毒妻探偵〜サレ公爵夫人、夫の愛人を調べていたら殺人事件に巻き込まれました〜

地野千塩

文字の大きさ
151 / 157
第三部

番外編短編・小さな事からコツコツと

しおりを挟む
 寮長のダリアが逮捕された。脅迫、暴行、万引き、不倫略奪もしようとしてたらしく。学園内では衝撃が走っていた。

 生徒達の万引きも明らかになり、学園のマドンナ・キャロルも逮捕された。

「ララ、本当にキャロルは万引きしていたんですね」

 ナタリーはトイレに向かい、清掃職員のララに話しかけた。

 ナタリーは学校に馴染めず、こうしてトイレの逃げる事も多く、ララとは自然と仲良くなった。親子ほど歳が離れているのに、不思議と話が弾む。

「私はキャロルの万引き見たけど、まさか逮捕されるとは」
「悪事は必ずバレるよ。陰でしている良い事も必ず明るみになる」

 なぜかララは自信満々に胸を叩いた。

「私のような仕事は見下される事が多い。でも本当に一流の人は私のような仕事も見てくれる。感謝もしてくる。キャロルは『私は勝ち組』だっていつも見下されていたけど。人前では底辺職の人がいるおかげで助かってるとか偽善してたがな。安全地帯にいるんだったら何でも言えるわな」

 ララはそう言うとせっせとブラシを動かしていた。

「ナタリーも教室に戻ろう。大丈夫さ、真面目に勉強していれば見てくれる人がいる」
「そう?」
「そうだよ」

 あまりにもララは自信満々に言うので、その言葉を信じたくなった。それにナタリーも私生活で色々あり、真面目に勉強したいところだった。

 教室には馴染めない。キャロルがいなくなっても気の強そうなお嬢様も多く身がすくむが。

「勉強は案外楽しいかも」

 今日も図書館へ行き、歴史や語学の本を読んでいた。図書館には他の生徒も誰もいなかったが、だんだんと勉強するのも楽しくなってきた。

 授業中も先生にたくさん質問していたら、急に周囲の目も気にならなくなってくる。

 休みの日も図書館へ行き、勉強に熱中していたら、自然と成績も上がってきた。

「ナタリー、だいぶ成績が上がりましたね。よく出来ました」

 新しく寮長になったアルマという先生に褒められた。ほとんど褒められた事がなかったナタリーだった。これには驚いてしまうが、かつてララが言っていた事も思い出してしまう。

 良い事も悪い事も隠せない。ちゃんと見ている人がいるのだろう。

 小さな事からコツコツと。ナタリーは、キャロルのような美人でもない。お嬢様になれなかったコンプレックスも相変わらずあったが、今はさほど気にしていない。冴えない女生徒だとしても悪くないかもしれない。

「寮長先生、ありがとう。また勉強頑張ります」
「ええ、頑張ってね」

 ナタリーは笑顔で頷き、再び図書館へ向かっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

処理中です...