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第一章
第1話 出会い
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時刻は午後21時を回った頃。
ここはグランタリア王国貧民街にある酒場、
普段は街の荒くれ者達の溜まり場であるここの本当の姿は、この王国最大の暗殺者ギルドの本丸である。
そこへ、一人の仮面を付けた少年が姿を現した。
ガチャッ
ドアを開けた瞬間、彼に視線が殺到するが一瞬で消える。
ここにいる者達は曲がりなりにもこの貧民街で生き残ってきた者達だ。もちろんここに彼に喧嘩を売るような愚か者はいない。
「マスター、今日は?」
「ノーフェイス様、今回は大口のお客様から依頼が届いています。ご依頼相手を確認しますか?」
「いい、依頼内容だけ教えてくれ」
「かしこまりました。奥の部屋へどうぞ」
この王国は国王と貴族達によって国が運営されている。
今回の依頼内容はある貴族を殺す事。軍部の最高司令官であり、騎士団長でもある人物だ。
この国最強の人物なのは間違いない。
そんな事で彼は怯みはしないが・・・。
今まで自分より強い人間にはごまんと会って来たが、彼は任務を一度も失敗した事がないのだ。
彼には自信があった、絶対の自信が。
だがその日、その自信は砕かれる事になる。
初めての敗北という形で・・・
「誰の差し金だい?」
「・・・・」
俺はいつの間にか無傷でこの男に捉えられていた。
(奇襲は完璧に成功した筈だ、それなのにこの男・・・)
彼が襲いかかった瞬間にこの男は彼を捉え、反撃を開始したのだ。暗殺者に特化した彼に騎士団長の攻撃を捌く事は出来ず、そのまま捕らえられたのだ。
「しかもその仮面はなんだい」
「あっ、と、取るな!!!」
すっと伸ばされた手によって素顔が露わになる。
「っ!!!!!こんなに小さな子供じゃないか!!!!」
「ちっ・・・」
仮面の下から現れたのは黒い髪に黒い瞳、眉目秀麗な顔立ちは貴族でさえも羨む物だろう。
「君はなんでこんな事を?」
「教える義理があるか」
「そうか・・・、じゃあ今日からこれを付けてもらう」
ガチャッと何かの金属で出来た首輪が少年に装着された。
「奴隷にするつもりか、早く殺せば良いものを・・・」
「奴隷?そんな事はしないよ。君には僕の家族になってもらう。あいにく僕の子供には男の子がいなくてね」
「・・・何がおかしい?」
「いや、君みたいな子を救えて良かったと思っただけさ。因みにその首輪は僕の魔力とリンクしているから、逃げたら場所はすぐに分かるからね?」
「もう諦めている。というか早く殺せ」
男は悲しそうな顔をした。
「なぜ、そんなに死にたいんだい?」
「それが俺達だ。仕事を完遂出来なければどのみち口封じに暗殺者が来るだろう。今回は大口らしいしな。それに師匠からの教えだ。」
「成程ね、その大口の名前は?」
「知らん。興味ないからな」
彼は口が硬い、そういう風に育てられてきたから。なのにこの男の前では口から言葉がついて出る。その感覚を不思議に思いながら話しを続けた。
翌日
「アリィ」
「はいお父様。そこにいる男の子の事ですね?」
声を上げたのは父親に似て美しい金髪に綺麗な顔立ちをした少女だった。
きっと将来は美人になるだろう。
「ああ、彼は今日から僕の子供になる。君と同い年だそうだから、仲良くしてあげてくれ。」
「はい、私はアリエル=エルクリアです。よろしくね」
少年に向かって手を差し出した。
パンッ
乾いた音が室内にこだまする。
「な、なんて事するのよ!?」
「俺は馴れ合う為にここにいるんじゃない。あくまで契約だ」
「お父様!!こんな男とは仲良く出来ません!!」
「まぁまぁ落ち着いて、それに君も、名前ぐらいは名乗っても良いんじゃないか?」
「名前?・・・ノーフェイスだ」
「え?・・・もしかして、名前が無いのかい?」
「俺に親はいないし、師匠も俺の事をおいとしか呼ばなかったからな。ん?もしかしておいが名前なのかも・・・」
「そんな訳ないでしょー!!」
「分かった。じゃあ僕が名前を付けよう!」
