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第二部
疑惑編-6
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激白! サレ公爵夫人、パティの死の真相を語った!!!
「夫の愛人がことごとく不幸になっていますが、私は呪詛も殺人もやっていません」
フローラは、さっそくゴシップ誌を入手した。フローラのことが大きな見出しに出ており、トマスが記事にしてくれたものだった。見出しは過激だが、中身はきちんとしている。特にパティは殺された事を強調して書いてくれた。これが一番訴えたい事だった。
「奥さん、こんな記事出てしまっていいんですか?。もう公爵家の名誉挽回は不可能では?」
「いいのよ」
キッチンでアンジェラと一緒に蒸しケーキを作っていた。いつもはシンプルな生地の蒸しケーキだったが、今日は紅茶味だ。紅茶の良い香りがキッチンに広がっていたが、二人とも味見をするのを我慢していた。
今日の蒸しケーキは夫に差し入れする為のものだ。パティに件で夫にはどうしても確認したい事があった。それに蒸しケーキぐらいだったら、いくら病んでいても食べられるだろう。
「ちなみに奥さん、事件の進捗はどれぐらい?」
出来上がった蒸しケーキの熱をとると、食べやすい大きさに切り分け、バスケットに詰めていたが、アンジェラは手を動かしながらも聞いてきた。
好奇心いっぱいの目だ。アンジェラは野次馬感覚でこの事件を楽しんでいるのかも知れない。マムの時もそうだった。元々噂好きのメイド頭だ。この事件もあちこちで言いふらしているかも知れないが、人の口に戸は立てられない。
「まだ何も分かってないのよ」
「そうかい。でも、私はあいつが犯人だと思うね」
「誰?」
「女優のブリジッドだよ。パティが愛人ノートを使って脅していたとしたら、殺す動機は一番じゃないか」
アンジェラの目はゲスい。面白がっているが、確かに筋は通る推理だ。しかし、ブリジッドにピーナッツの風味がするクッキーを食べさせるのは可能だろうか。ラベルを張り替えてクッキーを食べさせるのは可能だが。
「うーん、なんか犯人はパティより目上だったり、かなり信頼していたり、憧れの存在のような気がするのよね」
「だったら公爵さまじゃないか。立場的、心理的にもクッキーを食べさせるのは可能では?」
「あぁ、そこなのよね。迷路に入ってしまった気分」
こうしてアンジェラと推理に興じたが、余計にドツボに入ってしまった。フィリスはマリーの所で仕事を手伝っている。当日、パティの近くに不審人物がいなかったかも聞きたきなったが、今は蒸しケーキだ。
出来上がったものは全部バスケットに梱包し終わり、フローラは汗を拭っていた。
「できたわ」
「完璧です、奥さん。パティの事件もこんな風に解決できればよろしいかと」
アンジェラは再びゲスい目を向けて、フローラに笑かけてきた。
「そうなれば良いわ」
フローラは無表情に頷く。
犯人は、あのゴシップ記事を見たらどんな反応をするだろうか。こちらの思惑通り、挑発だと思い、何かアクションを起こしてくればいいが。
「まあ、奥さん。犯人を逃すな。絶対捕まえな」
アンジェラにバンバンと背中を叩く。少し痛いぐらいだったが、力が入ってきた。これもアンジェラらしくフローラを励ましているのだろう。
確かに今はまだ犯人の尻尾すら見えてこないが。
「ええ。負けないから」
フローラは深く頷く、バスケットを担いだ。重いバスケットだったが、今はこれを持つのも苦ではない。むしろ楽しいぐらいで、フローラの口元は緩んでいた。
「夫の愛人がことごとく不幸になっていますが、私は呪詛も殺人もやっていません」
フローラは、さっそくゴシップ誌を入手した。フローラのことが大きな見出しに出ており、トマスが記事にしてくれたものだった。見出しは過激だが、中身はきちんとしている。特にパティは殺された事を強調して書いてくれた。これが一番訴えたい事だった。
「奥さん、こんな記事出てしまっていいんですか?。もう公爵家の名誉挽回は不可能では?」
「いいのよ」
キッチンでアンジェラと一緒に蒸しケーキを作っていた。いつもはシンプルな生地の蒸しケーキだったが、今日は紅茶味だ。紅茶の良い香りがキッチンに広がっていたが、二人とも味見をするのを我慢していた。
今日の蒸しケーキは夫に差し入れする為のものだ。パティに件で夫にはどうしても確認したい事があった。それに蒸しケーキぐらいだったら、いくら病んでいても食べられるだろう。
「ちなみに奥さん、事件の進捗はどれぐらい?」
出来上がった蒸しケーキの熱をとると、食べやすい大きさに切り分け、バスケットに詰めていたが、アンジェラは手を動かしながらも聞いてきた。
好奇心いっぱいの目だ。アンジェラは野次馬感覚でこの事件を楽しんでいるのかも知れない。マムの時もそうだった。元々噂好きのメイド頭だ。この事件もあちこちで言いふらしているかも知れないが、人の口に戸は立てられない。
「まだ何も分かってないのよ」
「そうかい。でも、私はあいつが犯人だと思うね」
「誰?」
「女優のブリジッドだよ。パティが愛人ノートを使って脅していたとしたら、殺す動機は一番じゃないか」
アンジェラの目はゲスい。面白がっているが、確かに筋は通る推理だ。しかし、ブリジッドにピーナッツの風味がするクッキーを食べさせるのは可能だろうか。ラベルを張り替えてクッキーを食べさせるのは可能だが。
「うーん、なんか犯人はパティより目上だったり、かなり信頼していたり、憧れの存在のような気がするのよね」
「だったら公爵さまじゃないか。立場的、心理的にもクッキーを食べさせるのは可能では?」
「あぁ、そこなのよね。迷路に入ってしまった気分」
こうしてアンジェラと推理に興じたが、余計にドツボに入ってしまった。フィリスはマリーの所で仕事を手伝っている。当日、パティの近くに不審人物がいなかったかも聞きたきなったが、今は蒸しケーキだ。
出来上がったものは全部バスケットに梱包し終わり、フローラは汗を拭っていた。
「できたわ」
「完璧です、奥さん。パティの事件もこんな風に解決できればよろしいかと」
アンジェラは再びゲスい目を向けて、フローラに笑かけてきた。
「そうなれば良いわ」
フローラは無表情に頷く。
犯人は、あのゴシップ記事を見たらどんな反応をするだろうか。こちらの思惑通り、挑発だと思い、何かアクションを起こしてくればいいが。
「まあ、奥さん。犯人を逃すな。絶対捕まえな」
アンジェラにバンバンと背中を叩く。少し痛いぐらいだったが、力が入ってきた。これもアンジェラらしくフローラを励ましているのだろう。
確かに今はまだ犯人の尻尾すら見えてこないが。
「ええ。負けないから」
フローラは深く頷く、バスケットを担いだ。重いバスケットだったが、今はこれを持つのも苦ではない。むしろ楽しいぐらいで、フローラの口元は緩んでいた。
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