辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう

なっくる

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第41話 アリスのお引越し

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「ここがアリスの新しいHomeなのね!
 こないだも来たけど……すっごいわ!!」

 みきゅん!

 俺のSUVの助手席から降りると、たたたっと駆け出すアリスとマジェ。

「ふふっ、アリスちゃん大はしゃぎだね」

「こう見ると年相応だな」

 ユウナと一緒にアリスの荷物をトランクから降ろしながら、広い庭を走り回るアリスとマジェをほっこりと眺める。

 第3回配信対決でアリスが移籍を宣言して数日後……諸々の事務手続きを終えた彼女は俺たちの新居に引っ越すことになった。

「今までホテル暮らしだったそうだからな、セキュリティバッチリなウチに住むのがいいだろう」

 ミウス・プロモーションから離籍したことにより、アリスの警護役であるレイニも姿を消した。一連の騒動で少なくないアンチも発生したし、アリスが滞在していたホテルの場所は公然の秘密。

 彼女の安全のためにも一緒に住んだ方が良いというのがマサトさんの判断だ。

「あたしは妹が出来たみたいで嬉しいな~♪」

 人一倍アリスを可愛がっているユウナである。
 今にも踊り出しそうなくらいウキウキとしている。

「ホワくんは恋人が出来たみたいだけどな」

 きゅうん♡
 みきゅん♡

 庭を走り回り、じゃれ合うホワくんとマジェ。
 二匹に家族が増えるのも、そう遠い未来じゃなさそうだ。

「ずが~ん!」
「ホワくんとマジェ、進捗速すぎ!?」

 何故かショックを受けているユウナは置いといて、俺はアリスの荷物を二階に運ぶ。
 彼女にはユウナの隣の部屋に住んでもらう予定だ。

「ひろ~い!!」

 部屋の中にはウサギのクッションやリスのぬいぐるみがいっぱい。

「ねえタクミ、だんきちはベットの上に置いてくださる?」

「ああ!」

 引っ越し祝いに俺たちがプレゼントしたのは”おやすみだんきち”という等身大サイズのぬいぐるみ。
 受注販売のレアグッズだ。

「だんきち♡ 今日も可愛いわ!」

 むぎゅっ!

 ベッドにダイブし、ぬいぐるみに抱きつくアリス。

「「可愛すぎか!!」」

 俺とユウナが写真を撮りまくったのは言うまでもない。

「でもやっぱり、動いているだんきちが一番素敵ね!」

「でしょ? 分かってるねアリスちゃん!」

「そしてユウナは中の人もだいすきなのね?」

「むっはぁ!?」

 何を話しているかはよく聞こえないが、プライベートモードのユウナとアリスのじゃれ合いはとても尊い。

「よし、そろそろ昼飯にしようか!」

 フォロワー向けの特典映像も撮っておきたい。
 俺は二人を連れ、地下のキッチンに向かうのだった。


 ***  ***

「ふっふっふ!
 料理のできないウチ、ゆゆが唯一得意な神料理!!
 REAL OKONOMIYAKI! HIROSHIMA STYLEだぜ☆」

「また微妙に荒れそうなネタを……ここ関西だぞ?」

 ゆゆの衣装に着替えたユウナは、キッチンに設置された鉄板で広島風お好み焼きを焼く。形は少々歪んでいるものの、キャベツはふっくら、ソースはハート形だ。

「ふむふむ、ニッポンのオコノミクレープはこうやって作るのね……」

 じゅ~

 ゆゆの手順を見て、自分でも焼いてみるアリス。

「おっとぉ? シロウトさんがウチのオコノミ全部入りに勝てるわけが……」

「できたわ!!」

 10分後、お店のメニュー写真のように真円で、キャベツと生地、麵が魅惑のミルフィーユを積み重ねる珠玉の一枚が完成した。

「出来やばたん!? しかもうめぇ!!」

 ゆゆ、一敗。


 ***  ***

「次はゲームだぜ!
 ニッポンの最新格ゲーについて来れるかな?」

 ドカバキッ!

「ぬおおおっ!?」

 ゆゆ、五連敗。


 ***  ***

「さ、さすがにべんきょーでは勝てるはず!
 数学Ⅱで勝負じゃアリスっぴ!」

 ゆゆのヤツ、苦手な数学(彼女の得意科目は保健体育のみだが)で勝負するとは無謀な……。

「アリス、カレッジ(大学)の入学資格を取得済みよ(すらすら)?」

「ずが~ん!?」

 ゆゆ、全敗。


 ***  ***

「やだ、この子天才すぎ?」

 12歳に負ける高校二年生。
 フォロワー限定コンテンツが大いにバズった後、私服姿に戻ったユウナはソファーに座り込んでいた。

「ふふっ。
 ユウナは誰にも負けない身体能力と、ダンジョン探索センスがあるじゃない。
 アリス、憧れているのよ」

 ぽふり

 ちょこんとユウナの膝の上に座るアリス。

「頼りにしているわ、カッコいいお姉ちゃん♪」

「ひょおおおおおおおおおおおっ!?」

 思わず鼻血を垂らすユウナ。

 時刻は15時、そろそろお茶の時間だ。

「俺の焼いたバタークッキー、食うか?」

「!! うんっ!!」

「やった! タクミおにいちゃんのクッキー!」

 ぱっと笑顔がはじけるユウナとアリス。
 可愛い二人のために、もっと頑張ろうと誓う俺なのだった。

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