カードゲームを持たされて異世界に送られた

お子様

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092 魔法を勉強しよう!

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夕方前に宿場町に到着したが、あの学者は来なかった。

王太子とも話したけど、どうやら楽しみはギリギリまで取っておくタイプらしい。
なので、カードが消えている事に気づくのは、王都の研究室に戻ってからになりそうだ。
これならかなり時間がかかるね。

問題は俺達の今後の行動が知られている事。
今もどの街へ向かっているのか、城に勤めている人なら知っている。
何故なら、王太子が知らせるから。
大事な事なんだろうけど、あの学者には教えないで欲しい。

あっ、そうそう。
カードは無事にインベントリに戻ってた。
一定の距離を離れたからなのか、時間経過なのかは不明。
こううのって検証しておくべきなんだろうけど、面倒。
ラノベの主人公なら嬉々として調べるんだろうけどさ。
戻ってくる、それで良いじゃないか!


翌日。
出発後はまたヒマになった。
目的の街までは後2日くらい。
質問するネタも無くなったし、どうしようか?

「そう言えば、魔法は覚えなくて良かったの?」

姫様、ナイス!
それ、良いじゃない!
移動中のヒマを埋めるには魔法の練習が一番!

「覚えるから、教えてよ!」
「……忘れてたでしょ?」
「うん! 言われて思い出した!」
「……ここまではっきり言われるとは思わなかったわ」

これから習うんだ。素直が一番だよ。

「まぁ、良いわ。
 まず、自身の体内になる魔力を探すの。判るかな?」
「判りません!」
「調べずに言った!」

いやいや、今まで感じた事も調べた事も無かったんだよ?
判る訳無いじゃん。

「えっと、体内を循環しているんだけど……」
「血液みたいなもの?」
「そんな感じね」
「じゃあ判りません!」

体の中を血液が流れているのは知識としては知ってるよ?
でも、それを意識したからといって「おおっ! 血液の流れを感じる……!」とはならないでしょ。

「じゃ、じゃあ、私が魔力を流すから感じてみて」
「わかった」

そう言って姫様は俺の胸に手を当てた。セクハラ?
普通こういう場合は、手を繋いで循環させるものじゃないの?

「変な事を考えてないで、集中して」
「へ~い」

目を閉じて、胸に意識を集中してみる。
う~ん………………わからん。
手が当たっている所が温かくなってきたのは判るけど。
でも、それって姫様の体温かもしれないし。

「手の所が温かくなってる気がする」
「それだけ?」
「それだけ」
「おかしいわね。魔力の反応はあるから、体内に魔力があるはずなんだけど」

俺にも魔力があるのか。
もしかして少なすぎて判らないのかな?
おかしいな、異世界の人間は魔力がバカみたいに多いのが決まりなのだが。
あの神様、手抜きをしたのか?

「じゃあ、違う方法を試しましょう」
「よろしく! 何をするの? もしかして素肌に直接触れる?
 脱ぐのか? ちょっと恥ずかしいな……」
「何、勝手な事を言って照れてるのよ! 違うわよ!」
「違うのか、残念だ」
「バカ言ってないで、ここに座りなさい」

馬車の中央に体育座りさせられた。
そして姫様は俺の背後に立ち、俺の頭を両手で挟んだ。

「今から“第3の目”に直接魔力を流すわ。これなら判るはずよ」
「“第3の目”って何? その名称は何か覚えがあるけど」
「えっ? 知らないの?」
「有名なの?」
「国民のほとんどが知っていると思うけど……ちょっと待って」

姫様は王太子に頼んで図を書いて貰ってる。
自分では書かないのか。絵がヘタなのかな?
何となく覚えがあるのは、貰った知識のせいか?

「はい、これ。これが脳みそ。それは知ってるわよね?」
「うん」
「で、ここにあるのが“第3の目”よ」

なるほど、これか………………おいおい、待て待て。
こんなの、頭の中に無いぞ? 無いはずだ。

王太子が書いた脳みその前部分には、左右の割れ目に目のような丸い物体が書かれていた。
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