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第40話 (黒幕サイド)レイニの転落とさらなる陰謀
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「さて、弁明はあるか?」
関西の摩天楼を一望するデルゴの執務室。
極度に照明を落とした部屋の中。
声色は穏やかだが、黄金色の光を放つデルゴの双眸は鋭くレイニを捉えている。
「……いえ、ございません」
いつも冷静なダークエルフの声は震え、すらりとした長身も今は一回り縮んでしまったようだ。
「私は現状維持でよいと言ったはずだが?」
「返す言葉もございません」
淡々とした口調で事実を述べるデルゴ。
「結果的にアリスは”Yuyu”の元に去り、いがみ合っていた双方の使徒も和解。
Yuyuの始末に成功していれば、まだ良かったのだが」
「連中に計画を読まれてしまうなど、不覚の極みです」
「…………」
しゃっ
デルゴがテーブルに放ったタブレットには、移籍したアリスに湧き上がる公式ちゃんねると、ゆゆとの更なるコラボを期待するニュース記事が表示されている。
「せっかく時間をかけて崩したダンジョンポータルのバランスも”聖”に大きく戻された。私は寛大な男だが、失態には罰を与えねばなるまい」
「はっ、いかような罰も受け入れます」
床に頭を擦り付けんばかりに頭を下げるレイニ。
「……くくっ、言ったな?」
ズアッ
「……え?」
思わず全身に鳥肌を立てるレイニ。
デルゴの巨体から放たれる魔力が一変したからだ。
「入れ」
ぱちん
デルゴが指を鳴らすと、執務室のドアが音もなく開き4人組の男が入ってくる。
「へへ、デルゴさんちーっす」
「なっ!?
失礼だぞお前たち!」
ジャラジャラと趣味の悪いアクセサリを腰につけ、全身に入れ墨を入れた赤髪の男。
デルゴ子飼いの迷惑配信者である悪霊の鷹たちだ。
「ああ、構わん」
「君たちは実によくやってくれている。
使徒数は70万を突破、迷惑配信《カオス・キャスト》を支持する者も多い」
「へへっ、どーも」
トウジらのダンジョン探索スタイルは苛烈の一言だ。
出現するモンスターはすべて殺し尽くし、破壊する。
おままごとの様に生ぬるい行動をする探索者を恫喝する場面も多い。
一連の騒動で大量発生したゆゆとアリスのアンチが流入した効果も大きく、急速にフォロワー数を伸ばしていた。
「それに、裏配信……だったか?
好評のようだな」
「ああ、デルゴさんには知られてましたか。
趣味と実益を兼ねてっすよ」
「すげぇアイテムの貸与、あざっす」
「うむ」
げへへ、と下品な笑い声をあげる悪霊の鷹たち。
トウジの言う”裏配信”とは、有料会員限定の特別配信でソロの女性配信者を言葉巧みに誘い込み、ダンジョンの奥でレ○プする……という極悪非道な配信だ。
デルゴが貸し与えたマジックアイテムの効果で物理的な証拠は消去、被害女性の記憶すら消し、動画の保存も不可能にしている。
一応被害者の顔はぼかしているとはいえ、彼らが捕まらないのはデルゴの政治力のお陰である。
「雑用係と、新しい”配信用素材”が欲しいと言ってただろう?
このダークエルフの女をくれてやる」
「なっっ!?」
今度こそ絶句するレイニ。
厳しい処分は覚悟していたが、まさか内心蔑んでいたコイツらの部下になれ、とは!
しかも配信用素材、だと?
「おっしゃぁ!
トウジさん、おれコイツめちゃくちゃ好みなんすよぉ!」
悪霊の鷹のメンバーである緑髪の男が無遠慮にレイニの肩を抱く。
あまつさえ、その右手は彼女の豊満な胸に伸びている。
「こ、この!」
ばちん!
誇り高きダークエルフがこのような低俗な男に辱められるなど!
