているということ。電話を無視するのも後味が悪いし、助けられるなら助けないと。
俺は受話器を取り、電話に出た。
するとモニターに映像が映し出された。
そこには汚れた軍服を着た、痩せた中年の男が映し出された。
見窄らしいがモニター越しに威厳と覇気を感じる。
汚れた軍服を観察するとその胸には多くの勲章が縫い付けられ、彼の階級がある程度高いことを察せられた。
「本当に繋がるとは…」
受話器越しにその男の驚きの声、そして他にも人間がいるのか動揺する人々の雑音が入る。
「お前らは誰だ?俺は、ヤマ、あー、龍王国の山田だ。SOS信号を受け取って今連絡をしている。悪いが何の情報も無いのにお前達を助けることはできない。助けが欲しいなら、今何が起きているのか情報を寄越せ。」
くそっ、山田ドラゴンガチャ王国って名乗るのは恥ずかしいな。対外的に龍王国と名乗ることにしよう。あー、何で俺は山田ドラゴンガチャ王国なんて国名にしてしまったんだ俺は。
「私は種族連合第363基地司令官のベルタ中将だ。早速で悪いが、我々は食糧の支援を要請する。モニターに食糧を投げ込むだけでいい。どういう理屈なのかわからんがそうすることでこちらに食糧を遅れるはずだ。このままでは餓死してしまう。」
「何があったんだ?災害か?」
「簡単に言えば、我々は人類の敵との最終決戦に敗れた。その結果として、我々は地下で暮らしているというわけだ」
世界の敵。やっぱり厄ネタじゃないか。
うわー、関わりたくないなぁ。面倒くさいなぁ。受話器切っちゃおうかな。
「戦わないのか?武器の援助ならしてやるぞ。」
兵器の実戦データも欲しいしな。
「もう手遅れだ。種族連合は完膚なきまでに壊滅し、生き残りは我々だけだ。他の基地とは連絡が取れないし、外は大気汚染がひどい。防護スーツの数も限られているし、戦うのは困難だ」
種族連合軍、そして363基地。推測だがベルタ中将が所属していた軍隊はかなり大規模だったのではないか?そんな彼らをここまで追い詰めた世界の敵とは一体。
この世界の敵が俺たちの星に何か悪い影響を与えるのかもしれない。
聞かなければ。
「世界の敵っていうのは一体何なんだ?」
「薬中だ。」
「は?」
「薬物中毒者だ」
「冗談か?」
「冗談であればよかったのだがな」
ベルタ中将は自嘲するかのように笑う。
「この世界にエルフという種族がいた。草木や花を愛する、高潔な種族だ。さてここで問題だ。エルフは一体何の植物を愛していた?」
「まさか」
「そう、薬物だ。あいつらは薬物を愛していた。品種改良されたそれは依存性も最悪だ。薬物耐性のあるエルフが使う分にはいいが、人間が使えば狂ってしまうような、最低最悪のな。」
「エルフの育てる薬物が撒き散らす花粉、これを吸うだけで人間は死んでしまう。多くの国家が滅亡してしまった。」
「このままでは冗談抜きで世界が滅ぶ。種族連合はエルフと薬物の根絶やしのために宣戦布告した。だが戦力差は圧倒的だった。」
「薬物は燃やせば万能の燃料となる。さらに上手く加工すれば万病に効く薬となり、一時的にだが身体能力を伸ばすドーピング剤となる。」
「我々は敗北し多種族連合は崩壊、その後エルフは麻薬の種を全世界にばら撒き、惑星規模で麻薬に汚染され、世界は滅びましたとさ」
まじか。マジで薬中のせいで世界は滅んだのか。世界は薬物天国、薬中エルフにとっては最高の楽園というわけか。
ん?でも待てよ?
「ちょっと待て。今の話なら、地上はエルフが支配しているはずだ。世界は滅びてはいないだろう」
「ここからがこの話の面白いところだ」
何も面白くねぇよ。
「エルフの中の薬物耐性にも限界はあった。大気中の薬物による汚染がエルフの許容範囲を超え、エルフ達まで薬物で狂っていった。その結果として薬物耐性の高いエルフだけが生き残り、エルフの9割が死亡、文明は崩壊した。」
「自滅したんだよ、エルフは」
え、えぇーー、マジで?エルフ馬鹿すぎるだろ!
な、何というか非常に間抜けだ。
薬物に狂ったエルフが薬物で殆ど滅びた。情けないというか、愚かというか…
もう感想がないな。何とも言えない。
エルフに巻き込まれたこいつが不憫だ。
俺はホムンクルスに命じ、ベーコンキャベツをモニターに投げ込む。
謎の理屈で食糧は向こうの世界に届いたようだ。
「肉⁈これは肉か⁈汚染されていない肉を見るのは久しぶりだ!」
「それはキャベツだ」
「は?」
「ベーコンキャベツ。野菜だ」
「いやでも、ベーコンって豚肉を加工した食材だろう?それが植物として育つ…?あんたの世界も大概だな」
「否定はしない」
ベーコンキャベツの報酬として、花や種子をもらった。ベルタ中将は、この世界が誇るべきものは薬物に関する技術だけだといい、薬草に関する多くの学術書をくれた。これを活かして、治療ポーションや強化ポーションの開発を開始する予定だ。
無料ガチャ!
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ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
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基本的にガチャから出るものは微妙なものが多いが、マッドサイエンティストやホムンクルスが俺の想像の埒外の思考で有効活用してくれる。
だがこのガチャバトルカードダスはダメだ。何の役にも立たない正真正銘の役立たず!何の縁があってガチャバトルが何枚も出るんだ!
このゴミめ!
…だがそれでも一応調べてみよう。
カードに描かれた絵には、金髪の少女が目を輝かせて立っていた。ファンタジーの冒険家のような装いを身にまとい、自信に溢れ、彼女の目には未知の世界への好奇心と探求心が宿っている。
彼女の金髪は風になびき、その勇ましい表情は一枚の絵だけであるにも関わらず、俺に冒険の興奮を伝えてくる。冒険への情熱が俺を駆り立てる。
この一枚の絵は、俺の心を刺激し、見る者を冒険へと誘っているかのようだ。今すぐにでもダンジョンに行きたくなってきたぞ。
さて次は能力だ。
…?
どうやらこのカードにはフレーバーテキスト、まぁ簡単に言えば世界観やキャラの説明の文章が書かれているようだ。
効果
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その使徒を我らは認識した。認識してしまった。我らは変わった。変わってしまった。
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彼女を知ってしまったからには、もう戻れない。
俺たちは、止まらない。止まりたくても、止まらない。
…うーん?フレーバーテキストをよく見てもわからないな。
まぁフレーバーテキストというのはこんなものだろう。フレーバーテキストを理解するためには、他のカードに書かれているフレーバーテキストや、ある程度の世界観に関する知識が不可欠な場合も多い。
そして俺は、カードが出現し落下した床の辺りに、もう一枚紙切れが落ちていることに気づいた。何か書かれているようだ。
なになに…
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何のためにあるんだ!このカードは⁈
マッドサイエンティストの助手のメモより一部抜粋
情景のカセドラル。
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媒体、場所、時間などの条件は記載がない。
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このフレーバーテキストが本当のことだとすれば、これは非常にまずいことなのでは?
メモを見たマッドサイエンティスト
つまりこのカードを応用して、知的好奇心を刺激し高めることができるかもしれないということだな⁈
早速研究して、上手いこと扱おう!さっき調合した、集中力を高めるドーピング用の薬を持ってきたまえ!
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