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第8話 一方、ユウをクビにしたギルドでは
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「まったく、余計な法律を作りやがって」
ダンジョンバスターギルドの一つ、東兵庫第25ギルドを経営する陣(じん)は
ノートPCを前に悪態をついていた。
ギルドに所属できる人数制限のせいで人員を大幅に入れ替えることになり、求人サイトに払う手数料もばかにならない。
「補助金目当てに低ランクの無能を飼い殺しにする……なかなか旨味があったんだけどよぉ。誰だ問題にした奴は!」
地下鉄駅や地下の工事現場にだけでなく、個人宅の地下室にまで出現するダンジョン。
低ランクならそこまで高くないとはいえ、個人が払うには少々厳しいダンジョンバスターの依頼料金。
各ギルドには所属人数に応じて国から補助金が支払われていた。
代わりに、個人の依頼に対しては料金を割引くことが求められている。
だが、そんな制度を悪用するギルドは後を絶たず……。
ついに法律で規制されることになったというわけだ。
「だが、そのせいで明石(アカシ)のような無能は職を失う、か」
なんという皮肉だろうか。
世の中には必要悪というのはあるものである。
「まぁ、ウチとしては都合がいいがね」
人のいい先代のせいで、陣のギルドには大量の低ランクダンジョンバスターが所属していた。
そいつらを整理し、そこそこのランクのダンジョンバスターを確保できたのは喜ばしい事だ。
「これからは、大型案件をこなしていかねぇとな」
海底トンネル工事などの大規模工事では出現するダンジョンの数も多いため、ゼネコンが専属契約のギルドを募集する。
「そこに食い込んでオレの名前を上げるのだ」
それにはまず確かな実績だ。
ダンジョンバスターどもを休まず働かせる。
陣はギルドマスターのみが閲覧できるダンジョン発生マップを開く。
”美味しい”ダンジョンは取り合いだ。
ランクの高いダンジョンが発生しそうな場所の目利きもギルドマスターの能力の一つ……。
「……ん?」
その時、陣が契約しているニュースアプリが通知音を奏でる。
ダンジョンバスター業界の臨時ニュースだ。
「なに……”ノーツ財閥が関西に進出、マクライド氏の娘フェリナがギルドを開設”?」
「ちっ、迷惑だな」
日本におけるノーツ財閥の地盤は関東。
首都圏ほど競争が激しくない関西に進出してくるとはハイエナめ。
「……なに!?」
ニュースを斜め読みしていた陣はとある部分に目を止め大声を上げる、
『なんとフェリナ氏、スタートアップメンバーに某ギルドをクビになったばかりのFランクのダンジョンバスターを採用。
彼はフェリナ氏の手引きでFランクにもかかわらず秘密裏にSランクダンジョンを攻略しており、ドラゴンスレイヤーの称号を手に入れた。”ノーツ財閥では、彼のような特異な才能をきっかけとしてダンジョンの研究を進めたいと考えております。ご期待ください”……とはフェリナ氏の談である』
「ま、まさか!?」
いくらなんでもあり得ない。
たまたま状況が似ているとはいってもアイツなはずが……!
慌ててF・ノーツギルドなるダンジョンバスターギルドのプロフィールを検索する。
結果はすぐに表示された。
「なん……だと?」
そこには専属メンバーとして「アカシ ユウ」の名前が。
ノーツ財閥の専属。
Aランクのダンジョンバスターでも中々望めない待遇だ。
「しかも、いつの間にかダンジョンバスターランクが上がってやがる!?」
この短期間の間に?
一体何があったのだ!?
そういえばクビにする時、アイツは何かを言おうとしていた……。
オレはもしかして、大きな魚を逃したのか?
呆然とギルド長室で立ち尽くすジンなのだった。
*** ***
「こ、こんなに持ち上げられると恥ずかしいな……」
ニュースを読んだ俺は思わず赤面してしまう。
「すすすす、すいません!
