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148 劇場前
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勇者には可哀想だけど、約束は締結された。
しかも王様の前で。
「さて。では早速、聖人様には名プロデューサーになっていただこう!」
何言ってんの、王様?!
元々同一人物ですよ?! 役の為に名前をカタカナとか英語とかにしてないですよ?!
「さ、名プロデューサー“リョー”よ。『ISK18』の所に行こうじゃないか!」
あっ、王様。俺を口実にしてアイドルの所に行こうとしてるな?
それは俺にも判ったぞ。
どうやら国の為なら策を練って実行出来るが、自分の事になるとポンコツになるな?
「王様、仕事は?」
「これも仕事だよ」
「え~と、宰相さん。本当ですか?」
「いえ、次の仕事が詰まっています」
「という事らしいので、自分達だけで行ってきます」
「いやいや。私は契約が履行されるか確認をだな……」
「それは王太子にお願いしますので、大丈夫です」
「しかしな……」
「大丈夫です!」
「むむ……」
「大丈夫です!!!」
項垂れた王様を残し、俺達は劇場へ向かった。
え~と、完成してから来てなかったけどさ……こんな外見だったっけ?
言っては悪いかもしれないが、ちょっと大きな一般的な一軒家みたいな造りだったと記憶してるが?
目の前になるのは、貴族の屋敷か?と思うほどデカイ。
ついでに言えば今もまだ工事中で、拡張し続けている印象。
完成まで何百年もかかる教会じゃないよね?
そして、入り口には列が出来ている。
若い男の人が多いが若い女の人もそれなりに居る。
若干だが、おじいちゃんも居るな……。孫が出てるのか、それともハマったのかは謎だ。
列は会場入りの人達だろう。そこに並ぶ必要は無いね。
って事で、列の横を通り入り口に向かう。
「おい! 並べよ!!」
「横入りすんな!!」
罵声が飛んでくるが、同行していた近衛騎士が制止してくれる。
「近衛騎士だろうが関係ねぇ! 並ぶのが決まりだろうが!」
「そうだそうだ! “貴族でも並べ、権力を使う事を禁止する”って王命が出てるだろうが!」
……王様。なんて法律作ってるんだよ!
日本に住んでた俺からすれば当たり前に思える法律だが、この世界は違うでしょ!
しかし、このままでは入れないな。
どうしたものかと考えてると、王太子が一喝した。
「お前たち! 誰に罵声を飛ばしているのか分かっているのか?!
ここに居るのは『ISK18』をプロデュースした『リョー』だぞ!!」
違うから! 言わないで!
しかし、もう遅かった。
その言葉は並んでた人々に浸透し、そして歓声へと昇華した。
「「「「うぉぉぉぉーーー!!」」」」
「「「「リョー様ーーーーー!!」」」」
「「「「リョー! リョー! リョー!!」」」」
声を揃えて呼ぶのは止めて下さい。
この騒ぎは劇場から支配人が来るまで続いた。
しかも王様の前で。
「さて。では早速、聖人様には名プロデューサーになっていただこう!」
何言ってんの、王様?!
元々同一人物ですよ?! 役の為に名前をカタカナとか英語とかにしてないですよ?!
「さ、名プロデューサー“リョー”よ。『ISK18』の所に行こうじゃないか!」
あっ、王様。俺を口実にしてアイドルの所に行こうとしてるな?
それは俺にも判ったぞ。
どうやら国の為なら策を練って実行出来るが、自分の事になるとポンコツになるな?
「王様、仕事は?」
「これも仕事だよ」
「え~と、宰相さん。本当ですか?」
「いえ、次の仕事が詰まっています」
「という事らしいので、自分達だけで行ってきます」
「いやいや。私は契約が履行されるか確認をだな……」
「それは王太子にお願いしますので、大丈夫です」
「しかしな……」
「大丈夫です!」
「むむ……」
「大丈夫です!!!」
項垂れた王様を残し、俺達は劇場へ向かった。
え~と、完成してから来てなかったけどさ……こんな外見だったっけ?
言っては悪いかもしれないが、ちょっと大きな一般的な一軒家みたいな造りだったと記憶してるが?
目の前になるのは、貴族の屋敷か?と思うほどデカイ。
ついでに言えば今もまだ工事中で、拡張し続けている印象。
完成まで何百年もかかる教会じゃないよね?
そして、入り口には列が出来ている。
若い男の人が多いが若い女の人もそれなりに居る。
若干だが、おじいちゃんも居るな……。孫が出てるのか、それともハマったのかは謎だ。
列は会場入りの人達だろう。そこに並ぶ必要は無いね。
って事で、列の横を通り入り口に向かう。
「おい! 並べよ!!」
「横入りすんな!!」
罵声が飛んでくるが、同行していた近衛騎士が制止してくれる。
「近衛騎士だろうが関係ねぇ! 並ぶのが決まりだろうが!」
「そうだそうだ! “貴族でも並べ、権力を使う事を禁止する”って王命が出てるだろうが!」
……王様。なんて法律作ってるんだよ!
日本に住んでた俺からすれば当たり前に思える法律だが、この世界は違うでしょ!
しかし、このままでは入れないな。
どうしたものかと考えてると、王太子が一喝した。
「お前たち! 誰に罵声を飛ばしているのか分かっているのか?!
ここに居るのは『ISK18』をプロデュースした『リョー』だぞ!!」
違うから! 言わないで!
しかし、もう遅かった。
その言葉は並んでた人々に浸透し、そして歓声へと昇華した。
「「「「うぉぉぉぉーーー!!」」」」
「「「「リョー様ーーーーー!!」」」」
「「「「リョー! リョー! リョー!!」」」」
声を揃えて呼ぶのは止めて下さい。
この騒ぎは劇場から支配人が来るまで続いた。
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