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小平藍
63話 攻めの姿勢と楽曲
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「以上で私たちはライブを終わります。……この後も、見て行って頂ければ私たちは幸いですが」
あっという間にお披露目ライブは終了した。
彼女たちはパフォーマンス出来る曲がまだ少ない。合計6曲では30分強にしかならない。
この後のお披露目会は楽曲のライブではなく、メンバーそれぞれの趣味や特技を披露してパーソナリティを知ってもらおうという企画だった。
歌やダンスを得意としている子は普段のWISHとは違った曲に乗せてその腕前を披露したり、演技経験のある子は即興のお芝居を行ったりもした。
過去の先輩たちは、こうした場ではあまり見所のない特技を披露して微妙な空気になることも多かった。それもそうだろう。彼女たちは加入前までは普通の女の子たちだったのだ。10代の普通の女子が1人で大勢の観衆を惹き付けられるだけの特技を持っている方が稀なのだ。
トチって少々お寒い空気になったところで、ファンの人たちの温かい拍手に救われることは目に見えている。エンターテインメントとしてではなく、あくまで彼女たち一人一人がどんな人間なのかを知ってもらうのが目的の場なのだ。
だが、5期生の彼女たちは違った。
いずれも堂々としたパフォーマンスでその才能を披露していた。メディアの中にはすでに5期生たちを「新世代の旗手」として取り上げている媒体もあり、注目度の高まりは想像以上のスピードだった。
藍はソロでダンスを披露していた。WISHでのアイドルらしいダンスとは全く異質のものだった。私にはそれがヒップホップなのかジャズダンスなのかは分からなかったが、彼女の精神が普段の拙い言葉の何倍もの広さを持っていることを感じさせられた。
「……えっと、お客さんにどれだけ伝わるかは分からないですけど、実は私たちもそんなに順風満帆に今日まで来たわけではありません。意見がぶつかり気まずい空気になったこともありました」
特技披露のコーナーも終わり、最後のMCが行われていた。マイクを握っていたのは須藤琴音だった。
それまでは周囲のスタッフやお客さんへの感謝を述べる子がほとんどだったので、ネガティブにも聞こえる琴音のMCに会場の空気は少しソワソワしていた。
「まあ、揉めたのは大抵私と藍ちゃんなんですけどね。私も頑固だけど藍ちゃんも頑固で意見がぶつかることが多かったです。それに……藍ちゃんちょっと変わっているし……」
琴音の最後の一言で、会場からは苦笑が漏れる。藍のズレた部分はとっくにお客さんも気付いているのだ。
「でも!そんなことがあったから……ぶつかりあった時があったから……今日のお披露目ライブはとても素晴らしいものになったんだと思っています。……藍ちゃん、ありがとう……」
藍に向けた最後の一言は琴音らしくないポツリと呟くような言い方で、それだけにそれが彼女の本音のように私には聞こえた。
他の5期生たちの反応も見ると琴音と同意見なのが見て取れた。大きく頷いているメンバーもいたし、中には涙ぐんでいるメンバーもいた。それぞれの気持ちを琴音の一言は代表したものと言えるのだろう。
会場内は沈黙に包まれた。
琴音のMCによって感動的な雰囲気が訪れたのだが、それに対してアンサーを返すべき藍は落ち着かない様子で髪を触っているだけだったからだ。
「……ね、藍ちゃんはどう思ってるのかな?」
溜まり兼ねたのか瀬崎由衣が藍に返答を迫ったが、依然として藍は気まずそうに頭を掻いていた。……あのね、あんまりアイドルが人前で頭を掻くもんじゃないよ、藍……。
