カードゲームを持たされて異世界に送られた

お子様

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102 枢機卿

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「初めまして、聖人様。
 私はハウルス聖王国で、枢機卿の立場におります、ダルシヌと申します」

おっと、お偉いさんが来ちゃったよ!
確か法王の下で、宰相くらいの立場の人でしょ?

そして名前! 強そうだ!
火吹いて手足が伸びそう。
最近ではワープも出来るらしいけど。

「え~と、その枢機卿様が何の用でしょう?」
「私の事は名前でお呼びください。呼び捨てでも構いません」
「いえいえ! そういう訳には!
 じゃ、じゃあダルシヌさんと呼ばせてもらいます。良いですか?」
「はい。聖人様の御心のままに」

やりにくいなぁ。
お偉いさんが下手に出られると、どうして良いか分からない。

「今回の訪問の要件ですが……我が国の教皇の一人が聖人様に粗相をしたようでして…………。
 それの謝罪をしろと法王様より命令が下されましたので、お伺いいたしました。
 お忙しい中、会っていただき、ありがとうございます」
「あ、はい」

思い出した。
悪魔達が、勝手に報復に行った件だね?
……こっちが謝らなきゃいけないんじゃないか?

「え~と、なんかすみません……」
「何を謝られるのです? 愚かな事をしたのは我が国の者。
 相応の罰を受けただけでございます。そして謝罪をするのは我が国でございます」
「じゃあ、どちらも謝るという事で相殺しましょう。それでいいですか?」
「…………聖人様がそう言われるのであれば」

良かった。
罪には問われないようだ。
何の罪かって? 過剰防衛だよ。
絶対にやりすぎてるって判るもん!

「それで要件は終わりですか?」
「いえいえ! 要件は後2つございます」
「何でしょう?」
「一つは、正式に聖人様に認定するというものです。
 こちらは法王様がお決めになられたので、反対する者はおりません」
「……何でそうなったんです?」

法王が決めたって事らしいけど、理由があるだろ。
理由も無く、知らない人間を「使徒」「聖人」って言われている人物を、認定するとは思えない。

「実は法王様の夢に神が降臨いたしまして! その中でおっしゃられたそうです!」
「なんて言われたのか聞いても?」
「はい。教えていただいたので問題ありません。
 『他国で聖人と呼ばれている者は本物だ。俺の命令で動いている。邪魔するな』との事です」
「…………そうですか」

どう考えても私欲!
完全に個人的な理由で夢枕に立ってる!
こんなの許されるのか? 許されるんだろうなぁ。

「それを信じて?」
「はい。法王様は信じられたそうです。それほど強烈な夢だったらしいです」

威圧したんだろうなぁ……。

「そこで法王様は、正式に聖人様に認定すると決められました。
 それにより、我が国への入国は自由になりますし、教会も自由に利用していただけます。
 命令一つで人員も自由に出来ます。
 立場的には法王様と並ぶと思ってください」

いやいや! 一国の王と同等っておかしいでしょ!
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