辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう

なっくる

文字の大きさ
19 / 53

第19話 あたしのヒーロー

しおりを挟む
「美味しいか、ユウナ?」

「うんっ! ありがとう、タクミおにいちゃん!」

 シャワーを浴び、部屋着に着替えたユウナはすっかり落ち着いたようだ。
 ソファーに座り、俺の淹れたココアを嬉しそうに飲んでいる。

「も~、あたしも動揺してたけど、今考えれば最後まで足は動かせたんだよね。
 金的してやればよかったな~、ばこーんと!」

 にやり、といたずらっぽい笑みを浮かべ、スリッパを履いた足をパタパタと動かすユウナ。
 だが、その足先は僅かに震えている。

「…………」
「あまり無理すんな?」

 ぽん、とユウナの頭に手を置き優しく撫でる。

「あう。
 ……抱きしめてもらっていいですか?」

「ん」

 彼女の隣に座る。
 ぎゅっと抱きついてくるユウナ。

「よしよし」

 ぽんぽん、と軽く背中を叩いてやる。

「……えへへ。
 思い出すなぁ」

「10年前、ヘルハウンドに襲われた時もこうしてぎゅっとしてくれたよね。
 やっぱりやっぱり、あたしのヒーローじゃぁ」

「ふふ、その時のユウナはお漏らししてたけどな」

「ぷぅ、それは忘れてよ~」

 ぷくっとふくれたユウナにほっぺをつねられてしまった。

「……他に何かして欲しい事はあるか?」

「プリン食べたい」

「よし」

 先ほどまで行われていた現場検証の合間にコンビニで買って来た限定プリン(3個セット)を冷蔵庫から取り出す。

「たべさせて~」

「ああ」

 俺は1つ目のプリン(りんご味)を開封すると、ぷるぷるのプリンをスプーンですくい、ユウナの口元まで持って行く。

「ぱくっ……ん~~~♡」

 目を閉じ、ぷるぷると震えるユウナ。
 かわいい。

「肩揉んでほしい~」

「よしきた」

 プリンを食べ終えたユウナは、ぐっと伸びをする。
 変なところを痛めているかもしれないからな、筋肉系のケアが必要だろう。

「んん~♡」

 少し強めに肩を揉んでやると、気持ちよさそうな声を漏らす。

「ゲームぅ」

「はいよ」

 ゲーム機を取り出すと、最新ゲームをダウンロード購入してやる。
 ゲームのタイトルは「ユトリートファイターGX」……驚異のグラフィックスを誇る最新格ゲーだ。

「へへっ、やったぁ3連勝!!」

 もちろん、接待プレーに徹する。

「あ~そうだ、明日提出の課題があるんだ……けど?」

 可愛く上目遣い。

 ……だんだんお願いが図々しくなってきた。
 いつものユウナに戻ってきている証拠だ。

「どれどれ」

 課題のタイトルは「郷土史における土着戦国大名の変遷」……マニアックすぎる内容だ。

「う!」

 途中まで書かれている内容を見たが色々とヒドイ。
 伊達政宗は東北地方の大名だし、ザビエルは日本人じゃない!

「よし!」

「ほえ?」

「タクミの歴史ブートキャンプ、開始!!」

「ひいいいぃい~!?」

 JKアイドルが赤点で留年、というのは外聞が悪すぎる。
 俺は心を鬼にして、ユウナを指導することにした。

「問題を1つ解くごとに、ケーキ1つ進呈!!」

「ひえぇ~、アメとムチの絶妙なバランス~!」

「間違えたら朝飯にピーマン追加!」

「おに~、タクミにぃ、管理栄養士~」

「…………ふむ?」

 どこかに出かけていたマサトさんが帰ってきたのはそんなタイミングだった。


 ***  ***

「よし」

 じゃれ合う俺たちの様子を見たマサトさんは、いかつい顔をほころばせて頷くと一枚のパンフレットをテーブルの上に置く。

「これは?」

 パンフレットの表紙には白亜の豪邸が描かれており、「新緑と潮風に抱かれた、天上の理想郷《エルドラド》」などと、少々痛いポエムが書かれている。

「建売住宅のパンフレットだ。
 知り合いの不動産屋を叩き起こして貰って来た」

「建売住宅、ですか?」

 今ユウナが住んでいるのは賃貸マンションで、マサトさんが持ってきたのは一戸建て住宅のパンフレット。

 家を買う、という事だろうか?

「このマンションは厄介な連中にバレたみたいだからね。
 もっとセキュリティ万全な高級住宅街に引っ越そうと思う」

「そして」

 にやり、と俺に微笑みかけるマサトさん。

「タクミ君、君も一緒に住むんだ」

「……えええっ!?」

 マサトさんから、驚きの提案がされたのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~

尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。 ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。 亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。 ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!? そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。 さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。 コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く! はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...