会場も藍の返答を待ち望む空気になった。
人前で、しかもこうしたシリアスな話を藍から聞く機会は滅多になさそうだと皆思っていたのだと思う。そんな一面が彼女から引き出されるかもしれない、という奇妙な期待感がその場には満ちていた。
もちろん、藍もそうした雰囲気をしっかり感じているはずだ。藍は少し変わっているが、基本的には聡明で敏感だ。それゆえに普段の彼女はああした反応になってしまうのだろう。
仕方なさそうに、藍がマイクを口元にもってゆき口を開く。
彼女が何を言うのか、誰もが耳を澄ませた。
「……あ~、まあ……私も感謝していることは事実だと思いますよ。須藤さんには」
「もー、琴音って呼んでって言ってるじゃん!全然伝わってないじゃない!何だったのよ……」
呆れたような琴音の反応に、会場は笑いに包まれた。
「お疲れ様です」
それから数日が経ったある日、社長に事務所に呼ばれた。
私はまた自分の個人仕事が多くなり、お披露目ライブ以降は5期生たちとあまり会えていなかった。
「ああ、麻衣。お疲れ様!こないだの5期生のお披露目ライブはとても良かったわね。色々なところで評判を聞くわよ!」
当日もお披露目ライブが終わった直後に社長から労いの言葉を掛けてもらった。
もちろん自分に対する言葉も嬉しかったが、5期生たちに対するお褒めの言葉を聞けるのはそれ以上に嬉しかった。
ライブ後の5期生たちは泣きながら抱き合ってお互いに称え合っていた。そんな様子を間近で見ていただけに余計にそう感じたのかもしれない。
「あの日は滝本先生もご覧になっていて、とても感動した様子だったわよ!」
「へぇ~、そうですか」
大プロデューサー滝本篤という人物はあまり反応を示さない人物として知られている。もちろんかなりの年齢になった今も高校生の恋愛をテーマに歌詞を書いてしまうような人だ。その内面が豊かでないはずはないのだが、あまり感情を表情や口に直接は出さない人物だと聞き及んでいる。
「先生が特に興味を示したのは……小平藍。あの子に対してみたいだったわ」
私は少し意外な気もした。滝本篤と言えばWISHというグループの創設者でもあるわけで、もっと王道のアイドルにこそ興味を示すものと思っていたからだ。
もっとも又聞きでは滝本大先生の反応もよくは分からない。彼女のどんな面に興味を持ったのかは定かではないし、その興味の度合いも正確には知りようがない。
だが確かに異質だった彼女がWISHに馴染もうとしている様や、他の5期生との関係性、またライブでのパフォーマンスと客側の反応……興味を惹くストーリーが彼女にはあることも確かだった。
「それでね……急にインスピレーションが湧いてきたとかで、なんと曲を書いて下さったのよ!」
そう言うと社長はイヤホンを差し出してきた。すでに社長のパソコンに曲のデータが送られていたようだ。
滝本篤本人は作詞のみを行い、作曲は多くの作曲家たちに任せるスタイルを取っているとはいえ、ほんの数日で曲を書き上げてしまうというのは流石である。
私は少しドキドキしながら曲の再生ボタンを押した。
(いや、大丈夫! これはきっと藍にとって大きなチャンスになるはず! )
滝本先生には藍がどう映ったのだろうか?という不安も少しあったが、こうして曲を書いてまでくれたのだ。この曲がどこでどういった形で披露されるかは決まっていないだろうが、大プロデューサーがこうして直々に藍に興味を示してくれたという事実は間違いなくチャンスだった。
私は恐る恐る再生ボタンを押した。
(これは……スゴイな。……これをWISHの曲として世に出すのか?)
