《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福

文字の大きさ
46 / 563
幼少期

幕間 昔話と大人の思惑 3

「ワハハハ!!」
いきなり、お父様の笑い声が響いた。

「ナンテン医師、さっさと受け入れろ、と申されるか!
いやはや、噂には聞いていたが、センバ一族に見初められたら逃げられない、だったか?
なかなかの圧で迫りますな!これはふつうの令嬢であれば逃げられないであろうよ。

だが、我が娘はこれでも魔物を倒して来た身であるからな。
セイラー、どうする?
前にも言ったが、アイシア家からセンバに名を連ねる者が出れば、我が家は非常に助かる。
が、今までキチンと公爵家としてやって来た。これからも、センバの名が無くても特には困らん。

セイラー、お前がどうしたいのだ?

嫌ならば断るぞ」

お父様が、本気で私の意思を確認してくれていることに、驚いた。

「…正直に申します。
ニワトコ様、私は貴方の事を何も知りません。
アイシア家の娘であることに価値を見いだして近寄って来」「それは違う!貴女が良いのだ、例えアイシア家から勘当されても、平民でも、貴女が良いのだ!!」

スパーーーーーン
テン爺のスリッパが炸裂する。
「ぼっちゃま!
こんなに愛されてるお嬢様に対して、家から勘当などと、縁起でもない事を!!」

「うむ、ニワトコ殿、少々不愉快であるな」

「すまない、御当主殿!そう言う意味ではないのだ、ただ、家ではなく、セイラー嬢、貴女の、貴女でなければダメなのだと伝えたかっただけなのだ!!」

「……話が進みません。
そこまで、私を求めて頂けるというのは、嬉しい気持ちもあります。
が。
あと2年学園もあります。
ニワトコ様の事もよくわかりません。
本当に好きにして良いとお父様がおっしゃるのであれば、学園の卒業までお互いの事を知る時間を頂きたいです」

「知ってくれ、いくらでもなんでも喋るぞ!
テン爺、俺も学園に通うぞ!!」

「無理に決まっているでしょう!
ぼっちゃまは3年前に卒業されております!!
ダメですよ!公爵家に護衛として雇ってくれとか言わないですよね?!
2年も領地をほったらかしにして、王都に留まるおつもりですか?!」

「しかし、俺の女神が!!どっかの誰かと出会ってしまったら!!」

「仕事や義務を放棄する人は嫌いです」

「俺は領地を守るぞ!!!これから帰って魔獣を殲滅する!!!」

「手のひら返しがすごいな」

「お嬢様!!すでにセンバの扱い方を心得ていらっしゃる!!
ぼっちゃま!!
この方は逃がしてはいけません!全身全霊を持って、お仕えしてください!!」

「もちろんだ、テン爺!!さぁ、俺の女神、なんでも言ってくれ!!」

「いやいやいやいや、次期辺境伯様ですよね?
私に仕えるのではなく、領民のために仕事してください」

「うぉぉぉ!!俺の女神はなんて慈悲深い!!さすが女神!!」

「……無駄にアツイな。
では、こうしよう。
普段は手紙のやり取りを。そして、学園が長期休暇の時に、セイラーは辺境へ行ってみればいい。
そこで、辺境伯へ嫁ぐ意味を感じて来なさい。
実際に辺境の暮らしをして、大丈夫そうなら婚約を結ぼう」

「長期休暇の際は、この領地の魔物退治を!
……私は必要ないということですか?」

「そうじゃない、そうじゃない、セイラー。
確かにお前がしてくれていた領地の魔物討伐は非常に助かっていた。
でも、これはお前の一生の問題だ。
これでも私は、娘の幸せを願っているのだよ」
伝わっていなかったようだが、と、お父様はポツリとつぶやいた。


そして始まった私とニワトコ様の交際期間。

千切れんばかりに尻尾を振る大型犬よろしく、長期休暇の度に迎えにくるニワトコ様にキュンとしたり
ニワトコ様のご両親に会うたび抱き締められたり
私に声をかけた兵士にニワトコ様がすごい勢いで割り込んできたり
張り切って魔の森を駆け回るニワトコ様に付いて行けなかった私の身が危なくなったり
そんな私の姿に焦ったニワトコ様が魔の森をグランド一面分黒焦げにしたり
ハチャメチャな日常だけど、溢れんばかりの愛情を受けた。

その頃にはもう、愛情に飢えて、ひねくれていた私はいなかった。

ニワトコ様が愛している領地を守るため、
センバの一族を守るため、
武力で敵わない私は、在学中、燻っていた人材をスカウトして辺境に連れていってみたり、
学園卒業後、2年待ってもらって、社交界でセンバの地位を高めた。

魔物討伐に必要な武器、薬品に使う薬草、センバ産なのよ?
田舎貴族だなんて侮辱するなら、ご自分のところで全部賄ったらいかがかしら?
王家の騎士団こそ、討伐で民衆の支持を集めないとねぇ?