ついついこの口が調子に乗ってしまいまして……」
「わたしの大好きなユウは、凄くできる人だよ?」
「リーサ!」
「はうっ!? 可愛すぎるっ!」
フェリナのギルドは今日も平和であった。
ダンジョンバスターギルドの一つ、東兵庫第25ギルドを経営する陣(じん)は
ノートPCを前に悪態をついていた。
ギルドに所属できる人数制限のせいで人員を大幅に入れ替えることになり、求人サイトに払う手数料もばかにならない。
「補助金目当てに低ランクの無能を飼い殺しにする……なかなか旨味があったんだけどよぉ。誰だ問題にした奴は!」
地下鉄駅や地下の工事現場にだけでなく、個人宅の地下室にまで出現するダンジョン。
低ランクならそこまで高くないとはいえ、個人が払うには少々厳しいダンジョンバスターの依頼料金。
各ギルドには所属人数に応じて国から補助金が支払われていた。
代わりに、個人の依頼に対しては料金を割引くことが求められている。
だが、そんな制度を悪用するギルドは後を絶たず……。
ついに法律で規制されることになったというわけだ。
「だが、そのせいで明石(アカシ)のような無能は職を失う、か」
なんという皮肉だろうか。
世の中には必要悪というのはあるものである。
「まぁ、ウチとしては都合がいいがね」
人のいい先代のせいで、陣のギルドには大量の低ランクダンジョンバスターが所属していた。
そいつらを整理し、そこそこのランクのダンジョンバスターを確保できたのは喜ばしい事だ。
「これからは、大型案件をこなしていかねぇとな」
海底トンネル工事などの大規模工事では出現するダンジョンの数も多いため、ゼネコンが専属契約のギルドを募集する。
「そこに食い込んでオレの名前を上げるのだ」
それにはまず確かな実績だ。
ダンジョンバスターどもを休まず働かせる。
陣はギルドマスターのみが閲覧できるダンジョン発生マップを開く。
”美味しい”ダンジョンは取り合いだ。
ランクの高いダンジョンが発生しそうな場所の目利きもギルドマスターの能力の一つ……。
「……ん?」
その時、陣が契約しているニュースアプリが通知音を奏でる。
ダンジョンバスター業界の臨時ニュースだ。
「なに……”ノーツ財閥が関西に進出、マクライド氏の娘フェリナがギルドを開設”?」
「ちっ、迷惑だな」
日本におけるノーツ財閥の地盤は関東。
首都圏ほど競争が激しくない関西に進出してくるとはハイエナめ。
「……なに!?」
ニュースを斜め読みしていた陣はとある部分に目を止め大声を上げる、
『なんとフェリナ氏、スタートアップメンバーに某ギルドをクビになったばかりのFランクのダンジョンバスターを採用。
彼はフェリナ氏の手引きでFランクにもかかわらず秘密裏にSランクダンジョンを攻略しており、ドラゴンスレイヤーの称号を手に入れた。”ノーツ財閥では、彼のような特異な才能をきっかけとしてダンジョンの研究を進めたいと考えております。ご期待ください”……とはフェリナ氏の談である』
「ま、まさか!?」
いくらなんでもあり得ない。
たまたま状況が似ているとはいってもアイツなはずが……!
慌ててF・ノーツギルドなるダンジョンバスターギルドのプロフィールを検索する。
結果はすぐに表示された。
「なん……だと?」
そこには専属メンバーとして「アカシ ユウ」の名前が。
ノーツ財閥の専属。
Aランクのダンジョンバスターでも中々望めない待遇だ。
「しかも、いつの間にかダンジョンバスターランクが上がってやがる!?」
この短期間の間に?
一体何があったのだ!?
そういえばクビにする時、アイツは何かを言おうとしていた……。
オレはもしかして、大きな魚を逃したのか?
呆然とギルド長室で立ち尽くすジンなのだった。
*** ***
「こ、こんなに持ち上げられると恥ずかしいな……」
ニュースを読んだ俺は思わず赤面してしまう。
「すすすす、すいません!
ついついこの口が調子に乗ってしまいまして……」
「わたしの大好きなユウは、凄くできる人だよ?」
「リーサ!」
「はうっ!? 可愛すぎるっ!」
フェリナのギルドは今日も平和であった。
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