怒りに燃えるレイニは男を振り払おうとしたのだが、デルゴが指を鳴らすと同時に
金属製の首輪がレイニの首にはめられる。
ヴンッ
「うあっ!?」
首輪が紫色の光を放ち、レイニの全身から力が抜ける。
「ソイツには服従の魔法と女の力を抑える術式を組み込んである。
好きに使え」
「コイツはスゲェ……ありがとうございます!」
「配信、頑張らせてもらいます」
「デルゴ様、このような仕打ち……お慈悲をっ」
レイニは必死に懇願するが、デルゴの瞳にはもう彼女の姿は映っていない。
「おらっ、さっさと歩け」
「おれに一番を譲ってくださいや!」
「はっ、お前も好きだねぇ」
抵抗するレイニを引き摺り、執務室の外に出ていくトウジたち。
「さて……」
椅子に深く座りなおすデルゴ。
「”闇”の属性が強いトウジたちにカオス・キャストをさせれば、充分にバランスを崩せることが分かったからな」
使いづらいアリスを失ったことなど、デルゴはたいして気にしていなかった。
「それに」
Yuyuたちが邪魔なら、しばらくダンジョンポータルに潜れなくすればいいのだ。
至って合法的に。
デルゴの視線が執務室の上に置かれたままのファイルに注がれる。
ファイルの表紙には社外秘の文字と共に、とある省庁の実印が押してある。
Yuyuたちをダンジョンから遠ざけ、【特異点】のテストも可能な抜群の一手。
満足げなデルゴはコーヒーを飲もうとして……秘書をクビにしたことに気付き、新たな秘書を雇うべくヴァナランドの人材派遣会社に電話を掛けるのだった。
関西の摩天楼を一望するデルゴの執務室。
極度に照明を落とした部屋の中。
声色は穏やかだが、黄金色の光を放つデルゴの双眸は鋭くレイニを捉えている。
「……いえ、ございません」
いつも冷静なダークエルフの声は震え、すらりとした長身も今は一回り縮んでしまったようだ。
「私は現状維持でよいと言ったはずだが?」
「返す言葉もございません」
淡々とした口調で事実を述べるデルゴ。
「結果的にアリスは”Yuyu”の元に去り、いがみ合っていた双方の使徒も和解。
Yuyuの始末に成功していれば、まだ良かったのだが」
「連中に計画を読まれてしまうなど、不覚の極みです」
「…………」
しゃっ
デルゴがテーブルに放ったタブレットには、移籍したアリスに湧き上がる公式ちゃんねると、ゆゆとの更なるコラボを期待するニュース記事が表示されている。
「せっかく時間をかけて崩したダンジョンポータルのバランスも”聖”に大きく戻された。私は寛大な男だが、失態には罰を与えねばなるまい」
「はっ、いかような罰も受け入れます」
床に頭を擦り付けんばかりに頭を下げるレイニ。
「……くくっ、言ったな?」
ズアッ
「……え?」
思わず全身に鳥肌を立てるレイニ。
デルゴの巨体から放たれる魔力が一変したからだ。
「入れ」
ぱちん
デルゴが指を鳴らすと、執務室のドアが音もなく開き4人組の男が入ってくる。
「へへ、デルゴさんちーっす」
「なっ!?
失礼だぞお前たち!」
ジャラジャラと趣味の悪いアクセサリを腰につけ、全身に入れ墨を入れた赤髪の男。
デルゴ子飼いの迷惑配信者である悪霊の鷹たちだ。
「ああ、構わん」
「君たちは実によくやってくれている。
使徒数は70万を突破、迷惑配信《カオス・キャスト》を支持する者も多い」
「へへっ、どーも」
トウジらのダンジョン探索スタイルは苛烈の一言だ。
出現するモンスターはすべて殺し尽くし、破壊する。
おままごとの様に生ぬるい行動をする探索者を恫喝する場面も多い。
一連の騒動で大量発生したゆゆとアリスのアンチが流入した効果も大きく、急速にフォロワー数を伸ばしていた。
「それに、裏配信……だったか?
好評のようだな」
「ああ、デルゴさんには知られてましたか。
趣味と実益を兼ねてっすよ」
「すげぇアイテムの貸与、あざっす」
「うむ」
げへへ、と下品な笑い声をあげる悪霊の鷹たち。
トウジの言う”裏配信”とは、有料会員限定の特別配信でソロの女性配信者を言葉巧みに誘い込み、ダンジョンの奥でレ○プする……という極悪非道な配信だ。
デルゴが貸し与えたマジックアイテムの効果で物理的な証拠は消去、被害女性の記憶すら消し、動画の保存も不可能にしている。
一応被害者の顔はぼかしているとはいえ、彼らが捕まらないのはデルゴの政治力のお陰である。
「雑用係と、新しい”配信用素材”が欲しいと言ってただろう?
このダークエルフの女をくれてやる」
「なっっ!?」
今度こそ絶句するレイニ。
厳しい処分は覚悟していたが、まさか内心蔑んでいたコイツらの部下になれ、とは!
しかも配信用素材、だと?
「おっしゃぁ!
トウジさん、おれコイツめちゃくちゃ好みなんすよぉ!」
悪霊の鷹のメンバーである緑髪の男が無遠慮にレイニの肩を抱く。
あまつさえ、その右手は彼女の豊満な胸に伸びている。
「こ、この!」
ばちん!
誇り高きダークエルフがこのような低俗な男に辱められるなど!
怒りに燃えるレイニは男を振り払おうとしたのだが、デルゴが指を鳴らすと同時に
金属製の首輪がレイニの首にはめられる。
ヴンッ
「うあっ!?」
首輪が紫色の光を放ち、レイニの全身から力が抜ける。
「ソイツには服従の魔法と女の力を抑える術式を組み込んである。
好きに使え」
「コイツはスゲェ……ありがとうございます!」
「配信、頑張らせてもらいます」
「デルゴ様、このような仕打ち……お慈悲をっ」
レイニは必死に懇願するが、デルゴの瞳にはもう彼女の姿は映っていない。
「おらっ、さっさと歩け」
「おれに一番を譲ってくださいや!」
「はっ、お前も好きだねぇ」
抵抗するレイニを引き摺り、執務室の外に出ていくトウジたち。
「さて……」
椅子に深く座りなおすデルゴ。
「”闇”の属性が強いトウジたちにカオス・キャストをさせれば、充分にバランスを崩せることが分かったからな」
使いづらいアリスを失ったことなど、デルゴはたいして気にしていなかった。
「それに」
Yuyuたちが邪魔なら、しばらくダンジョンポータルに潜れなくすればいいのだ。
至って合法的に。
デルゴの視線が執務室の上に置かれたままのファイルに注がれる。
ファイルの表紙には社外秘の文字と共に、とある省庁の実印が押してある。
Yuyuたちをダンジョンから遠ざけ、【特異点】のテストも可能な抜群の一手。
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