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親友が男の俺に欲情する訳がない!・中編

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さっき、俺の顔が赤くなっているのを見ていたせいか、保健室に行きたいという希望はすんなり叶えられた。これで、この状態から解放されると安心したのも束の間、保健室についてきたのは翔太だった。
「大丈夫か?ジャスティス?」
肩を貸してくれようとするのを断り、俺は一人で歩く。体を離していれば、お尻からの刺激もないし、普通に過ごせる。ただ、さっきの恥ずかしさが残り、顔は多分まだ赤い。
そんな状態のまま、辿り着いた保健室。とりあえず、体育の授業が終わるまで休ませて貰えればと思っていたが、部屋の前につくと先生が慌てて駆けだしてきた。
「あ、ごめん。ちょっと呼び出しがあって」
慌てた様子で言う。そんな先生を見て俺は「少し休ませて貰いたいのですが」と言うと
「休むだけならいいよ。中に入ってて」
そう言い残して、その場を離れていった。とりあえず、一人になりたいと保健室に足を踏み入れると、翔太も一緒に入ってきた。
「お、お前は授業に戻れよ…!」
「でも、さっきなんか様子おかしかったし」
そう言われて、ハッとする。そうか、翔太は純粋に俺の体のことを心配して。それなのに、俺は冷たい態度を取ってしまった。状況が状況とはいえ、親友に酷いことをしたと反省をする。

とりあえず、部屋の奥にあるベッドに行く。
横になって落ち着いたら教室に戻ろう。そう考えていたのに、突然後ろから抱きしめられ、そのままベッドに押し倒された。俺に覆いかぶさるような形で、翔太が馬乗りになっている。肩や腕に触れられている。翔太の足も俺の脇腹に触れているけれど、幸いステッキは静かだった。
「…な、どうしたの…?翔太…」
「ご、ごめん…。なんか…、お前に触れてると…ムラムラしてきて…。な、なんでか分からないけど…」
言いながら、翔太は泣きそうな目をしていた。
「変だよな…、親友なのに…こんな…」
俺はそんな翔太の様子を前に、昨日の兄のことを思い出していた。普段は優しい兄が、俺にあんなことをした。今は目の前の翔太が、俺に欲情している。これは、俺が魔法少女になったためだろうか…。
「ごめん、忘れて…」
そう言って、俺の上から離れようとした翔太に手を伸ばし、そのまま抱きしめた。朝から、触れられる度、ステッキが反応して大変だった。でも今、ステッキの動きは落ち着いている。その分、翔太の体温を感じる。
「…お、俺で良かったら…し…してもいいよ?」
自分で言ったはいいものの、恥ずかしさで顔が真っ赤になるのを感じた。それを見られないように、翔太の肩に顔をうずめる。
「…せ、正義?」
普通に名前を呼ばれてドキリとする。
「それって…」
困惑した声が聞こえ、俺は翔太の首に回していた腕を外し、片手を翔太の股間へと持っていく。ショートパンツの上から触れると、翔太のモノが勃起しているのが分かった。
「お…俺のお尻…使っていいよ…?」
自分で言ったはいいものの、冷静に考えると軽蔑されそうなセリフだ。それだけに嫌われたらとドキドキしたが、返事の代わりに俺のショートパンツが中の下着ごと脱がされた。仰向けに寝る俺の膝を立て、そのまま足を開かされる。
「ごめん…。先生が戻ってくる前に終わらせるから…」
翔太の指が俺のお尻に触れる。急きながらも、指の振れからは想像以上に優しかった。お尻の穴の周りを何度かくるくるとなぞった後、ゆっくり指を沈めてきた。
「…や、柔らかいな…正義のここ…」
「…ひ、一人でする時…触ってて…」
嘘だ。俺は昨日までここに触れたことすらなかった。でも、翔太が気持ち良く行為を進めるためには、多少の嘘も必要だろうと考える。
「ナカ…濡れてる…。もしかして…朝も触ってきた?それとも…トイレで一人でシテた…?」
「…バカ…あっ…」
どう答えて良いのか迷うが、とりあえず俺の中が男を受け入れる体制になっていることは事実だ。淫乱だと思われるかもしれない、軽蔑されるかもしれないと思いつつも、俺の体は翔太の指で刺激され悦んでいる。
「…正義ごめん、時間ないし…それ以上に…俺がもう限界…」
そう言って上半身を起こした翔太は、下着ごとショートパンツをずり下ろす。そこには本当に同い年かと疑う位、立派にそそり立ったモノがあった。
軽くキスをされ、その間にも挿入をする体制を整えるように、足をM字に広げられる。そのまま少し腰を浮かすような体制にさせられ、翔太のモノをあてがわれる。
「さっき、途中になった柔軟体操みたいだな」
翔太は軽く笑うと、そのまま俺の中に侵入してきた。ステッキのような物質とは違う熱を感じ、俺はゾクリとする。それと同時に、どうしようもない快感が襲ってくる。
「…あ……、翔太の……おっきい…」
俺は思わず、目の前の翔太の首にしがみつく。その間にも腰はどんどん進み、深いところへと入ってくる。
「ナカ、気持ちいいんだ?前もビンビンじゃねーか」
そう言われて、翔太のお腹を擦るくらい、自分のモノが反応しているのに気付く。
「…仕方ないじゃないかぁ…、気持ちいいんだからぁ…」
「正義のえっち」
そう言うと、翔太は突然激しく腰を動かしてきた。思わぬタイミングに驚くが、それ以上に気持ち良さが体を支配する。
「悪い…。いつ先生が戻ってくるか分からないから…」
言いながら、翔太が腰を動かす。その度に肌がぶつかり合う音や、結合部からいやらしい音が響く。日中の保健室で、何やってんだ?俺と思うが、快感には勝てず「もっとぉ…」とおねだりをしてしまう。
その言葉に応えるように、翔太が俺の最奥まで腰を進めた時、
「エッチなことする時は、鍵を閉めた方がいいですよぉ」
と、声が聞こえた。それと同時に、お腹の中に熱いモノが広がった。驚きで、翔太がイッてしまったのだろう。俺はその熱に酔いしれたい気持ちを押さえながら、声の方を見ると保健室の先生が立っていた。
「とりあえず、鍵かけてきますね」
繋がったまま驚く俺たちを他所に、先生は保健室の入口へと向かう。
俺は、驚きつつも昨日のことを思い出していた。魔力注入が終わったら、時間が巻き戻る。だから、この状況もこれまで、次の瞬間には日常に戻っていると思ったのに、状況は変わることはなかった。
俺のナカからチンコを抜いた翔太は、慌てて二人の体をシーツでくるみ、何とかこの状況を隠そうとする。そんな俺たちに向かって先生は笑顔で言った。

「『外出中』ってことにしておいたので、これから保健体育の特別授業を始めますか」
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