最強の暗殺者、最強の貴族に拾われる

リュウガ

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第一章

第5話 合格発表

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さて、次は武術の試験だ。が、

「アリエル、お前もやるのか?」
「グランも少しはやるみたいだし?ここで私がすぱっと決めて首席を掻っ攫ってやるわ!」
「ふーん、まぁ好きにすれば?」



「72番、始め!!」
「ていやーー!!!」
「じょ、嬢ちゃん!?本当にやるのかい?」

アリエルが持っているのは槍なのだが、

「ぷぷっ、アリエルー、持つ方逆だぞー」

どうすれば間違えるのだろうか。槍の穂先を何故か彼女が握っている。

「え!?あっ、こっちを持つのね・・。どうりで手が痛いと思ったわ・・。っていうかもっと早く教えてよね・・・」

周りからはクスクスと笑い声が聞こえてくる。
アリエルは顔を真っ赤にしながら向き直ると、

「これで準備オッケーね」

ガガガガガッ

彼女は槍を引き摺りながら走り出すと、

「あいたっ!!」

槍の先が段差に引っかかって転んだ。
そしてそこにコツッと試験官である騎士団員の剣がぶつかり、

「ふにゅ~・・・・」
「・・・・・」

アリエルはあっさりと敗北した。
彼女は試験官にリングの外に運び出され、治療を受けると何事も無かったかのように俺の所へくる。

「ふぅ、なかなか強かったわ。貴方も気を付ける事ね。」
「安心してくれ、俺はあんな醜態を人前で晒すことは無い。」
「174番」
「まぁ見てろ」

俺はリングに上がる。

「174番、始め!!!!」

まずは様子見だな。ダグラスとやる時と同じにやったら相手を殺しかねない。
俺は軽ーく足を踏み出す。

(ん?構えないのか?)

試験官は剣を右手に携えて構えもしない。

(なるほど、この程度なら構えるまでもないと?)

俺はそのまま試験官に肉薄し、剣を横薙ぎに振るう。

「は、はや!?ぐっ!!!」
「は?」

試験官がリングの外に吹き飛ばされた。

「おい、今の見えたか?」
「早すぎて全然見えねぇ」
「いつ動き出したのかもわかんねぇよ・・」
「ムカッ、私へのあてつけかしら?随分と手を抜いたのね、お父様と戦う時と全然違うじゃない・・・」
「こんなのに他の受験生は手こずってたのか・・・。信じられねぇ。・・・あの、勝ったんですけど?」
「あっ、ご、ごめんなさい。試験終了です、お疲れ様でした・・・」

試験が終わった生徒は順番に帰る。

「合格発表いつだっけ?」
「確か・・・一週間後くらい?帰ったらお父様に聞いてみましょ。なぁに?心配なの?」
「そんなつもりで聞いてない。単純に気になっただけだ。」
「ふーん・・・」
「なんだよ」
「なんでもないよー!」




—————————————————————

実技試験 一位 グラン=エルクリア 300点

     二位 アリエル=エルクリア 200点
           .
           .



「今年は凄い子が入ってきたね・・」
「ですな。魔法試験だけでなく武術試験も満点評価とは・・。いやはや、にわかには信じられませんな。」
「間違いなく首席合格でしょう?」
「いえ、それが・・」





合格発表日当日、俺たちは試験日と同じように学園へ向かい、掲示板に受験番号が張り出されるのを見守る。

入試の成績順にクラスが発表されるため、貼り出される受験番号が早い程入試の成績が良いという事だ。

72••••••••174•••••••••••••

「は?」
「いやったーーーー!!!!!あははっ、グランに勝った!!お父様、グランに勝ったわ!!!」
「おお!流石は私の娘だね!!」
「そんな馬鹿な・・」


グラン=エルクリア
算数 98/100   社会 191/200                     道徳 -100/100

アリエル=エルクリア
算数 92/100   社会 168/200
道徳   100/100



グランの道徳での解答のほぼ全てが、
気に食わないなら殺せば良い。

だったらしい。(採点者談)


学園創設以来初となる全問珍解答は、後世にも語り継がれる事となったとかならなかったとか。
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