正直言って私は戸惑った。
最初のピアノのダークで不穏なイントロが流れた瞬間に鳥肌が立った。
打ち込みの無機質なリズムとうねるベース。イントロの不穏なコード感のままピアノが全体の雰囲気を作り、ギターはそれをノイジーに切り裂く……。音数は少ないがどこか狂気的な激しさを内包した曲に聞こえた。それでいてきちんと歌モノとして成立しているバランスは流石だ。
「これは……思い切りましたね……」
私はそんな感想を社長に伝えるので精一杯だった。
藍のサポート役になってからの私は藍を立派なアイドルに作り上げることしか考えていなかった。藍をWISHのメンバーとして相応しい存在に仕立て上げることで彼女の魅力が引き出せるとばかり考えていた。そして実際に藍は変わりつつあって、それがファンの人にも伝わってきていると感じ始めていたところだった。
「ふふ、そうね。滝本先生もこれをWISHの作品として世に出して良いものか、少し迷ってらしたわ。でも私は『絶対にこのまま出しましょう!』って進言したのよ。……WISHを次のステップに進めるためにはこうしたリスクも取らなきゃいけないわよね……」
社長の言葉の裏には私に対する気遣いもあるような気がした。私がマネージャーから転向する際の条件として言っていた、WISHを次の段階に進める、ということが未だに念頭にあるのだろう。
私は社長に目で合図をして、曲をもう一度始めから再生してみた。
WISHの楽曲としては異例だが、藍を念頭に置いて作られた楽曲だということを意識して聴くととてもしっくりくる。深夜一人スタジオでダンスに没頭していた時の藍の姿が浮かんできた。先のお披露目会で特技のダンスをソロで披露していた際の表情も浮かんできた。
この曲のようなダークな部分も彼女の紛れもない一面だろう。
思えば「WISHのセンターに立ちたい」と公言する藍に対して、無意識の内に私は自分のアイドル像を押し付けていたかもしれない。
近しい人間が必ずしも一番の理解者とは限らない。少し離れた立場の人間の方がより冷静で客観的にその人を見られるのかもしれない。
だが別にそれは構わない。藍の魅力が伝えられるならば……そして藍の願いが叶えられるならばどんな形でも私は構わないのだ。
「それで……この曲はどんな形で発表するんですか?もちろん藍がセンターなんですよね?5期生でまたライブをやるんですか?それともカップリング曲としてレコーディングをするんですか?」
どんな形になるにせよ、これだけ早く藍が注目される機会が訪れるとは思いもしなかった。
だが、私の問いに社長は不思議そうな顔をしてこちらを見た。
「何言っているのよ、麻衣?これはもちろん次のシングルの表題曲よ。そして彼女、小平藍が選抜のセンターに立つの」
あっという間にお披露目ライブは終了した。
彼女たちはパフォーマンス出来る曲がまだ少ない。合計6曲では30分強にしかならない。
この後のお披露目会は楽曲のライブではなく、メンバーそれぞれの趣味や特技を披露してパーソナリティを知ってもらおうという企画だった。
歌やダンスを得意としている子は普段のWISHとは違った曲に乗せてその腕前を披露したり、演技経験のある子は即興のお芝居を行ったりもした。
過去の先輩たちは、こうした場ではあまり見所のない特技を披露して微妙な空気になることも多かった。それもそうだろう。彼女たちは加入前までは普通の女の子たちだったのだ。10代の普通の女子が1人で大勢の観衆を惹き付けられるだけの特技を持っている方が稀なのだ。
トチって少々お寒い空気になったところで、ファンの人たちの温かい拍手に救われることは目に見えている。エンターテインメントとしてではなく、あくまで彼女たち一人一人がどんな人間なのかを知ってもらうのが目的の場なのだ。
だが、5期生の彼女たちは違った。
いずれも堂々としたパフォーマンスでその才能を披露していた。メディアの中にはすでに5期生たちを「新世代の旗手」として取り上げている媒体もあり、注目度の高まりは想像以上のスピードだった。
