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第二部
番外編短編・新米メイドのバカンス計画
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パティの事件が解決したが、フィリスはシスター・マリーの店に通う事が多かった。
理由は二つある。一つはマリーの店が多忙で手伝いが必要な事。二つめはフィリスの行儀がなだ未熟な部分があり、マリーに叩き込まれる為だった。
「フィリス、そう。背筋を伸ばして。落ち着いて、言葉使いも丁寧に」
ここはマリーの菓子屋の厨房だったが、クッキーを作りながらも、行儀の指導を受けておた。
狭い厨房はクッキーの甘い香りが漂う。質素な厨房だったが、匂いだけは天国のようだ。
店はあの事件以来大繁盛だという。特にサレ妻達が夫の肝を冷やす為に買っているらしい。確かに間接的にパティの命を奪ったものではあったが……。
「ところでマリーもバカンスがなかったですね。どうしましょう?」
フィリスはクッキーの型抜きをしながら、気づく。この国は夏に一ヶ月以上のバカンスがあった。マリーはずっと働き詰めで、バカンスに出かける雰囲気はない。
「いや、これから取るよ。ビーズ島に行くんだ」
「ビーズ島!」
この島はこの国も南部にあり、美しいビーチが有名だ。天国の島とも呼ばれているぐらいで、バカンスに行くものも多い。フィリスも田舎者ながらビーズ島の存在は知っており、いつか行きたい憧れの場所だった。
マリーのクシャリとした皺っぽい笑顔を見ていたら、フィリスもバカンスを取りたくなってきた。
「といっても私は、ビーズ島にあるお嬢様学園で仕事もするがね」
「へえ」
「私がいた修道院の系列の女子校があるのさ」
「そうなんだ、バカンスっていっても仕事ですね」
「まあ、仕事が性にあっているだろう」
マリーはそうかもしれないが、フィリスはそうでもない。何だかビーズ島へ遊びに行きたいのだが。
「だったら公爵やフローラに頼みなさいよ」
「いいの?」
「うん。フィリスだってだいぶ成長した。それにアリスを捕まえたのは我々じゃないか。きっと聞いてくれるよ」
「そうだね、いえ、そうですね! 奥さんに聞いてみます!」
そう思うと、フィリスはやる気が出て来た。いつも以上に丁寧にクッキーを型抜きし、笑顔で仕事を続けた。
「ビーズ島? いいんじゃない? そうね、フィリスもアンジェラもブラック公爵家でよく働いてくれました。ボーナスと共にバカンスに行きましょう!」
その後、意外な事にフローラからバカンスの許可も出た。ボーナスも決まるなんて嬉しすぎる。
フィリスは飛び上がりながら喜びを表現したが、誰にも咎められなかった。これぐらいは多めに見てくれたのだろう。
「いいな。俺も締め切り終わったらし、バカンス行くかな」
公爵もそんな事を言っているのは、フィリスの耳には届かなかった。
「奥さん、ありがとう! この家がホワイト公爵家です!」
「大袈裟ね。でも、ま、みんなで休暇を取るのも悪くないでしょう」
フローラも呆れたように微笑むが、心の底ではバカンスが楽しみだった。まさかこのバカンスでも小さな事件に巻き込まれる事は想像もしていなかったが。
理由は二つある。一つはマリーの店が多忙で手伝いが必要な事。二つめはフィリスの行儀がなだ未熟な部分があり、マリーに叩き込まれる為だった。
「フィリス、そう。背筋を伸ばして。落ち着いて、言葉使いも丁寧に」
ここはマリーの菓子屋の厨房だったが、クッキーを作りながらも、行儀の指導を受けておた。
狭い厨房はクッキーの甘い香りが漂う。質素な厨房だったが、匂いだけは天国のようだ。
店はあの事件以来大繁盛だという。特にサレ妻達が夫の肝を冷やす為に買っているらしい。確かに間接的にパティの命を奪ったものではあったが……。
「ところでマリーもバカンスがなかったですね。どうしましょう?」
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「いや、これから取るよ。ビーズ島に行くんだ」
「ビーズ島!」
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「へえ」
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「そうなんだ、バカンスっていっても仕事ですね」
「まあ、仕事が性にあっているだろう」
マリーはそうかもしれないが、フィリスはそうでもない。何だかビーズ島へ遊びに行きたいのだが。
「だったら公爵やフローラに頼みなさいよ」
「いいの?」
「うん。フィリスだってだいぶ成長した。それにアリスを捕まえたのは我々じゃないか。きっと聞いてくれるよ」
「そうだね、いえ、そうですね! 奥さんに聞いてみます!」
そう思うと、フィリスはやる気が出て来た。いつも以上に丁寧にクッキーを型抜きし、笑顔で仕事を続けた。
「ビーズ島? いいんじゃない? そうね、フィリスもアンジェラもブラック公爵家でよく働いてくれました。ボーナスと共にバカンスに行きましょう!」
その後、意外な事にフローラからバカンスの許可も出た。ボーナスも決まるなんて嬉しすぎる。
フィリスは飛び上がりながら喜びを表現したが、誰にも咎められなかった。これぐらいは多めに見てくれたのだろう。
「いいな。俺も締め切り終わったらし、バカンス行くかな」
公爵もそんな事を言っているのは、フィリスの耳には届かなかった。
「奥さん、ありがとう! この家がホワイト公爵家です!」
「大袈裟ね。でも、ま、みんなで休暇を取るのも悪くないでしょう」
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