「嬉しそうだな」
「君の名前はグラン、グラン=エルクリアだ!」
ここはグランタリア王国貧民街にある酒場、
普段は街の荒くれ者達の溜まり場であるここの本当の姿は、この王国最大の暗殺者ギルドの本丸である。
そこへ、一人の仮面を付けた少年が姿を現した。
ガチャッ
ドアを開けた瞬間、彼に視線が殺到するが一瞬で消える。
ここにいる者達は曲がりなりにもこの貧民街で生き残ってきた者達だ。もちろんここに彼に喧嘩を売るような愚か者はいない。
「マスター、今日は?」
「ノーフェイス様、今回は大口のお客様から依頼が届いています。ご依頼相手を確認しますか?」
「いい、依頼内容だけ教えてくれ」
「かしこまりました。奥の部屋へどうぞ」
この王国は国王と貴族達によって国が運営されている。
今回の依頼内容はある貴族を殺す事。軍部の最高司令官であり、騎士団長でもある人物だ。
この国最強の人物なのは間違いない。
そんな事で彼は怯みはしないが・・・。
今まで自分より強い人間にはごまんと会って来たが、彼は任務を一度も失敗した事がないのだ。
彼には自信があった、絶対の自信が。
だがその日、その自信は砕かれる事になる。
初めての敗北という形で・・・
「誰の差し金だい?」
「・・・・」
俺はいつの間にか無傷でこの男に捉えられていた。
(奇襲は完璧に成功した筈だ、それなのにこの男・・・)
彼が襲いかかった瞬間にこの男は彼を捉え、反撃を開始したのだ。暗殺者に特化した彼に騎士団長の攻撃を捌く事は出来ず、そのまま捕らえられたのだ。
「しかもその仮面はなんだい」
「あっ、と、取るな!!!」
すっと伸ばされた手によって素顔が露わになる。
「っ!!!!!こんなに小さな子供じゃないか!!!!」
「ちっ・・・」
仮面の下から現れたのは黒い髪に黒い瞳、眉目秀麗な顔立ちは貴族でさえも羨む物だろう。
「君はなんでこんな事を?」
「教える義理があるか」
「そうか・・・、じゃあ今日からこれを付けてもらう」
ガチャッと何かの金属で出来た首輪が少年に装着された。
「奴隷にするつもりか、早く殺せば良いものを・・・」
「奴隷?そんな事はしないよ。君には僕の家族になってもらう。あいにく僕の子供には男の子がいなくてね」
「・・・何がおかしい?」
「いや、君みたいな子を救えて良かったと思っただけさ。因みにその首輪は僕の魔力とリンクしているから、逃げたら場所はすぐに分かるからね?」
「もう諦めている。というか早く殺せ」
男は悲しそうな顔をした。
「なぜ、そんなに死にたいんだい?」
「それが俺達だ。仕事を完遂出来なければどのみち口封じに暗殺者が来るだろう。今回は大口らしいしな。それに師匠からの教えだ。」
「成程ね、その大口の名前は?」
「知らん。興味ないからな」
彼は口が硬い、そういう風に育てられてきたから。なのにこの男の前では口から言葉がついて出る。その感覚を不思議に思いながら話しを続けた。
翌日
「アリィ」
「はいお父様。そこにいる男の子の事ですね?」
声を上げたのは父親に似て美しい金髪に綺麗な顔立ちをした少女だった。
きっと将来は美人になるだろう。
「ああ、彼は今日から僕の子供になる。君と同い年だそうだから、仲良くしてあげてくれ。」
「はい、私はアリエル=エルクリアです。よろしくね」
少年に向かって手を差し出した。
パンッ
乾いた音が室内にこだまする。
「な、なんて事するのよ!?」
「俺は馴れ合う為にここにいるんじゃない。あくまで契約だ」
「お父様!!こんな男とは仲良く出来ません!!」
「まぁまぁ落ち着いて、それに君も、名前ぐらいは名乗っても良いんじゃないか?」
「名前?・・・ノーフェイスだ」
「え?・・・もしかして、名前が無いのかい?」
「俺に親はいないし、師匠も俺の事をおいとしか呼ばなかったからな。ん?もしかしておいが名前なのかも・・・」
「そんな訳ないでしょー!!」
「分かった。じゃあ僕が名前を付けよう!」
「嬉しそうだな」
「君の名前はグラン、グラン=エルクリアだ!」
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