藍はソロでダンスを披露していた。WISHでのアイドルらしいダンスとは全く異質のものだった。私にはそれがヒップホップなのかジャズダンスなのかは分からなかったが、彼女の精神が普段の拙い言葉の何倍もの広さを持っていることを感じさせられた。
「……えっと、お客さんにどれだけ伝わるかは分からないですけど、実は私たちもそんなに順風満帆に今日まで来たわけではありません。意見がぶつかり気まずい空気になったこともありました」
特技披露のコーナーも終わり、最後のMCが行われていた。マイクを握っていたのは須藤琴音だった。
それまでは周囲のスタッフやお客さんへの感謝を述べる子がほとんどだったので、ネガティブにも聞こえる琴音のMCに会場の空気は少しソワソワしていた。
「まあ、揉めたのは大抵私と藍ちゃんなんですけどね。私も頑固だけど藍ちゃんも頑固で意見がぶつかることが多かったです。それに……藍ちゃんちょっと変わっているし……」
琴音の最後の一言で、会場からは苦笑が漏れる。藍のズレた部分はとっくにお客さんも気付いているのだ。
「でも!そんなことがあったから……ぶつかりあった時があったから……今日のお披露目ライブはとても素晴らしいものになったんだと思っています。……藍ちゃん、ありがとう……」
藍に向けた最後の一言は琴音らしくないポツリと呟くような言い方で、それだけにそれが彼女の本音のように私には聞こえた。
他の5期生たちの反応も見ると琴音と同意見なのが見て取れた。大きく頷いているメンバーもいたし、中には涙ぐんでいるメンバーもいた。それぞれの気持ちを琴音の一言は代表したものと言えるのだろう。
会場内は沈黙に包まれた。
琴音のMCによって感動的な雰囲気が訪れたのだが、それに対してアンサーを返すべき藍は落ち着かない様子で髪を触っているだけだったからだ。
「……ね、藍ちゃんはどう思ってるのかな?」
溜まり兼ねたのか瀬崎由衣が藍に返答を迫ったが、依然として藍は気まずそうに頭を掻いていた。……あのね、あんまりアイドルが人前で頭を掻くもんじゃないよ、藍……。
会場も藍の返答を待ち望む空気になった。
人前で、しかもこうしたシリアスな話を藍から聞く機会は滅多になさそうだと皆思っていたのだと思う。そんな一面が彼女から引き出されるかもしれない、という奇妙な期待感がその場には満ちていた。
もちろん、藍もそうした雰囲気をしっかり感じているはずだ。藍は少し変わっているが、基本的には聡明で敏感だ。それゆえに普段の彼女はああした反応になってしまうのだろう。
仕方なさそうに、藍がマイクを口元にもってゆき口を開く。
彼女が何を言うのか、誰もが耳を澄ませた。
「……あ~、まあ……私も感謝していることは事実だと思いますよ。須藤さんには」
「もー、琴音って呼んでって言ってるじゃん!全然伝わってないじゃない!何だったのよ……」
呆れたような琴音の反応に、会場は笑いに包まれた。
「お疲れ様です」
それから数日が経ったある日、社長に事務所に呼ばれた。
私はまた自分の個人仕事が多くなり、お披露目ライブ以降は5期生たちとあまり会えていなかった。
「ああ、麻衣。お疲れ様!こないだの5期生のお披露目ライブはとても良かったわね。色々なところで評判を聞くわよ!」
当日もお披露目ライブが終わった直後に社長から労いの言葉を掛けてもらった。
もちろん自分に対する言葉も嬉しかったが、5期生たちに対するお褒めの言葉を聞けるのはそれ以上に嬉しかった。
ライブ後の5期生たちは泣きながら抱き合ってお互いに称え合っていた。そんな様子を間近で見ていただけに余計にそう感じたのかもしれない。
「あの日は滝本先生もご覧になっていて、とても感動した様子だったわよ!」
「へぇ~、そうですか」
大プロデューサー滝本篤という人物はあまり反応を示さない人物として知られている。もちろんかなりの年齢になった今も高校生の恋愛をテーマに歌詞を書いてしまうような人だ。その内面が豊かでないはずはないのだが、あまり感情を表情や口に直接は出さない人物だと聞き及んでいる。
「先生が特に興味を示したのは……小平藍。あの子に対してみたいだったわ」
私は少し意外な気もした。滝本篤と言えばWISHというグループの創設者でもあるわけで、もっと王道のアイドルにこそ興味を示すものと思っていたからだ。
