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第二章
31話
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リビングに戻ると、玲央はソファに腰を下ろし、ドライヤーで髪を乾かしていた。俺に気づくと、ぱっと顔を上げてすぐにその手を止める。
「ありがと~!」
「濡れた服、明日の朝には乾いてると思うから」
「よかった!……ほんと、何から何までありがとね」
そう言って玲央は、ドライヤーのスイッチを切って、ふうっと一息つく。乾かしかけの髪が少し跳ねていて、なんとなく子犬みたいだった。
「なんか飲むか?俺は紅茶淹れるけど」
「なら、俺も同じの飲みたい!」
俺はキッチンへ向かいながら声をかけると、玲央はすぐさま反応する。
「わかった。ちょっと待ってろ」
俺はケトルに水を入れて、スイッチを押した。お湯が沸くまでの間に、ティーバッグとカップを棚から取り出しつつ、ふと背中のほうから視線を感じて振り返る。
「栞季く~ん」
ソファから半身乗り出すようにして玲央が俺を呼ぶ。その手には、さっきまで使っていたであろうドライヤー。
「また髪の毛乾かしてあげるから、こっち来て~。沸くまでまだ時間あるでしょ?」
「それ、俺に拒否権は?」
「ないでーす」
玲央の即答に、俺はため息をひとつ吐いてキッチンからリビングに戻った。ソファの端に腰を下ろすと、彼は嬉しそうにその後ろに回ってくる。
俺の肩にかかってるタオルでわしゃわしゃとタオルドライした後、手櫛で軽く梳きながら髪に風を当て始めた。
「さっきも思ったけど、栞季くんって本当に髪の毛さらさらだよね。柔らかいし、寝癖とか大変そう」
「ん?ちゃんと乾かして寝ればつきにくいから」
「へえ、偉いね。俺なんて濡れたまま寝落ちとかしちゃう~」
玲央はそんなことを言いながらも、丁寧に指先で絡まった髪をほどき、優しくドライヤーの風を当てていく。首筋に触れる風がほんのりあたたかくて、気づけばまぶたが重くなってきた。
「眠い~?」
「大丈夫」
「ほんとに~?反応薄いんだけど?」
くすくすと笑う声が頭上で揺れて、どうにも心地良すぎる。温かい空間に、油断するとこのまま寝落ちしかねない。
「よし、こんなもんかな」
玲央が手を止め、俺の頭をぽんと軽く叩いた。そして、そのまましばらく名残惜しそうに俺の髪を撫でてから、離れていく。
「……ありがと」
俺がそう呟くと、玲央は「えへへ~、どういたしまして!」と満足げに笑って、俺の隣にどさりと腰を下ろした。
そして、そのまま俺の顔を覗き込むようにぐっと近づいてくる。
「なに?」
「別に~?素直だなと思って?」
そんなことを言いながら、玲央の指先が俺の髪にそっと触れた。
ふわりと頬にかかった髪を指で梳いて、耳にかけられた。その動作は妙に優しくて、彼の顔を直視できなくなる。
「紅茶、淹れてくる」
わざとらしくそう告げて、立ち上がると、玲央は俺を見上げながら、ちょっとだけ唇を尖らせた。
「もう、せっかくいい雰囲気だったのに」
「どんな雰囲気だよ」
思わずそう返すと、玲央はくすっと笑って、ソファの背にもたれかかる。
「照れてる~?」
玲央のからかうような声が背後から追いかけてきたが、俺は無視してキッチンへ向かった。
ケトルのスイッチはもうとっくに切れていて、湯気がポットの口から静かに立ちのぼっていた。
「ありがと~!」
「濡れた服、明日の朝には乾いてると思うから」
「よかった!……ほんと、何から何までありがとね」
そう言って玲央は、ドライヤーのスイッチを切って、ふうっと一息つく。乾かしかけの髪が少し跳ねていて、なんとなく子犬みたいだった。
「なんか飲むか?俺は紅茶淹れるけど」
「なら、俺も同じの飲みたい!」
俺はキッチンへ向かいながら声をかけると、玲央はすぐさま反応する。
「わかった。ちょっと待ってろ」
俺はケトルに水を入れて、スイッチを押した。お湯が沸くまでの間に、ティーバッグとカップを棚から取り出しつつ、ふと背中のほうから視線を感じて振り返る。
「栞季く~ん」
ソファから半身乗り出すようにして玲央が俺を呼ぶ。その手には、さっきまで使っていたであろうドライヤー。
「また髪の毛乾かしてあげるから、こっち来て~。沸くまでまだ時間あるでしょ?」
「それ、俺に拒否権は?」
「ないでーす」
玲央の即答に、俺はため息をひとつ吐いてキッチンからリビングに戻った。ソファの端に腰を下ろすと、彼は嬉しそうにその後ろに回ってくる。
俺の肩にかかってるタオルでわしゃわしゃとタオルドライした後、手櫛で軽く梳きながら髪に風を当て始めた。
「さっきも思ったけど、栞季くんって本当に髪の毛さらさらだよね。柔らかいし、寝癖とか大変そう」
「ん?ちゃんと乾かして寝ればつきにくいから」
「へえ、偉いね。俺なんて濡れたまま寝落ちとかしちゃう~」
玲央はそんなことを言いながらも、丁寧に指先で絡まった髪をほどき、優しくドライヤーの風を当てていく。首筋に触れる風がほんのりあたたかくて、気づけばまぶたが重くなってきた。
「眠い~?」
「大丈夫」
「ほんとに~?反応薄いんだけど?」
くすくすと笑う声が頭上で揺れて、どうにも心地良すぎる。温かい空間に、油断するとこのまま寝落ちしかねない。
「よし、こんなもんかな」
玲央が手を止め、俺の頭をぽんと軽く叩いた。そして、そのまましばらく名残惜しそうに俺の髪を撫でてから、離れていく。
「……ありがと」
俺がそう呟くと、玲央は「えへへ~、どういたしまして!」と満足げに笑って、俺の隣にどさりと腰を下ろした。
そして、そのまま俺の顔を覗き込むようにぐっと近づいてくる。
「なに?」
「別に~?素直だなと思って?」
そんなことを言いながら、玲央の指先が俺の髪にそっと触れた。
ふわりと頬にかかった髪を指で梳いて、耳にかけられた。その動作は妙に優しくて、彼の顔を直視できなくなる。
「紅茶、淹れてくる」
わざとらしくそう告げて、立ち上がると、玲央は俺を見上げながら、ちょっとだけ唇を尖らせた。
「もう、せっかくいい雰囲気だったのに」
「どんな雰囲気だよ」
思わずそう返すと、玲央はくすっと笑って、ソファの背にもたれかかる。
「照れてる~?」
玲央のからかうような声が背後から追いかけてきたが、俺は無視してキッチンへ向かった。
ケトルのスイッチはもうとっくに切れていて、湯気がポットの口から静かに立ちのぼっていた。
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