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第25話 デルゴたちの計画(黒幕サイド)
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「朗報です。
アリス・ブラックシップの”使徒”は先週比150%、今朝時点で75万人。
これは直近10日間の平均値を上回っています」
「マスコミへの露出は、一定の成果をあげたと判断してよろしいかと」
資料を見ながら本日の成果をデルゴに報告するレイニ。
どことなく得意げに見える。
「ふむ、あまり期待はしていなかったのだがな。
想定外の”揺らぎ”というのもか。やはりこちらの世界は奥が深いな」
満足げにコーヒーを飲み干すデルゴ。
「電子界の記録には、”コラボモエ”、”トウトイ”なる謎の単語が散見されますが、おおむね好評だと判断しております」
「そうだな、太陽神をたたえる民衆の祝詞というものだろう」
つまりアリスとゆゆのコラボがネットで大ウケだったという事になるが、彼らがその概念を理解するには価値観の隔たりが大きすぎた。
「それより、あの【特異点】の様子はどうだった?
実際に接触したのだろう?」
「はい」
スーツのポケットから名刺入れを取り出すレイニ。
「属性カードの交換に成功しました」
つまり、名刺交換をしたという事だ。
「それで?」
「AAA(トリプルエー)クラスの聖属性スキルと判断しました。
まだまだ未熟ではありますが、こちらの世界の人間としては、破格かと」
「ほう!!」
思わぬ情報に、相好を崩すデルゴ。
現時点でAAAクラスとなれば、さらなる向上も見込める。
(”障壁”を消せるかもしれんな)
「ならば、今は泳がせておくのが正解か」
「はい?」
思わず声に出していたようだ。
この私としたことが、胸が躍ってしまった。
「……特異点に関しては現状維持でよい。
アリスについては少々計画からは遅れてしまったが、計画通りでよい」
「はっ!」
「……法律の件、調査不足で申し訳ございません。
処罰はいかようにも」
「よい、むしろ特異点を精査する時間が出来た」
「寛大なご処置、感謝いたします」
深々と一礼するレイニ。
やはり次世代の覇者となられるべきお方……度量が広い。
「それで? この後の予定は?」
「15分後にアリス・ブラックシップがご挨拶に参ります」
「そうか」
あくまでアリスは手駒の一つだが、魔の御子の姿を直接見ておくのも良いだろう。
そう考えたデルゴは、全身から漂う威圧感を消し、人好きのする笑みを浮かべるのだった。
*** ***
「Nice to meet you!
アナタがレイニのジョウシねっ!」
「ふふっ、こんにちは」
15分後、デルゴは執務室に隣接したレセプションルームでアリスと対面していた。
「知っていると思うが、私とレイニは君の父上とおなじヴァナランドの出身でね。
世界が繋がって10年以上経つとはいえ、まだまだヴァナランド人に対する拒否感はこの国に残っている。同胞たちがニホンでもっと働けるよう、君には期待しているんだ」
「!! もちろんよ!!」
デルゴの言葉に、頬を紅潮させて返事をするアリス。
実際にはヴァナランド人が日本に来ないのは、向こうの生活に満足しているからだし、数少ない獣人族やエルフ族の移住者は憧れの的だ。
ただ、”向こうの政府”の意向でヴァナランド関連の発信はあまり多くなく、イギリスで育ってきたアリスが良く知らないのも無理はなかった。
「ゆゆとのショウブに勝って、イチバンのダンジョン配信者になるわ!!」
「期待しているよ」
(ふ、まだ子供だな……たわいもない)
だが、少女の前身からにじみ出る魔力の強さは本物だ。
(流石はヤツの娘という事か)
「……アリス、貴方の誕生日翌日に行う予定の、ダンジョン攻略配信の内容を確認しておきましょう」
「うん、分かったわ!」
お茶を淹れたレイニがアリスをテーブルに誘う。
あとはこの優秀な部下に任せておけば大丈夫だろう。
「いいですかアリス。
この国の人間は大逆流という事件のせいで、モンスターとダンジョンに強い恨みを抱いています」
「……そうなの?」
こくり、と小さく首をかしげるアリス。
イギリスで見たダンジョン配信からはそんな雰囲気は感じられなかったのだが。
「それは日本政府の情報操作です。
モンスターをできるだけ苦しませて殺し、ダンジョンを破壊する行為こそが喜ばれるのです」
「Why? 獲物を苦しませる狩人は三流よ?
