3 / 9
第一章
第3話 入試会場
しおりを挟む
「二人とも準備はいいかい?」
「ああ」「うん・・・」
「ん?アリエル、緊張しているのかい?」
「だだ、だって、もし落ちちゃったら・・・」
「あっはははは!!!」
「うふふふふっ」
両親はアリエルの言葉に声を上げて笑った。
「アリエル、自信を持って受けておいで。もちろんグランもね。」
「あんたより強くないと入れないってのか?」
「へ?」
ダグラスがキョトンとした顔をする。
因みにダグラスはこんな美青年のような喋り方をするが、イカつい刈り上げ金髪にもじゃ髭を生やした筋骨隆々のイカついジジイである。
決して爽やかイケメンなどではない。なのになんでこんな喋り方をするのか、母であるヘランに聞いたら、
「アリエルが怖がるかららしいわよ」
だそうだ。なんでそうなったのかは全く分からんし、正直キモいが、それを言ったらゲンコツを食らったのでもう言わない。
話が脱線した。俺がああ言ったのはもちろん皮肉だ。俺は自分が強いのを理解している、それを大丈夫か?だと?舐めるな。お前以外に負ける事は無い。絶対にない!!!
「ああ、そういう事か!大丈夫大丈夫、心配してないから」
「こ、こら!撫でるな!!」
「あー、照れてる~」「うふふっ、可愛いわねぇ」
「う、うるさい!!」
学園はここから十キロ程離れた所にある。
まぁこの程度の距離など俺にかかればちょちょいのちょいだが、アリエルがあまり運動が得意では無いため今日は馬車だ。
学園は全寮制で貴族や王族までもが寮で生活をする。なのにお手伝いさんは入れないとか言いやがるのだ。ふざけている、この校則を作ったやつは貴族を羨む平民に違いない。お手伝いさんの素晴らしさを知らないんだ。まぁその代わりに主従関係にある貴族の生徒同士でそういった事をするらしい。
俺とアリエルは異性だから免除だ、セーフ。
あの我が儘娘のお手伝いなぞ死んでもごめんである。
「馬車って意外に揺れないのな」
「見て見て!!凄く早いよ!!」
「そんなに早く無いじゃん・・」
一時間もしない内に学園に到着した。
入り口の門は受験生でごった返していたが、俺たちに気づくと道を開ける。なんせ俺たちの馬車には剣と盾、武力を表す公爵の家紋が付いている。俺達よりも爵位が上なのは王家ぐらいだろう。
因みに俺は公爵家の家紋を付けていない。
ダグラスとヘランは猛烈に反対してたが押し切った。泣いて足に縋られても嫌なものは嫌だ。
理由は単純、目立つしダサいから。
暗殺者が人前で目立ってどうする、影に潜み、獲物を狩る機会をじっと待つのが俺達暗殺者だ。こんな金ピカの刺繍なぞ目立って仕方がない。しかもこの家紋ダサい、本当にダサいのだ。
「受験生の皆さん、こちらで受験票を確認しますのでお並び下さい。確認後は中にある掲示板から自分の番号の教室へ移動をお願いします。」
「あっちみたいだ、行こう」
「うん、お父様、お母様、行ってきます!」
「ああ、気を付けてね」
「頑張ってらっしゃい」
「ふむふむ、俺たちの番号は174と72か。」
「なんで一緒に申し込んだのに違う会場なんだろうね?」
「それはね、進行をスムーズにするためよ」
「誰だお前?」
「なっ!?し、失礼ね!私は伯爵家長女のアルティ=メギルーアよ!」
「ふーん」
「な、なんて失礼な平民なの!?私以外にそんな事したら打首よ!?」
「そりゃ怖いな。まぁそんな事になったら逃げるけど」
「アルティ!久しぶり!!」
「久しぶりねアリエル!でも、今日は友達じゃなくてライバルよ!」
「アリエルの友達だったのか」
「うん!お夜会で仲良くなったの!グランは行きたくないって来なかったから・・・」
「へぇ、あんたグランって言うのね。アリエルの付き人かしら?でもそんなに失礼な態度を続けてたらアリエルの名誉に傷が付くわよ?」
「お付きじゃないし、しかもこいつに名誉なんてあるか」
「なっ、グランひどい!」
そこで後ろの受験生が俺の肩を掴んだ。
当然気付いていたが、正直面倒臭いからそのままにした。避ける方が無駄な労力だ。
「おいお前!!」
「今日は騒がしいのが多いな・・・」
「ああ」「うん・・・」
「ん?アリエル、緊張しているのかい?」
「だだ、だって、もし落ちちゃったら・・・」
「あっはははは!!!」
「うふふふふっ」
両親はアリエルの言葉に声を上げて笑った。
「アリエル、自信を持って受けておいで。もちろんグランもね。」
「あんたより強くないと入れないってのか?」
「へ?」
ダグラスがキョトンとした顔をする。
因みにダグラスはこんな美青年のような喋り方をするが、イカつい刈り上げ金髪にもじゃ髭を生やした筋骨隆々のイカついジジイである。
決して爽やかイケメンなどではない。なのになんでこんな喋り方をするのか、母であるヘランに聞いたら、
「アリエルが怖がるかららしいわよ」
だそうだ。なんでそうなったのかは全く分からんし、正直キモいが、それを言ったらゲンコツを食らったのでもう言わない。
話が脱線した。俺がああ言ったのはもちろん皮肉だ。俺は自分が強いのを理解している、それを大丈夫か?だと?舐めるな。お前以外に負ける事は無い。絶対にない!!!
