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第三部
エピローグ
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マリオンの事件はすっかり解決したが、白警団は相変わらず叩かれていた。ホームレスに濡れ衣を着せた過去の失態もほじくり返された。もっともマリオンが麻薬売人の連絡先も自宅に残しており、そこから顧客リストも発見された。芋蔓式に顧客も捕まり、一部の貴族も逮捕されていた。その中に夫に敵対している貴族もあり、フローラ達はほっと胸を撫で下ろしているところ。
セシリーも過去に薬をやっていたらしいが、今はすっかり足を洗ったという。夫のアドルフとの仲も良好らしく、最近は妊娠したという知らせも聞いた。
モラーナやダリアも大人しく自供しているという。万引きしていたキャロルも捕まった。商業地区にも平和が戻り、肉バルの店主からもお礼の手紙をもらっていたが。
「ぎゃ、ギャフンなんて俺は言わんぞ!」
今日はコンラッドがアポ無しでやってきた。客間に案内するが、いつも通り偉そうだった。大股で客間のソファに座り、目の前にいるフローラや夫も睨みつけていた。
「今回はセシリーの家からストップがかかったから仕方なかったんだよ!」
コンラッドはそう吠えると、紅茶をがぶ飲みし、栗のマフィンも齧っていた。マフィンのカスもポロポロ落とし、行儀も悪い。フローラと夫は顔を見合わせてため息をつく。
「というか、コンラッド? あなた一体何しに来たの? 栗のマフィン食べたかったら、シスター・マリーのお店へ行ったら?」
「妻の言う通りだよ。何しに来たんだよ」
夫婦揃って吠えているコンラッドに呆れてくる。コンラッドは白警団内ではマリオンの自殺について責められ、減給処分になったと風の噂で聞いたが。これを聞いたフィリスは「ギャフンと言わせましたね!」と騒いでいたが、コンラッドはそう言うどころが、キツく睨みつけ、こうして吠えている始末。
「パティの事件の捜査もあらかた終わったからな! このノートを返しに来たんだよ!」
コンラッドはこの家に来た目的をようやく果たしたようだ。鞄から愛人ノートを取り出し、フローラに返してきた。
愛人ノートはパティの事件の証拠品だった。犯人が捕まってからずっと白警団が持っていた為、今回の事件では二代目の愛人ノートを使っていた。
フローラは久々に見る愛人ノートに懐かすしさすら覚えるが、これはもう必要ない。夫はもう不貞をしないと約束してくれたから。以前のフローラだったら、夫の言葉など信じなかったと思うが、今はそうでもない。約束を信じてくれると無邪気に信じきってもいいかも。それが愛のような気がしていたから。
「それにしてもこも愛人ノートなんなんだ? ここにいる女達をちょっと追ってみたら、犯罪者ばっかりだったぞ。ゾッとするわ」
偉そうだったコンラッドは愛人ノートを捲りながら、幽霊でも見たかのような表情を見せていた。
「まあ、不倫なんてする女は倫理観壊れてますし、犯罪やっていても不思議では無いわね。それに私の夫は女の趣味が悪いですし」
「もっともだ。こんな性格の公爵夫人と離婚しないぐらいだもんな」
「ふふふ、でしょう?」
「ちょ、フローラもコンラッドもその話題でシュールでブラックな会話すんな!」
痛いところをつかれたのか、今度は夫が吠えていたが。
フローラは再び愛人ノートを見つめた。たぶん、このノートの出番は無い。二度と書き込む事も開く事も無いだろう。
「このノート、コンラッドに差し上げますわ。中に書いてある元愛人達を徹底的に調べてくださいな」
「は? 奥さん、いいのか?」
「ええ。これでコンラッドも名誉挽回できるかもしれませんよ」
意外な事にコンラッドは素直に愛人ノートを回収し、鞄に戻していた。
「私にはもうこのノートは必要ありません。夫はもう不倫をしないと信じています」
そのセリフはコンラッドに言ったつもりだったが、夫は姿勢を正し、フローラの横顔を見つめていた。その視線は少々甘く、優しげでもあり、コンラッドは咳払いをしているぐらいだ。
「じゃあな、サレ公爵夫人。俺は凶悪犯罪調査で忙しいんだよ。ド素人のサレ妻に関わっている暇はねぇ」
コンラッドはそう言うと、鞄を持って公爵家から去って行った。
最後まで嫌味を忘れないコンラッドに夫婦揃って呆れてくるが、フィリスやアンジェラが客間に入ってきた。クッキーが焼きたてだと持って来てくれたようだ。客間に甘いバターの香りが広がっていく。
「良かったですね、奥さん。コンラッドはギャフンと言いましたよ」
「ねえ、フィリス、あれでギャフンと言った事になるの?」
「なりますよ!」
相変わらず能天気なフィリスに呆れてくるが、甘いクッキーの匂いで何もかも誤魔化されそう。
