カードゲームを持たされて異世界に送られた

お子様

文字の大きさ
44 / 186

044 簡単な世界征服

しおりを挟む
衝撃な話を聞いて、全員が唖然としている。
なのに、更に衝撃を追加してきた。悪魔か。悪魔だけど。

「私の能力は寝ている間も漏れていまして。時間の経過で薄まっていはいたと思いますが。
 この国は建国以来攻められていないでしょう? それは他国の人間の信頼を得ていたからです。
 勿論、私の能力で、ね」

マジか。
じゃあ俺が登録した事によって、その能力も封印されたって事?
良かったのかなぁ?

「ん? ちょっと聞きたいんだけど」
「どうしました、リョウスケ様?」
「確か能力は『教会や信者から信頼を得る事が出来る』だったよな?」
「その通りでございます」
「なら国民や他国の人間の信頼を得る事は出来ないんじゃないか?」
「この世界の人間は、大多数がフラウ神を信じております。
 そして各国の国教がフラウ神教で、それを支持しているのが国王なのです。
 という事で、国王に信頼を与える事が出来るのです」

えっ? なに、その抜け道みたいなの。
拡大解釈的なのでOKなの?
ズルくない?

「じゃあ、もし『俺にその能力を使って』って言ったら?」
「そこに居る国王が、国を譲ろうとしてくるでしょう。いえ、全ての国が譲ろうとするでしょう。
 苦労せずに世界征服が出来ますね」

笑いながら言う事じゃないだろ。
それにその場合、征服した後にベリアルが帰ったらすぐ反乱が起きるじゃないか!


そんなアホな話をしていると、王様が話しかけてきた。

「ベリアル殿、だったな。……この国はどうなるのだろうか?」
「脅かしてしまいましたかね。
 心配いりません。私の能力の恩恵を受けたのは初代の国王のみ。
 その後は、その信頼を親から子に伝えられただけでしょう。
 なので民から信頼されているのであれば、貴方達の統治が良かったからです。
 各国から攻められないのも、伝えられたという事もあるでしょうが、外交努力の賜物でしょう」
「そ、そうか……」
「しかし、政治の世界で汚職や犯罪が増えているのも事実。
 一度風紀を締め直した方が良いですよ?」
「……肝に銘じる」

上げて落とすなんて、さすが悪魔だ。
確かに、さっき逮捕者も出たもんな。

「皆の者、この事は他言無用だ。極秘扱いにする。判ったな」

王様が全員に口止めした。
こんな事、知られたくないよな。
下手すれば内乱が起きる。

ん? どうしたマリ。シャーとか言い出して。
扉を見てるな。何かあるのか?

バァーン!

「お父様! 何か開封するんですって! 私も見たい!!」
「サイファ!! 騒がしいぞ!!」
「すみません。でも見たいんだもの!」
「近衛兵は何をしていた!」

サイファって名前の女の子が乱入してきた。
マリはこれを警戒してたみたいだ。
王様をお父様って言うくらいだから、姫様だな。
見た目の年齢からいって、王太子の妹になるかな?

宰相は廊下に出て、警備してた兵士を捕まえて説教している。
誰も通すなと厳命しただろう!と怒っている。
でも、さすがに姫様は止められないだろ?
ラノベくらいの知識しか無いけど、触っただけでも『無礼者!』って言われそうだもん。

そのサイファ姫は、バラされた箱を興味深そうに見ている。
横で王様が怒ってるぞ。

しかし、サイファ姫。王様や王太子にあまり似てない。
キレイと言うよりもカワイイ系だね。
着ている服はヒラヒラの多い、ゴシック(?)な服で、そういうアイドルみたいだ。
ただ活発な人らしく、ちらっと見えてしまったんだけど、スカートの下に王太子みたいなパンツを履いてる。
靴もよく見ればヒールじゃない。ヒールっぽく見えるように作ってある。
あっ、王様から頭にゲンコツ食らった。

「いい加減にせんか!!」
「う~~、ごめんなさい。でも、でも……」
「お前のせいで近衛兵を処罰せねばならなくなるのだぞ! 自覚せよ!」
「私が悪いんだから、許してあげれば良いじゃない。王女を止められる訳無いでしょ?」
「自覚あるのか! なおたちが悪いわ!!」

あっ、もう一発食らった。自業自得だけど。

痛がるサイファ姫と、目が合ってしまった。
憐れむ目で見てたのがバレたのだろうか?

「え~と、貴方、客観的に見てどう思う? 私悪く無いよね?
 興味深い事をコソコソと私に隠してやってたお父様達がいけないよね?」
「……いや、アウトでしょ?」
「ここは救いの手を差し伸べる所だよ?! 王女が困ってるよ?!」
「いや、無理です。誰が見てもアウトですって」
「サイファ!!」

見事に三発目を食らったね。ギャフンって聞こえそうだったよ。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

異世界に迷い込んだ盾職おっさんは『使えない』といわれ町ぐるみで追放されましたが、現在女の子の保護者になってます。

古嶺こいし
ファンタジー
異世界に神隠しに遭い、そのまま10年以上過ごした主人公、北城辰也はある日突然パーティーメンバーから『盾しか能がないおっさんは使えない』という理由で突然解雇されてしまう。勝手に冒険者資格も剥奪され、しかも家まで壊されて居場所を完全に失ってしまった。 頼りもない孤独な主人公はこれからどうしようと海辺で黄昏ていると、海に女の子が浮かんでいるのを発見する。 「うおおおおお!!??」 慌てて救助したことによって、北城辰也の物語が幕を開けたのだった。 基本出来上がり投稿となります!

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

氷弾の魔術師

カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語―― 平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。 しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を―― ※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~

日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ― 異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。 強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。 ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる! ―作品について― 完結しました。 全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。

処理中です...