カードゲームを持たされて異世界に送られた

お子様

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130 勇者の特徴

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手紙は姫様に書いてもらった。
だって! 途中で気づいたけど、日本語しか書けないんだもん!

いや、最初にチートで知識は貰ったよ?
その中には言語も入ってたんだ。
でもさ、知ってるのと書けるってのは違うじゃん?

例えば英語のテストで「Can you see the bird over there?」を和訳しなさい、という問題が出たとしよう。
これを「あそこの鳥が見えますか?」と訳すのは、比較的簡単だ。
だけど、「あそこの鳥が見えますか?」を英訳しなさい、と言われると途端に難しくなる。

これと同じ。
単語の意味は判るし羅列されているとなんとなく理解出来るけど、通じるように並べるってのが難しい。

会話も同じで、例えば「スパイシー」と言われればなんとなくでも意味は判る。
でもそれを英語で書けと言われると難易度が急上昇。
「spysee」?「spicy」?「spisy」?
正解は「spicy」だけど、書かれていれば読めるんだよね。

あっ、ついでに言えばこの世界の文章って、右から左に向けて読むんだよ。
地球のように左から右じゃないんだ。昔の日本みたいだね。

最後の言い訳は、王様に送る手紙って所。
日本語にも敬語ってあるじゃん?
手紙の書き方ってのもあると思うんだ。
さすがにそんな知識までは貰ってなかったし。
やっぱり、正式な文章を書ける人が書いた方が間違いないよね!

言い訳終了!!


「あっ、そういえば、勇者ってのの詳しい特徴も聞かれたよ?」
「容姿って事? 知ってるんじゃない?」
「そうじゃなくて。勇者ってのはどんな存在なのか、って事」
「そういう事か。え~とそういう物語とか無いの?」
「どういう物語?」
「あっ、そっか。え~と、囚われた姫様を単独で助けに行くような話」
「ん~、知ってる限りでは無いかなぁ」
「どういうのならあるの?」
「伝記とか? 後は戦争で活躍した人の話とか」
「いやいや、冒険譚みたいなのは?」
「あっ、パーティーでドラゴンに挑んだ話とかあったね!」
「そうそう! そういうやつ!」
「でもこの話って『パーティーでドラゴンに挑んだけど負けました』って内容で、準備万端でも勝てない相手は居るという教訓を子供に教える話だよ?」

夢が無ぇ~。
そこは『勝って、ドラゴンが貯めてたお宝を持ち帰り、大金持ちになりました』じゃないのかよ。

「どうせ手紙書くなら、ついでにそれも書いておく?」
「そうだね」
「じゃあ、特徴を羅列してよ。書き留めていくから」
「了解」

え~と勇者の特徴ね。

「1.単独・もしくはパーティーで魔王を倒しに行く
 2.他人の家に無断で入りタンス等を漁る
 3.村にある壺は破壊、植木も勝手に伐採
 4.世界を救う存在だからと偉そうにする
 5.行く先々で異性に惚れられる
 6.鍵を入手すると、どこでも開けて侵入する
 7.逃げちゃだめだ、と繰り返す
 それから…………」
「ちょっとちょっと待って!」
「え? 何?」
「世界を救う存在なのよね?」
「そうだよ?」
「どう聞いても犯罪者なんだけど?!」

そうなんだよね~。
ゲームの勇者とラノベの勇者を並べて言ってたら、確かに怪しい人物にしか思えないな。

「姫様を助けに行くパターンだと、、、
 1.土管に入る
 2.キノコを食べると巨大化する
 3.ボス的な敵を倒すと、その能力を奪う
 4.墓場でくつろぎ、攻撃を受けると鎧が剥げて裸になる
 5.コインやリングを集めるのが好きで、集めると死んでも蘇る
 それから…………」
「待って待って!!」
「いや、言いたい事は判るよ? 俺も言ってて人外だなと思ったよ」
「そうでしょ?! そう考えても魔物の方なんだけど?!」
「だよね~」

色んなのを混ぜて話したから、ややこしいんだよね。
某配管業の人に絞って考えれば…………やっぱりヤバい人だな。
ゲームの主人公はやめよう。
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