もっとも又聞きでは滝本大先生の反応もよくは分からない。彼女のどんな面に興味を持ったのかは定かではないし、その興味の度合いも正確には知りようがない。
だが確かに異質だった彼女がWISHに馴染もうとしている様や、他の5期生との関係性、またライブでのパフォーマンスと客側の反応……興味を惹くストーリーが彼女にはあることも確かだった。
「それでね……急にインスピレーションが湧いてきたとかで、なんと曲を書いて下さったのよ!」
そう言うと社長はイヤホンを差し出してきた。すでに社長のパソコンに曲のデータが送られていたようだ。
滝本篤本人は作詞のみを行い、作曲は多くの作曲家たちに任せるスタイルを取っているとはいえ、ほんの数日で曲を書き上げてしまうというのは流石である。
私は少しドキドキしながら曲の再生ボタンを押した。
(いや、大丈夫! これはきっと藍にとって大きなチャンスになるはず! )
滝本先生には藍がどう映ったのだろうか?という不安も少しあったが、こうして曲を書いてまでくれたのだ。この曲がどこでどういった形で披露されるかは決まっていないだろうが、大プロデューサーがこうして直々に藍に興味を示してくれたという事実は間違いなくチャンスだった。
私は恐る恐る再生ボタンを押した。
(これは……スゴイな。……これをWISHの曲として世に出すのか?)
正直言って私は戸惑った。
最初のピアノのダークで不穏なイントロが流れた瞬間に鳥肌が立った。
打ち込みの無機質なリズムとうねるベース。イントロの不穏なコード感のままピアノが全体の雰囲気を作り、ギターはそれをノイジーに切り裂く……。音数は少ないがどこか狂気的な激しさを内包した曲に聞こえた。それでいてきちんと歌モノとして成立しているバランスは流石だ。
「これは……思い切りましたね……」
私はそんな感想を社長に伝えるので精一杯だった。
藍のサポート役になってからの私は藍を立派なアイドルに作り上げることしか考えていなかった。藍をWISHのメンバーとして相応しい存在に仕立て上げることで彼女の魅力が引き出せるとばかり考えていた。そして実際に藍は変わりつつあって、それがファンの人にも伝わってきていると感じ始めていたところだった。
「ふふ、そうね。滝本先生もこれをWISHの作品として世に出して良いものか、少し迷ってらしたわ。でも私は『絶対にこのまま出しましょう!』って進言したのよ。……WISHを次のステップに進めるためにはこうしたリスクも取らなきゃいけないわよね……」
社長の言葉の裏には私に対する気遣いもあるような気がした。私がマネージャーから転向する際の条件として言っていた、WISHを次の段階に進める、ということが未だに念頭にあるのだろう。
私は社長に目で合図をして、曲をもう一度始めから再生してみた。
WISHの楽曲としては異例だが、藍を念頭に置いて作られた楽曲だということを意識して聴くととてもしっくりくる。深夜一人スタジオでダンスに没頭していた時の藍の姿が浮かんできた。先のお披露目会で特技のダンスをソロで披露していた際の表情も浮かんできた。
この曲のようなダークな部分も彼女の紛れもない一面だろう。
思えば「WISHのセンターに立ちたい」と公言する藍に対して、無意識の内に私は自分のアイドル像を押し付けていたかもしれない。
近しい人間が必ずしも一番の理解者とは限らない。少し離れた立場の人間の方がより冷静で客観的にその人を見られるのかもしれない。
だが別にそれは構わない。藍の魅力が伝えられるならば……そして藍の願いが叶えられるならばどんな形でも私は構わないのだ。
「それで……この曲はどんな形で発表するんですか?もちろん藍がセンターなんですよね?5期生でまたライブをやるんですか?それともカップリング曲としてレコーディングをするんですか?」
どんな形になるにせよ、これだけ早く藍が注目される機会が訪れるとは思いもしなかった。
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