カードゲームを持たされて異世界に送られた

お子様

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104 治療可能?

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「お呼びですか、マイロード」
「うん。何で自信満々で出てくるのかは疑問なんだけどさ。
 話は聞いてたはずだと思うんだけど」
「はい、聞いていました」

普通、バツが悪い感じで出てくるものじゃない?

「じゃあ何で?」
「未だにダメージを与えている事への喜びと、マイロードを認めた事の喜びですね」

うん。理解出来ない。
さすが悪魔と言うべきだろうか?

「え~と。困っているようだから治療してあげて欲しいんだけど」
「あっ、無理ですね」
「何で?!」
「心を、分かりやすく言えば精神を壊しましたので。
 ほとんどの治療が無意味だと思います」
「じゃあ何でさっきは『未だにダメージを与えている事への喜び』って言ったの?!
 それって、治療可能の前提じゃないと出てこない言葉だと思うけど?!」
「さすがマイロード。鋭いですねぇ」

褒められた。
いやいや、それくらい気づくだろ。
っていうか、気づく前提で話した感じもあるぞ?

「いいから、答えろよ」
「簡単ですよ。我々が知らない神を崇めているのでしょう?
 ならばその神にお願いして治療して貰える可能性もあるじゃないですか。
 知らない神ならば、知らない能力を持っていても不思議じゃありません。
 その能力があれば治療可能かと」
「え? 知らない神なの?」
「はい。この世界を作り出した神は知っています。
 でもそちらの国が崇めている神は知りませんね。違う神です。
 代替わりしたとか協力するようになったとか、そのような事は無かったはずなのですが」

…………それが言いたかったのか。
地味~にダメージを与えてるじゃないか。
枢機卿が今にも倒れそうなほど驚いてるぞ。卒倒するんじゃない?

これ以上、こいつに話させてはダメだな。
追加ダメージを狙ってるから。

いや、待て待て。
ほとんどの治療が無理って事は、可能性はあるんじゃないか? 神以外で。

「可能な治療があるんだろ。それはなんだ?」
「2つありますね」
「難しいのか?」
「いえいえ、簡単です。
 1つは殺してあげる事です。苦しみから開放されますよ」
「却下!」
「もう1つはマイロード次第です」
「俺?!」

その言葉を聞いて、枢機卿が縋るような目でこっちを見てきた。

「現在はお持ちでない、総裁クラスの『マルバス&ボティス』のカードを使うならば治療可能です」
「どんな能力になってる?」
「マルバスの能力は『あらゆる病を引き起こす、もしくは治療する』です。
 ボティスの能力は『あらゆるモノを騙す』です」
「マルバスは判ったけど、ボティスでも可能なのか?」
「はい。『あらゆるモノを騙す』ので、異常がある者に『貴方は正常になりました』と言うだけで正常になります」

なんだよ、そのぶっ飛んだ性能のカードは!!
さすが総裁クラス!! ハンパない!!

ふと周りを見ると、皆引いている。
そりゃそうだ。俺もドン引きだわ。
そのカード1枚だけで、世界征服も可能。だって各国の王に対して『従いなさい』というだけでいい。
いや、どんな病気でも治すってだけで皆が従うようになるだろう。


「え~と……。
 と、とにかく。治療は現時点では無理だそうです。
 そのカードもいつ入手出来るか不明ですので……あっ、入手次第治療に行くって事でどうでしょう?」

目一杯の作り笑顔で枢機卿に話しかけてみた。

「い、いえいえ!!
 聖人様のお手を煩わせる訳には行きません!!
 申し訳ありませんでした!!」

めっちゃ引かれた。
この場に居る人達の中で俺の好感度はダダ下がりになった気がする……。
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