こうしてメイド達と美味しいクッキーやお茶楽しみ、夫婦も自然と笑顔だ。明日からフローラは女王の仕事をする事になり忙しい。今だけは呑気にお茶の時間を楽しんでいてもいいはず。
この後、この事件も夫がミステリー作品のネタにした。「愛人探偵」の舞台化も順調だった為、仕事の依頼も倍増し、不貞する暇もなくなった事は、また別の話。
セシリーも過去に薬をやっていたらしいが、今はすっかり足を洗ったという。夫のアドルフとの仲も良好らしく、最近は妊娠したという知らせも聞いた。
モラーナやダリアも大人しく自供しているという。万引きしていたキャロルも捕まった。商業地区にも平和が戻り、肉バルの店主からもお礼の手紙をもらっていたが。
「ぎゃ、ギャフンなんて俺は言わんぞ!」
今日はコンラッドがアポ無しでやってきた。客間に案内するが、いつも通り偉そうだった。大股で客間のソファに座り、目の前にいるフローラや夫も睨みつけていた。
「今回はセシリーの家からストップがかかったから仕方なかったんだよ!」
コンラッドはそう吠えると、紅茶をがぶ飲みし、栗のマフィンも齧っていた。マフィンのカスもポロポロ落とし、行儀も悪い。フローラと夫は顔を見合わせてため息をつく。
「というか、コンラッド? あなた一体何しに来たの? 栗のマフィン食べたかったら、シスター・マリーのお店へ行ったら?」
「妻の言う通りだよ。何しに来たんだよ」
夫婦揃って吠えているコンラッドに呆れてくる。コンラッドは白警団内ではマリオンの自殺について責められ、減給処分になったと風の噂で聞いたが。これを聞いたフィリスは「ギャフンと言わせましたね!」と騒いでいたが、コンラッドはそう言うどころが、キツく睨みつけ、こうして吠えている始末。
「パティの事件の捜査もあらかた終わったからな! このノートを返しに来たんだよ!」
コンラッドはこの家に来た目的をようやく果たしたようだ。鞄から愛人ノートを取り出し、フローラに返してきた。
愛人ノートはパティの事件の証拠品だった。犯人が捕まってからずっと白警団が持っていた為、今回の事件では二代目の愛人ノートを使っていた。
フローラは久々に見る愛人ノートに懐かすしさすら覚えるが、これはもう必要ない。夫はもう不貞をしないと約束してくれたから。以前のフローラだったら、夫の言葉など信じなかったと思うが、今はそうでもない。約束を信じてくれると無邪気に信じきってもいいかも。それが愛のような気がしていたから。
「それにしてもこも愛人ノートなんなんだ? ここにいる女達をちょっと追ってみたら、犯罪者ばっかりだったぞ。ゾッとするわ」
偉そうだったコンラッドは愛人ノートを捲りながら、幽霊でも見たかのような表情を見せていた。
「まあ、不倫なんてする女は倫理観壊れてますし、犯罪やっていても不思議では無いわね。それに私の夫は女の趣味が悪いですし」
「もっともだ。こんな性格の公爵夫人と離婚しないぐらいだもんな」
「ふふふ、でしょう?」
「ちょ、フローラもコンラッドもその話題でシュールでブラックな会話すんな!」
痛いところをつかれたのか、今度は夫が吠えていたが。
フローラは再び愛人ノートを見つめた。たぶん、このノートの出番は無い。二度と書き込む事も開く事も無いだろう。
「このノート、コンラッドに差し上げますわ。中に書いてある元愛人達を徹底的に調べてくださいな」
「は? 奥さん、いいのか?」
「ええ。これでコンラッドも名誉挽回できるかもしれませんよ」
意外な事にコンラッドは素直に愛人ノートを回収し、鞄に戻していた。
「私にはもうこのノートは必要ありません。夫はもう不倫をしないと信じています」
そのセリフはコンラッドに言ったつもりだったが、夫は姿勢を正し、フローラの横顔を見つめていた。その視線は少々甘く、優しげでもあり、コンラッドは咳払いをしているぐらいだ。
「じゃあな、サレ公爵夫人。俺は凶悪犯罪調査で忙しいんだよ。ド素人のサレ妻に関わっている暇はねぇ」
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最後まで嫌味を忘れないコンラッドに夫婦揃って呆れてくるが、フィリスやアンジェラが客間に入ってきた。クッキーが焼きたてだと持って来てくれたようだ。客間に甘いバターの香りが広がっていく。
「良かったですね、奥さん。コンラッドはギャフンと言いましたよ」
「ねえ、フィリス、あれでギャフンと言った事になるの?」
「なりますよ!」
相変わらず能天気なフィリスに呆れてくるが、甘いクッキーの匂いで何もかも誤魔化されそう。
こうしてメイド達と美味しいクッキーやお茶楽しみ、夫婦も自然と笑顔だ。明日からフローラは女王の仕事をする事になり忙しい。今だけは呑気にお茶の時間を楽しんでいてもいいはず。
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