センバの価値を、センバが狙った人材を逃さないのを植え付けてから

やっと、私はニワトコ様の求婚を受け入れた。




ウフフ。
ねぇ、エアトル家の双子は、センバが見つけたの。
……例え、王家でも横槍は許さないわ。
感想 69

あなたにおすすめの小説

【完結】カノン・クライスラーはリンカネーション・ハイである。~回数制限付きでこの世界にある魔法なら何でも使えるという転生特典を貰いました

Debby
ファンタジー
【最終話まで予約投稿済み】 カノン・クライスラーは、辺境に近い領地を持つ子爵家の令嬢である。 頑張ってはいるけれど、家庭教師が泣いて謝るくらいには勉強は苦手で、運動はそれ以上に苦手だ。大半の貴族子女が16才になれば『発現』するという魔法も使えない。 そんなカノンは、王立学園の入学試験を受けるために王都へ向かっている途中で、乗っていた馬車が盗賊に襲われ大けがを負ってしまう。危うく天に召されるかと思ったその時、こういう物語ではお約束──前世の記憶?と転生特典の魔法が使えることを思い出したのだ! 例えそれがこの世界の常識から逸脱していても、魔法が使えるのであれば色々試してみたいと思うのが転生者の常。 リンカネーション(転生者)・ハイとなった、カノンの冒険がはじまった! ★ 覗いてくださりありがとうございます(*´▽`人) このお話は「異世界転生の特典として回数制限付きの魔法をもらいました」を(反省点を踏まえ)かなり設定を変えて加筆修正したものになります。

異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい

千晶もーこ
恋愛
あの世に行ったら、番人とうずくまる少女に出会った。少女は辛い人生を歩んできて、魂が疲弊していた。それを知った番人は私に言った。 「あの子が繰り返している人生を、あなたの人生に変えてください。」 「………はぁああああ?辛そうな人生と分かってて生きろと?それも、繰り返すかもしれないのに?」 でも、お願いされたら断れない性分の私…。 異世界で自分が悪役令嬢だと知らずに過ごす私と、それによって変わっていく周りの人達の物語。そして、その物語の後の話。 ※この話は、小説家になろう様へも掲載しています

ぽっちゃり令嬢の異世界カフェ巡り~太っているからと婚約破棄されましたが番のモフモフ獣人がいるので貴方のことはどうでもいいです~

翡翠蓮
ファンタジー
幼い頃から王太子殿下の婚約者であることが決められ、厳しい教育を施されていたアイリス。王太子のアルヴィーンに初めて会ったとき、この世界が自分の読んでいた恋愛小説の中で、自分は主人公をいじめる悪役令嬢だということに気づく。自分が追放されないようにアルヴィーンと愛を育もうとするが、殿下のことを好きになれず、さらに自宅の料理長が作る料理が大量で、残さず食べろと両親に言われているうちにぶくぶくと太ってしまう。その上、両親はアルヴィーン以外の情報をアイリスに入れてほしくないがために、アイリスが学園以外の外を歩くことを禁止していた。そして十八歳の冬、小説と同じ時期に婚約破棄される。婚約破棄の理由は、アルヴィーンの『運命の番』である兎獣人、ミリアと出会ったから、そして……豚のように太っているから。「豚のような女と婚約するつもりはない」そう言われ学園を追い出され家も追い出されたが、アイリスは内心大喜びだった。これで……一人で外に出ることができて、異世界のカフェを巡ることができる!?しかも、泣きながらやっていた王太子妃教育もない!?カフェ巡りを繰り返しているうちに、『運命の番』である狼獣人の騎士団副団長に出会って……

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦

未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?! 痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。 一体私が何をしたというのよーっ! 驚愕の異世界転生、始まり始まり。

貧乏で凡人な転生令嬢ですが、王宮で成り上がってみせます!

小針ゆき子
ファンタジー
フィオレンツァは前世で日本人だった記憶を持つ伯爵令嬢。しかしこれといった知識もチートもなく、名ばかり伯爵家で貧乏な実家の行く末を案じる毎日。そんな時、国王の三人の王子のうち第一王子と第二王子の妃を決めるために選ばれた貴族令嬢が王宮に半年間の教育を受ける話を聞く。最初は自分には関係のない話だと思うが、その教育係の女性が遠縁で、しかも後継者を探していると知る。 これは高給の職を得るチャンス!フィオレンツァは領地を離れ、王宮付き教育係の後継者候補として王宮に行くことになる。 真面目で機転の利くフィオレンツァは妃候補の令嬢たちからも一目置かれる存在になり、王宮付き教師としての道を順調に歩んでいくかと思われたが…。

追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす

遊鷹太
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。