「ああ、そういう事か!大丈夫大丈夫、心配してないから」
「こ、こら!撫でるな!!」
「あー、照れてる~」「うふふっ、可愛いわねぇ」
「う、うるさい!!」
学園はここから十キロ程離れた所にある。
まぁこの程度の距離など俺にかかればちょちょいのちょいだが、アリエルがあまり運動が得意では無いため今日は馬車だ。
学園は全寮制で貴族や王族までもが寮で生活をする。なのにお手伝いさんは入れないとか言いやがるのだ。ふざけている、この校則を作ったやつは貴族を羨む平民に違いない。お手伝いさんの素晴らしさを知らないんだ。まぁその代わりに主従関係にある貴族の生徒同士でそういった事をするらしい。
俺とアリエルは異性だから免除だ、セーフ。
あの我が儘娘のお手伝いなぞ死んでもごめんである。
「馬車って意外に揺れないのな」
「見て見て!!凄く早いよ!!」
「そんなに早く無いじゃん・・」
一時間もしない内に学園に到着した。
入り口の門は受験生でごった返していたが、俺たちに気づくと道を開ける。なんせ俺たちの馬車には剣と盾、武力を表す公爵の家紋が付いている。俺達よりも爵位が上なのは王家ぐらいだろう。
因みに俺は公爵家の家紋を付けていない。
ダグラスとヘランは猛烈に反対してたが押し切った。泣いて足に縋られても嫌なものは嫌だ。
理由は単純、目立つしダサいから。
暗殺者が人前で目立ってどうする、影に潜み、獲物を狩る機会をじっと待つのが俺達暗殺者だ。こんな金ピカの刺繍なぞ目立って仕方がない。しかもこの家紋ダサい、本当にダサいのだ。
「受験生の皆さん、こちらで受験票を確認しますのでお並び下さい。確認後は中にある掲示板から自分の番号の教室へ移動をお願いします。」
「あっちみたいだ、行こう」
「うん、お父様、お母様、行ってきます!」
「ああ、気を付けてね」
「頑張ってらっしゃい」
「ふむふむ、俺たちの番号は174と72か。」
「なんで一緒に申し込んだのに違う会場なんだろうね?」
「それはね、進行をスムーズにするためよ」
「誰だお前?」
「なっ!?し、失礼ね!私は伯爵家長女のアルティ=メギルーアよ!」
「ふーん」
「な、なんて失礼な平民なの!?私以外にそんな事したら打首よ!?」
「そりゃ怖いな。まぁそんな事になったら逃げるけど」
「アルティ!久しぶり!!」
「久しぶりねアリエル!でも、今日は友達じゃなくてライバルよ!」
「アリエルの友達だったのか」
「うん!お夜会で仲良くなったの!グランは行きたくないって来なかったから・・・」
「へぇ、あんたグランって言うのね。アリエルの付き人かしら?でもそんなに失礼な態度を続けてたらアリエルの名誉に傷が付くわよ?」
「お付きじゃないし、しかもこいつに名誉なんてあるか」
「なっ、グランひどい!」
そこで後ろの受験生が俺の肩を掴んだ。
当然気付いていたが、正直面倒臭いからそのままにした。避ける方が無駄な労力だ。
「おいお前!!」
「今日は騒がしいのが多いな・・・」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜
咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。
そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。
「アランくん。今日も来てくれたのね」
そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。
そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。
「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」
と相談すれば、
「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。
そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。
興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。
ようやく俺は気づいたんだ。
リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる