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しおりを挟むだから別に、関係ないのだ。瀧川が誰と何をしようと、自分には。
悠哉はそう思いながら、足早に廊下を歩いていた。
2Dの教室に人影があるのに気づいて、ちらっと視線を向けてしまったのがそもそも失敗だった。ことさら目を凝らしたわけでもないのに、開いたドアの前を通過する一瞬で、中で何が起こっているかがわかってしまった。
細い腕を掴んで机の上に押し付けている、その後ろ姿には、見覚えがあった。
『駄、目……』
かすかに届いた色っぽい声が、まだ耳に残っている。それを振り払うように軽く首を振って、悠哉はようやくたどり着いた昇降口で、靴を履きかえる。
瀧川が組み敷いていた相手が、誰なのかは知っていた。
…山崎桂。……この学園では、けっこうな有名人だ。
校内ですれ違えば、自然に目がいく。悠哉の目から見ても、綺麗な人だと思った。
「おい、誤解すんなよ」
不躾な声が後ろからかけられる。悠哉は振り返らず、上履きを無造作に下駄箱に押し込んだ。
「誤解? ……別に、誤解なんてしてません」
「さっきのは……」
「だから、別に、言い訳なんてしてくれなくていい。俺は別に、気にしてないから」
「オレが、気にしてんだよ。……いいか、あれは別に、何でもないんだ。おまえが通ったのを知ってて、あいつがわざと……」
瀧川の言い訳を適当に聞き流しながら、悠哉は呆れたように肩をすくめてみせる。
「人のせいにするなんて最悪ですね。山崎さんもお気の毒に」
「……おまえなあ」
「失礼します。俺、部活いくので。瀧川先輩は、教室戻った方がいいんじゃないですか」
冷ややかに言い捨てて、悠哉は鞄を担いで部室棟の方へ歩いていく。取り残された瀧川は、がっくりと下駄箱の簀の子の上に座り込んだ。
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