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第三部
番外編短編・毒夫探偵〜サレ公爵、妻の愛人を調べていたら殺人事件に巻き込まれました〜
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ブラッドリー・アガターは世間では薔薇公爵と呼ばれていたが、その内情は全く違う。
「おぉ、アンジェラ。困ったよ、また妻のフローラに愛人ができたよ」
ブラッドリーは食堂で泣いていた。この公爵、見た目は美男子だが、妻のフローラに浮気されていた。いわゆるサレ夫。世間ではこの悪評もたち、毒公爵と噂されていたりもした。
「仕方ないですよ、奥さんは芸のこやしで不倫してますから」
「そんな、アンジェラ……」
メイド頭のアンジェラに愚痴ったが、同意は得られない。
フローラは悪役女優として活躍していた。が、芸の肥やしとして今は恋愛カウンセラーの男、オーガストと不倫中。このオーガストは癖の強い男で数々の敵を作り、魔術師にまで呪われていた。
「一体どうしてフローラは男の趣味が悪いんだ?」
「それ、ブーメランですよ!」
新米メイドのフィリスにまで突っ込まれ、もうブラッドリーの立場はない。
そうは言ってもこの前オーガストに負けるわけにもいかない。
ブラッドリーはオーガストの尾行をし、不貞の証拠を見つけようとしたが……。
何とオーガストが自宅で殺されているのを発見した。鈍器なようなもので殴られ、血を流していた。
フローラもかこの場に現れて大泣きしていた。
「ああ、オーガスト! 一体なぜ!?」
フローラの叫び声を聞きながら何かがキレた。通報を受けた白警団にまで疑われ、ブラッドリーは拳を握る。
こうなったら犯人を捕まえるしかない!
サレ夫、いや、毒公爵の事件簿が今始まった。
◇◇◇
「という企画書を作ってみたんだが、どうだ? マムの事件を俺とフローラの立場を入れ替えて、新作作るというのは?」
ブラッドリーは書き上げた企画書を担当編集のネイトに見せた。ネイトは顔を引き攣らせ、首を横に振る。
「さすがにこれはフローラさんがブチギレると思いますね……」
「そうか?」
「ええ。シタ女のキャラにしたら、あの奥さん、一体どういう反応するか分かったもんじゃないですよ!」
ネイトは顔を青くし、震えている。
「そっか。仕方ない。まあ、この企画は没か」
企画書を丸めてゴミ箱へ。しかし、フローラがシタ女になるのもちょっと面白く、同人誌でパロディでも書いても悪くないと思うブラッドリーだった。
「おぉ、アンジェラ。困ったよ、また妻のフローラに愛人ができたよ」
ブラッドリーは食堂で泣いていた。この公爵、見た目は美男子だが、妻のフローラに浮気されていた。いわゆるサレ夫。世間ではこの悪評もたち、毒公爵と噂されていたりもした。
「仕方ないですよ、奥さんは芸のこやしで不倫してますから」
「そんな、アンジェラ……」
メイド頭のアンジェラに愚痴ったが、同意は得られない。
フローラは悪役女優として活躍していた。が、芸の肥やしとして今は恋愛カウンセラーの男、オーガストと不倫中。このオーガストは癖の強い男で数々の敵を作り、魔術師にまで呪われていた。
「一体どうしてフローラは男の趣味が悪いんだ?」
「それ、ブーメランですよ!」
新米メイドのフィリスにまで突っ込まれ、もうブラッドリーの立場はない。
そうは言ってもこの前オーガストに負けるわけにもいかない。
ブラッドリーはオーガストの尾行をし、不貞の証拠を見つけようとしたが……。
何とオーガストが自宅で殺されているのを発見した。鈍器なようなもので殴られ、血を流していた。
フローラもかこの場に現れて大泣きしていた。
「ああ、オーガスト! 一体なぜ!?」
フローラの叫び声を聞きながら何かがキレた。通報を受けた白警団にまで疑われ、ブラッドリーは拳を握る。
こうなったら犯人を捕まえるしかない!
サレ夫、いや、毒公爵の事件簿が今始まった。
◇◇◇
「という企画書を作ってみたんだが、どうだ? マムの事件を俺とフローラの立場を入れ替えて、新作作るというのは?」
ブラッドリーは書き上げた企画書を担当編集のネイトに見せた。ネイトは顔を引き攣らせ、首を横に振る。
「さすがにこれはフローラさんがブチギレると思いますね……」
「そうか?」
「ええ。シタ女のキャラにしたら、あの奥さん、一体どういう反応するか分かったもんじゃないですよ!」
ネイトは顔を青くし、震えている。
「そっか。仕方ない。まあ、この企画は没か」
企画書を丸めてゴミ箱へ。しかし、フローラがシタ女になるのもちょっと面白く、同人誌でパロディでも書いても悪くないと思うブラッドリーだった。
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