それに、施設を破壊するなんて悪いことだわ」
「……アリス、普段禁止されている行為こそ、人間は興奮するのです。
そう、貴方が寝る前にケーキを食べてしまった時のように」
「!! 確かに!!」
「ふ……」
これだけの使徒を持つアリスが迷惑配信をすればダンジョンのバランスは大きく闇に傾き、その先には……。
デルゴは満足そうに頷くと、某政府機関へ情報工作に出かけるのだった。
アリス・ブラックシップの”使徒”は先週比150%、今朝時点で75万人。
これは直近10日間の平均値を上回っています」
「マスコミへの露出は、一定の成果をあげたと判断してよろしいかと」
資料を見ながら本日の成果をデルゴに報告するレイニ。
どことなく得意げに見える。
「ふむ、あまり期待はしていなかったのだがな。
想定外の”揺らぎ”というのもか。やはりこちらの世界は奥が深いな」
満足げにコーヒーを飲み干すデルゴ。
「電子界の記録には、”コラボモエ”、”トウトイ”なる謎の単語が散見されますが、おおむね好評だと判断しております」
「そうだな、太陽神をたたえる民衆の祝詞というものだろう」
つまりアリスとゆゆのコラボがネットで大ウケだったという事になるが、彼らがその概念を理解するには価値観の隔たりが大きすぎた。
「それより、あの【特異点】の様子はどうだった?
実際に接触したのだろう?」
「はい」
スーツのポケットから名刺入れを取り出すレイニ。
「属性カードの交換に成功しました」
つまり、名刺交換をしたという事だ。
「それで?」
「AAA(トリプルエー)クラスの聖属性スキルと判断しました。
まだまだ未熟ではありますが、こちらの世界の人間としては、破格かと」
「ほう!!」
思わぬ情報に、相好を崩すデルゴ。
現時点でAAAクラスとなれば、さらなる向上も見込める。
(”障壁”を消せるかもしれんな)
「ならば、今は泳がせておくのが正解か」
「はい?」
思わず声に出していたようだ。
この私としたことが、胸が躍ってしまった。
「……特異点に関しては現状維持でよい。
アリスについては少々計画からは遅れてしまったが、計画通りでよい」
「はっ!」
「……法律の件、調査不足で申し訳ございません。
処罰はいかようにも」
「よい、むしろ特異点を精査する時間が出来た」
「寛大なご処置、感謝いたします」
深々と一礼するレイニ。
やはり次世代の覇者となられるべきお方……度量が広い。
「それで? この後の予定は?」
「15分後にアリス・ブラックシップがご挨拶に参ります」
「そうか」
あくまでアリスは手駒の一つだが、魔の御子の姿を直接見ておくのも良いだろう。
そう考えたデルゴは、全身から漂う威圧感を消し、人好きのする笑みを浮かべるのだった。
*** ***
「Nice to meet you!
アナタがレイニのジョウシねっ!」
「ふふっ、こんにちは」
15分後、デルゴは執務室に隣接したレセプションルームでアリスと対面していた。
「知っていると思うが、私とレイニは君の父上とおなじヴァナランドの出身でね。
世界が繋がって10年以上経つとはいえ、まだまだヴァナランド人に対する拒否感はこの国に残っている。同胞たちがニホンでもっと働けるよう、君には期待しているんだ」
「!! もちろんよ!!」
デルゴの言葉に、頬を紅潮させて返事をするアリス。
実際にはヴァナランド人が日本に来ないのは、向こうの生活に満足しているからだし、数少ない獣人族やエルフ族の移住者は憧れの的だ。
ただ、”向こうの政府”の意向でヴァナランド関連の発信はあまり多くなく、イギリスで育ってきたアリスが良く知らないのも無理はなかった。
「ゆゆとのショウブに勝って、イチバンのダンジョン配信者になるわ!!」
「期待しているよ」
(ふ、まだ子供だな……たわいもない)
だが、少女の前身からにじみ出る魔力の強さは本物だ。
(流石はヤツの娘という事か)
「……アリス、貴方の誕生日翌日に行う予定の、ダンジョン攻略配信の内容を確認しておきましょう」
「うん、分かったわ!」
お茶を淹れたレイニがアリスをテーブルに誘う。
あとはこの優秀な部下に任せておけば大丈夫だろう。
「いいですかアリス。
この国の人間は大逆流という事件のせいで、モンスターとダンジョンに強い恨みを抱いています」
「……そうなの?」
こくり、と小さく首をかしげるアリス。
イギリスで見たダンジョン配信からはそんな雰囲気は感じられなかったのだが。
「それは日本政府の情報操作です。
モンスターをできるだけ苦しませて殺し、ダンジョンを破壊する行為こそが喜ばれるのです」
「Why? 獲物を苦しませる狩人は三流よ?
それに、施設を破壊するなんて悪いことだわ」
「……アリス、普段禁止されている行為こそ、人間は興奮するのです。
そう、貴方が寝る前にケーキを食べてしまった時のように」
「!! 確かに!!」
「ふ……」
これだけの使徒を持つアリスが迷惑配信をすればダンジョンのバランスは大きく闇に傾き、その先には……。
デルゴは満足そうに頷くと、某政府機関へ情報工作に出かけるのだった。
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